東京国際映画祭2018 16作目は、コンペティション「ヒストリー・レッスン」です。
ストーリーは、
中学校の歴史教師ヴェロは60歳で、引退を考えている。しかし反抗的な転入生エヴァと出会い、彼女の運命は変化していく。
エヴァはヴェロの生活に侵入するようになり、やがてふたりの間に奇妙な友情が芽生え、互いの人生に影響を与え合っていく。
というお話です。
中学校教師のヴェロは、在職30年記念の楯を貰い、そろそろ引退しようと考えていた。実は、病気を患っており、身体が辛くなってきたこともあったのだった。そんなある日、転校生のエヴァがやってくる。クラスに馴染まないエヴァを心配して、いつも見るようにしていたが、授業中にスマホを使っていた為、学校内では禁止だからと取り上げようとすると、突然暴れ出し、ヴェロにつかみかかって押し倒したのだ。
その日から、ヴェロはショックで仕事に行かず、そのまま退職することにする。そんなヴェロの自宅に、エヴァが訪ねてくる。学校はサボったのかと聞くヴェロに、今、停学中だからと話す。エヴァが何を考えているか分からず、イライラするヴェロだったが、エヴァがどうして転校しなければならなかったのかという話を聞き、段々と打ち解けていく。そしてエヴァはヴェロにお願いがあると話しだす。
エヴァは、前の学校で体育教師と付き合い始め、それがバレて、教師はクビで、自分は転校したというのだ。そして、最近、妊娠している事が発覚し、ヴェロに病院に一緒に行って欲しいと言う。堕胎用の薬を貰いに行きたいというのだ。ヴェロは、それを了承し、一緒に病院へ行き、叔母だと偽り、家族で話し合いをしたから薬を処方して欲しいと医師に話し、無事、堕胎薬を手に入れる事が出来る。費用まで負担させられたが、ヴェロは仕方ないと思い、エヴァと彼氏を帰す。
その日から、時々、エヴァが家に来るようになり、年齢も生き方も違う二人が、何故か、一緒に行動をともにするようになる。若い頃の自分と友人を思い出すような日々に、ヴェロは、段々と生きる気持ちを持ち始め、病気治療もする気が無かったのに、して見ようかと言う気持ちになっていく。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、中学校の教師と生徒が、まるで同年代の友人のように仲良くなって行き、ヴェロは息を吹き返して行くというお話です。それまで、ヴェロは、自分の病気を積極的に治療していこうという気持ちが無くて、このまま、なるようになれば良いと思っているように見えていました。でも、エヴァが青春を謳歌して、不幸ながらも、自由に生きている姿を見て、自分が家族の中の歯車の一つになっていたことに気が付き、余命が少ないなら、自分の好きな事をして、好きなように生きて、周りなど気にするのは辞めようと思い始めるんです。
それまで、ぼさぼさの白髪頭で、服も疲れたようなモノを着ていたのですが、エヴァに促されて、髪の色を染めて、美しく着飾って、化粧をして、若い男の子のいるパーティなどに、エヴァと一緒に参加していると、どんどん美しくなって行って、若い男と遊んでしまったりして、それまで60歳だからと言って、何もしなかったのが嘘のように、活き活きと活動するんです。美しかったですよ。
そして、ヴァロは、学生の頃に出会った、美しい友人の事を思い出します。その彼女にエヴァが似ていたようなんです。その思い出の告白も、見逃さないでくださいね。ちょっと感動しました。
定年するような年齢の女性が、自分の教え子である若い少女に触発されて、どんどん、生きる希望を持ち始める映画です。うーん、素敵な映画なのですが、ちょっともたもたしている部分もあるし、それほど共感は出来ませんでしたが、でも、楽しめました。私は、この映画、お薦めしたいと思います。でも、この映画は、日本公開は難しいかなぁ。良い映画だけど、こんな特徴があるという部分が欠けているような気がして、誰もが楽しめるかというと、ちょっと引っかかるかなという感じでした。でも、面白いので、機会があったら、ぜひ観てみて下さい。
ぜひ、楽しんでくださいね。
東京国際映画祭2018 「ヒストリー・レッスン」
https://2018.tiff-jp.net/ja/lineup/film/31CMP08