東京国際映画祭2018 １０作目は、コンペティション「堕ちた希望」です。
ストーリーは、
”どうせ死ぬなら、好きに死にたい”
マリアの時間は川のように流れていく。彼女はフードを被って力強く歩く。夢も希望もないその日暮らしで、母の面倒をみながら、宝石に囲まれた冷たい老女に仕えている。獰猛な目をしたピットブルと共に、マリアは妊婦を連れてフェリーで川を渡る。彼女たちには地獄のような運命が待っている。しかし、マリアにも希望が訪れる。最も根源的で力強く、人生と同じくらい奇跡的な形で。それはマリアに人間でいることは何よりも素晴らしい革命だと教えてくれるものだ。
というお話です。
海で網にかかった白いドレスを着た女の子を漁師が助けた。少女は、酷いレイプを受けて、流されて来たらしい。漁師は助けてやったのだが、何故か村人から疑われて、村人から疎外されてしまう。
それからしばらくして、マリアは、海辺で家族と暮らしている。マリアが、助けられた少女なのだ。マリアは、その地域を仕切っている女の下で働いている。女たちに子供を産ませ、子供が欲しい人達に売っているのだ。その手引きをしているのがマリアだった。彼女は、以前のレイプの傷により、もう妊娠が出来ないと言われていて、子供を産む仕事は出来ないので、手配をしている。
ある日、一人の妊婦が逃げ出した。お腹の子供を渡したくないと言うのだ。既にお金を貰っており、逃げられると困ってしまう。マリアは必死で探して見つけ出すのだが、子供を奪われたくないと訴える女性に強要出来ず、結局、逃がしてしまう。子供が一人足りなくなり、代わりはどうするかという時に、マリアの妊娠が発覚する。妊娠は出来ないと思っていたのに妊娠したため、出産が難しく、出産時にマリアは死ぬだろうと言われてしまう。降ろすのなら早くしなければならないが、マリアは悩み、そのまま産む事にして、ボスの元から逃げだしてしまう。
逃げ出し、彷徨うが、結局、行くところが無く、自宅へ帰り、母親に助けを求めるが、母親はお金の為に、ボスに連絡し、マリアを渡してしまう。行くところも無く、家族にも裏切られたマリアは、絶望し、希望など無いと思うのですが、最後に思い出したのは・・・。後は映画を観て下さいね。
以前、東ヨーロッパの映画で、子供を産ませて売るという映画を観たと思うのですが、今回も同じような仕事をしている一団でした。まるで、犬のブリーダーのようで、酷いなぁと驚きました。父親は別に誰でも構わないんですよね。遺伝上の問題もあるから、そこら辺は考えて交配した方が良いと思うのですが、関係なく、肌の色くらいしか気にしていなくて、子供を何に使うのかなぁと不思議に思いました。もしかして、自分たちの子供として育てるのではなく、何か別に使うのかなと疑ってしまいました。
マリアは、子供の頃に酷いレイプ被害に遭い、その後も彼女の名誉が回復されることは無く、今の仕事に入る事になってしまったのかなと思いました。小さな地域なので、そんな事件があれば白い目で見られますよね。マリアが悪い訳では無いのに、可哀想でした。
そして、すべてを諦めているマリアは、妊婦から冷酷に子供を取り上げる手引きをしても、何も感じていなかったのですが、自分が妊娠して、お腹に子供が宿ると、子供への愛情が沸いてきたのかなと思いました。母親としての気持ちが出てきたのでしょう。そして、彼女に子供という希望が宿ったのだと思います。
だけど、その希望を出産すると、自分の命は消えると言われているので、それならやっぱり売ってしまおうという気持ちにも一瞬なったのかなと思いますが、最後の最後で、やっぱり自分の子供を腕に抱きたいという気持ちが沸いたのだと思いました。たとえ、死ぬと解っていても。それは、凄い決断だと思いませんか。でも、母親って、そういうもんなのだと思いました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。女性であるが故の辛さや苦しさ、きっと子供を産むと言う機能が女性に無ければ、こんなに苦しむことも無かったよね。女性にしか解らないことかなぁと思いました。日本公開は、まだ決まっていませんが、もし、公開されるようでしたら、ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんでくださいね。
東京国際映画祭2018 「堕ちた希望」
https://2018.tiff-jp.net/ja/lineup/film/31CMP09