東京国際映画祭2018 4作目は、ワールド・フォーカス「世界の優しき無関心」です。
ストーリーは、
美しい自然に囲まれた屋敷に暮らすサルタナットの父親が亡くなる。多額の借金が残され、このままでは家が没落してしまう。
都会に住む叔父に肩代わりを頼むべく、サルタナットは自分の身が引き換えとなる覚悟を抱いて家を出る。強靭で心優しい使用人のクアンドゥクはサルタナットに付き添い、旅路をともにする…。
というお話です。
ちょっと見た事のあるような内容ですが、カミュの”異邦人”に書かれている”世界の優しき無関心”という言葉が使われていて、何とも、雰囲気の良いカザフスタン映画でした。
お金持ちのお嬢様が、家が没落して、近所の貧しい男に付き添われて、ドナドナ(売られて行く)されて行くのですが、どうしてもそれに従いたく無くて抗うんだけど、ま、暖簾に腕押しって感じで、何の役にも立たず、無力な彼らは潰れていくってことなんです。
全く生きて来た環境が違うだろうサルタナットとクアンドゥクの二人が、初めてふれあい、カミュの話で繋がって行くのですが、その雰囲気が良いんです。サルタナットは、下に見ていたクアンドゥクが、まさか文学など読んでいるとは思わなかったようで、読んだことがあるの?と聞くんです。この一言で、お嬢様と使用人という感じの関係が分かるのですが、小説の話で、対等になって行くんです。そして、売られるとなった時に、クアンドゥクに頼ってしまうんです。ここで、クアンドゥクが庇護する者に変わって行くんですよ。この関係が、とっても良く描かれていました。上手いと思いました。
そして、色の使い方が素晴らしく美しくて、感動しました。サルタナットが、都会に行かされる時は、赤いワンピースに黄色い傘を持っているんです。それも原色の色なんです。まだ、何も分かっていない、無垢なお嬢様という雰囲気なのですが、それが、次に都会に向かう時は、黒のワンピースになっているんです。そこら辺の色使いがとても上手いと思いました。そして、その色が、カザフスタンの土の色に映えるんです。素晴らしかった。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。日本公開してくれると良いけど、カザフスタン映画って、あまり上映されないんですよねぇ。とても残念なんですけど。でも、もし、観れるようなら、ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんでくださいね。
東京国際映画祭2018 「世界の優しき無関心」
https://2018.tiff-jp.net/ja/lineup/film/31WFE03
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