「散り椿」を観てきました。
ストーリーは、
享保15年。藩の不正を訴え出たために藩を追われた瓜生新兵衛。追放後も連れ添い続け、病に倒れた妻・篠は、死の床で最期の願いを新兵衛に託す。それは、新兵衛のかつての友にしてライバルであり、藩追放に関しても大きな因縁を持つ人物・榊原采女を助けてほしいというものだった。妻の願いをかなえるため故郷へ戻った新兵衛は、やがてある確証を得て采女と対峙する。過去の不正事件の真相や妻の本当の思いを知る新兵衛だったが、その裏では大きな力が彼を襲おうとしていた。
というお話です。
享保15年。藩の不正を訴えた瓜生は、仲間だった四天王と呼ばれる剣豪の仲間の一人を切腹に追い込み、仲間の養父を暗殺されるという結果にしてしまい、藩から愛妻・篠を連れて出ていかざるおえなくなってしまう。京に移り住んだ瓜生は、篠と慎ましく暮らしていたが、身体の弱い篠は病に倒れ、死の床で瓜生に最後の願いを託す。昔住んでいた家の散り椿を見て欲しいという事と、四天王の一人である榊原采女を助けて欲しいという事だった。
妻が亡くなり、懐かしい藩へ戻ってきた瓜生は、四天王が通った平山道場へ出向き、暗殺された榊原の養父が切られた切り口を確認すると、手口が四天王が使う剣の切り口だったらしい。瓜生は榊原の養父を殺したのではないかと疑いを掛けられていたが、実際は殺していない。しかし自分以外の人間が殺したとなると容疑者は決まってくる。瓜生は、妻の実家である坂下の家に身を寄せることとし、そこに住む篠の妹・里見と弟・藤吾に世話になるが、藤吾は幼かった為、事件の真相をまったく知らなかった。
坂下の家に身を隠しているが、瓜生の帰還は直ぐに城にも届き、不正に関わっていた家老の石田は、再度掘り返されては、自分の不正も暴かれてしまうと思い、瓜生を亡き者としようと追手を送っていた。何度も襲われ、敵を排除していた瓜生は、不正の現況である紙問屋の田中屋に用心棒をして欲しいと頼まれる。何故自分にと話すと、田中屋は、自分が狙われているのは、不正に関する家老たちとの覚書を持っているからだと話し、瓜生は覚書を守る為に田中屋の用心棒となることを了承する。
榊原は、藩内の不正がまだあることを訴えており、扇野藩若君が着任するに際して、不正を正したいと考えており、家老の石田と対立していた。石田が元凶と判っていても証拠が無く排除出来なかったが、若君が戻ってくるのを期に、今度こそ石田を訴えようと考えていた。そして石田はそんな榊原を潰そうと裏で幾つもの画策を巡らせていた。
田中屋が襲われ、瓜生は覚書を田中屋から預かることにするが、今度は瓜生が狙われるようになり、石田に義弟の藤吾が人質に取られてしまう。藤吾を助けるために、石田の所に赴き、対峙することに。そして覚書は榊原に託したと告げて藤吾を助け出すことに成功するが、今度こそ、本当に榊原が狙われてしまい、瓜生は妻の願い通り、榊原を守る為に動き出す。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
あらすじには、表のお話しか記していませんが、この裏に、妻・篠を挟んでの瓜生と榊原の三角関係があります。元々、篠は榊原と思い合っていたのですが、榊原の義母に身分が違うと反対され、篠は瓜生とお見合いをして、結婚することになったんです。もちろん、篠は、瓜生と思い合って結婚したのですが、瓜生はいつまでも榊原と篠の事を忘れられず、どこか篠に対して負い目のようなものを持っていました。
そんな夫に、篠は最後に榊原を助けてあげて欲しいと頼むのですが、そこには、深い理由があったんです。榊原を思っていた訳では無く、瓜生の為の思いがあったのですが、それはネタバレになるので、映画を観てくださいね。結構、深い意味があって、私は、ちょっと、「面倒臭い事をするなぁ」と思ってしまったのですが、こういう時代なので、開けっ広げに、貴方を愛しているんだから安心してくださいとは言えなかったのでしょうね。うん、深い思いがありました。こんなことを思っていたんだと、最後、ちょっとじーんとしました。
木村監督の映画は、絵が本当に美しくて、とにかく「映画」という感じがしました。最近は、ビデオで撮影する映画が多いので、この雰囲気とは違うんですよね。この美しさは、木村監督ならではの絵だと思います。自然や空気が絵の中にも描かれていて、映画を観ながらでも、呼吸が出来る様な気持ちになるんです。良かったです。
岡田さん、感情の表現の仕方が、すんごく上手くなりましたね。何だか、驚くほど成長が見えて、これってやっぱり結婚されたことが精神的に安定して豊かな感情表現に繋がったのかなと思ってしまいました。以前から上手かったけど、今回ほど、それを感じさせられたのは初めてでした。これから本当に楽しみですね。
他の、西島さんや池松さん、奥田さん、柳楽さん、駿河さん、などなど、素晴らしい役者さんが揃っていて、良かったです。久しぶりに緒形さんを映画で観まして、やっぱりイイなぁと思いました。彼は時代劇に合いますね。そういえば、柳楽さんも時代劇に合うなぁと思いました。彼は、現代劇も時代劇も上手くこなせて、もっと観たい役者ですね。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。時代劇ですが、若い人が観ても、映像が美しくて、共感が出来る内容だと思いました。時代劇版半沢みたいな感じかな。左遷されて、倍返ししてやるっていうほど厭らしくはないけど、正義を貫こうとする人々の美しい逆転劇の中に、深い愛が刻まれているという内容って感じですね。私は、とても楽しめました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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