「ハナレイ・ベイ」を観てきました。
ストーリーは
シングルマザーのサチは、息子タカシがハワイのカウアイ島にあるハナレイ・ベイでサーフィン中に大きなサメに襲われて亡くなったという知らせを受ける。ハナレイ・ベイに飛び、タカシと無言の対面を果たしたサチは息子が命を落とした海岸へ向かい、海を前にチェアに座り、本を読んで過ごした。それ以来、タカシの命日の時期になると、サチはハナレイ・ベイを訪れ、同じ場所にチェアを置いて数週間を過ごすようになった。あの日から10年、サチは偶然出会った2人の若い日本人サーファーから「赤いサーフボードを持った『右脚のない日本人サーファー』がいる」という話を耳にする。
というお話です。
東京でピアノバーを営んでいるサチ。ある日、突然の電話で、息子がハワイで亡くなったとの連絡が入る。急いでハワイのカウアイ島に飛び、警察に行くと、ハナレイ・ベイでサーフィン中に大きなサメに襲われて亡くなったという。息子に対面し、綺麗な顔と無くなった足を見せられ、言葉なく呆然としてしまう。息子を火葬してもらい、直ぐに日本に帰ろうとするサチだったが、空港で思い返して、レンタカーを借りる事にする。
カウアイ島に部屋を借り、息子がサーフィンをしていたというハナレイ・ベイに行き、椅子を置いて海を眺める。本を読みながら、一日、その海を眺めて、そして家に帰る。そんな1週間を過ごし、日本に帰国する。
次の年から、毎年、息子が亡くなった時期にハナレイ・ベイを訪れ、同じ場所に座り、海を眺めながら一日過ごす。そんな日々が10年も続いたある日、海辺でテントを張り、寝泊まりしている日本人の青年たちに出会う。彼らに安いホテルを聞かれ、息子が泊まっていたホテルを紹介してやり、その日から、何となく、彼らと関わるようになって行く。
ある日、青年サーファーの高橋が喧嘩で怪我をしたという連絡が入り、直ぐに病院に駆け付けると、彼らとサチが話していたバーで元海兵隊員と喧嘩になったというのだ。マスターから話を聞くと、サチが毎年ここに来ることを馬鹿にした元海兵隊員に高橋が食って掛かったらしい。高橋に話しを聞くと、英語で言っていたから分からなかったという。良く分からないが、とにかく酷い怪我では無かったようで、一安心し、そして後日、彼らは日本に帰ると伝えに来て、サチに、海辺のサチが座っている辺りに自分たちを見ている日本人の片足のサーファーが居て、話しかけようと思ったらいなかったから、もし、見つけたら話してみてと言って帰って行った。そしてサチは・・・。あとは、映画を観て下さいね。
これ、村上春樹の短編なんですよね。大体は、原作通りでした。雰囲気も、吉田さんのサチはピッタリでしたね。うん、本当に映画の中にサチがいました。そして、原作には、ほとんど息子の描写は無かったのですが、映画では、結構、息子とのエピソードも描かれていました。確かに、こんな息子だったんだろうなぁと想像が出来ました。そして、高橋役村上くん、良かったです。本当に、どんどん上手くなりますね。驚くほど自然な演技で、原作の高橋そのものでした。この若さで、この上手さだったらどうなるんだろう。凄いよねぇ。
内容は、息子を亡くした女性が、息子の死を受け入れる為に費やした時間を描いているのだと思いました。息子を愛していたけど、でも、自分の思い通りにならない息子を嫌っていた部分もあり、そんな状態の時に、突然いなくなってしまって、頭では、息子が死んだことは理解出来ているのに、気持ちが付いて行かず、自分でもどうしてよいのか分からずに、このハナレイ・ベイに毎年通ってくるというモノなんです。
もちろん、人間だから、息子を愛しているけど、どうしても好きになれない部分だってあったハズですよね。それは仕方がない事だと思います。そんな、息子を嫌いなところを持っていた自分を、サチは責めていたように見えました。全面的に息子を愛していれば、その場で号泣して死んだ息子を受け入れられていたかもしれないけど、嫌いな部分持っていたから、自分も彼に嫌われていたのではないかと思っちゃったのかなという感じでした。
そんなサチの気持ちを和ませてくれたのが、日本から来たサーファーの二人だったように見えました。高橋という青年は、何も言わずにサチの気持ちを理解して助けた部分があったのですが、それを知った時、きっとサチも、彼の姿を息子に重ねて、息子もこんな風に人の気持ちを解る青年だったんだろうと理解して、自分は許されたと思って、次に進んで行ったのかなというように思えました。うーん、良かったです。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。私は、好きなタイプの映画でした。静かだし、可愛いアイドルが出る訳でも無いですが、何となく、じんわりと感動が伝わってくるような内容の映画で、良かったと思いました。分かり易く描いている訳では無いので、理解するのが難しいかも知れませんが、解かった時は、ジーンと感動が沁みてくる感じがすると思います。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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