「人魚の眠る家」の試写会に行ってきました。cocoさんのご招待で、観せていただきました。
ストーリーは、
2人の子どもを持つ播磨薫子と夫・和昌は現在別居中で、娘の小学校受験が終わったら離婚することになっていた。そんなある日、娘の瑞穂がプールで溺れ、意識不明の状態に陥ってしまう。回復の見込みがないと診断され、深く眠り続ける娘を前に、薫子と和昌はある決断を下すが、そのことが次第に運命の歯車を狂わせていく。
というお話です。
2人の子供を持つ播磨和昌と薫子夫婦。何処にでもいる普通の夫婦のように見えるが別居状態で、娘・瑞穂の私立小学校入学試験が終わったら離婚しようと話しが出来ていた。ある夏の日、子供たちを薫子の母親がプールに連れて行ってくれることになり、子供たちを預けて、薫子は和昌と待ち合わせをして、瑞穂のお受験用面接模擬を受けに行っていた。面接の最中に和昌の電話が鳴り、仕方なく出てみると大変な事に。瑞穂がプールで排水口に手を引きこまれ抜けられなくなり、病院に運ばれたらしい。驚いた二人は、直ぐに病院へ駆けつける。
病院へ行くと、脳神経外科の医師に呼ばれ説明をされる。瑞穂は、水中で無酸素状態の時間が長く、心肺は戻ったが、脳への酸素供給がされなかった時間が長かったために、脳死状態ではないかと考えられると言われてしまう。そして、今のままでも、それほど長くは心肺も持たないため、自然に死が訪れることになるらしい。
ショックで声も出ない薫子に、医師は臓器移植を考えた事はあるかと問い始める。和昌がなぜ今と聞くと、臓器移植の希望があるならば脳死判定をするのだが、そうでなければ、脳死判定はせず、このまま脳死状態で自然死を待つことになるという。直ぐに返事は出来ずに、家に戻る和昌と薫子。
心臓が動いているのに脳死という事を受け入れられず、薫子は瑞穂を毎日介護し、そのおかげで瑞穂の身体は驚異的な回復をしていき、自宅介護まで出来るようになるが、身体を動かす事は出来ないので、筋肉が弱り、機能は衰えていく。それを見ていた和昌は、ある事を思い出す。
和昌はIT機器メーカーの社長であり、彼の会社では、障がい者向けの高機能運動装置を開発していた。手足が動かなくても、脳神経からの信号を機械が受け取り、手足を自動で動かすシステムが開発されており、それを使って、瑞穂の身体を動かし、筋肉などの衰えを止めれば、もし、目を覚ました時に、万全な身体の状態で生活が出来ると考えたのだ。このシステムの研究開発者の星野に依頼し、瑞穂の身体にシステムを埋め込み、眠っていても身体が動かせるようにして、身体機能を維持することを始める。
眠っているのに、機械により手足を動かす事が出来るようになり、その内、表情まで・・・。喜ぶ薫子だったが、瑞穂の姿を見て、和昌は自分が考えていたのとは違ってきたことに気が付き、薫子に、こんな事は止めようと話すのだが・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、衝撃的でした。今回は、原作を読まずに見に行ったのですが、これは凄かった。
まず、子供が朝出かけて行って、二度と帰ってこなくなるという恐怖がトラウマになりそうでした。これを観てしまうと、子供を外に出したく無くなっちゃいます。自分の手から離すのが怖くなります。行ってらっしゃいっていう言葉が最後になるなんて、思いもよらないですもん。怖かったです。
そして、脳死という状態で娘が帰ってくるという事。これを、親だったらどう理解するのか、観ていて、本当に辛くなりました。確かに、医学的に言えば、脳死ですよ。でもね、脳という機能に心が入っているのかなっていう事なんです。脳と心臓と、どちらの死が本当の死なのかという究極の問題ですよね。ハッキリ言って、いつまで経っても、これは納得の行く回答は出ないと思います。だって、目の前で心臓が動いているんですもん。
でね、脳死だから、もう生き還る事は無いですと言われても、それって、脳信号が出なくなっただけで、もしかして、電気ショックとかで脳の機能が回復するとか無いのかしら。脳が潰れているなら無理だと思うけど、そのまま残っているなら、信号さえ出ればと思っちゃいますよ。でもね、脳死は、”死”なんです。
そこで、臓器移植の話が出るんですけど、確かに、臓器移植を待っている人達が沢山いるのは解っています。そういう方に、臓器を提供して、誰かの中で生き長らえるという選択もあるのだと思います。この映画の中で、臓器移植を待つ子供の親が出てくる場面があるのですが、その親が「絶対に臓器が欲しいと思うのは辞める事にしています。」と言うのですが、臓器を望むという事は、どこかの子供の死を望むことになってしまうかもしれないからなんです。移植を待つ方も辛い立場ですよね。望めないけど、移植して欲しい。そこも究極の選択ですよね。
書きたいことが沢山あるんだけど、ネタバレになっちゃうから、どうにも書きにくいよぉ。愛していれば、愛しているほど、どんどんおかしな方向に行ってしまい、本来の望みとは違ってきてしまう、そんな事が、ここに描かれていました。娘を愛するが故に、母親が狂っていってしまうんですけど、そこには深い理由があるんです。周りからおかしいと言われても、どうしても知りたい事があったんです。彼女にしか分からない、大切な事だったんです。もう、泣けました。
この映画、最初の娘が事故に遭うところから、もう、涙が伝って、大変でした。特に、母親が興奮して包丁を握って騒ぐ部分があるのですが、そこでは、もう、マジで号泣でした。写真では出ていると思うのですが、これ、凄かったなぁ。泣きながら、何が正しいのか、頭の中をぐるぐるして、どうしようもなくなりました。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。これは、ショックを受けて、誰もが考えさせられる作品だと思います。でも、出来れば、子供を持つ年齢以上の方の方が、より、親の気持ちが解るかな。子供が死ぬのは、本当に辛いです。ほんのちょっとした事で、大事故になったりするので本当に目を話したくないけど、自立もさせなきゃいけないし、親って辛いよねぇ。この作品、松竹さんなのですが、「旅猫~」も松竹でしょ。もう、この秋に大泣きさせる映画は、全部松竹さんで、ちょっとぉ、松竹さん、いい作品選んでますねぇ。本の選び方が上手いと思います。うんうん、また、公開されたら観に行っちゃうよ。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。11月16日に公開です。
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