舞台「MAKOTO」を観てきました。
ストーリーは、
東京・西池袋。
突然妻を失った水谷は、失意の中この街に越してきた。心を殺し、淡々と工事現場の交通整理の仕事をこなし、近所の神社に日参し、本業である(と、本人が思っている)漫画家としての日常を過ごしていたが、義理の弟の三郎から「姉の死因は医療事故」だという連絡が入る。どうしようもなく亡き妻との思い出と対峙するしかない水谷。
その中で水谷は、今日、行動を起こす。
妻・市子の思いを辿る道中、すれ違う人々、関わらざるを得ない人々。
記憶の断片の中に見え隠れする小さな影。それらを追う水谷に生じる疑問と矛盾した感情。果たして水谷の記憶は真実なのか。
今日は、本当に今日なのか。
美しい思い出は彼女にとっても美しかったのか。
人はどのくらいのエネルギーを使えば、大切な記憶を消滅させることが出来るのだろうか・・・。
というお話です。
このあらすじだけでは、内容が良く伝わらないかもしれないけど、こんなお話なんです。妻を病気で亡くした水谷は、辛くて寂しくて、何もかも忘れたいと思っているんです。そんなある日、義弟の三郎が訪ねてきて、姉の死は医療事故だったハズだから、裁判をしようと言ってくるんです。
水谷の妻は、それほど酷い病気では無くて、簡単な手術をすれば治ると言われていたのに、手術中に何かが起きて、亡くなったのでした。確かに、その手術で亡くなるという事は100%では無いにしろ、まず無いと思われたので安心していたんです。すると、突然に亡くなったと言われ、何の心の準備も出来ないまま別れることになったのでした。
だから、いつまで経っても忘れられず、一人の生活に慣れないんです。漫画を描いても、仕事をしても、いつも妻のことが頭から離れず、どうにかして頭の中から妻を追い出したくて、妻の執刀医を訪ねたり、その家族と話したりと、何か結末を付けたいと思って行動するんです。
何の準備も無く、別れることになってしまったら、うろたえてしまうし、ポッカリ穴が空いたような気持ちになるし、言葉では表しきれないような気持ちになると思うんです。でもね、きっと何をしても、その思いは消えないし、時間が解決してくれるまで待つしかないと思うんですよね。抗っても抗っても、忘れられる訳が無いんです。真実を受け入れるしか、自分で納得出来るように受け入れるしか無いんです。そんな事が描かれている舞台でした。
何となく、死が訪れて別れるって、誰にでも訪れるし、それは突然にやってくることの方が多い訳でしょ。前もっていつ死にますなんて言ってくれる訳じゃないですもんね。だから、誰もが経験する、家族ロスという精神的な苦しみを表現すると、こんな感じになるのかなと思い、ちょっと考えさせられました。自分も、家族を失ったら、あんな風になるのかしら。失いたくないけど、必ず、順番に来るんですもんね。うーん、辛い話でした。それを受け入れるには、何をしたら良いのか。
私は、この舞台、お薦めしたいと思います。阿佐ヶ谷スパイダースの新作です。新メンバーを加えて、何となく賑やかになったかなぁって感じでした。この劇団の作品、本当に面白いんです。長塚さんが演出をされていて、いつも良いんです。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
P.S : パンフの最後にチケットを貼るところと、観劇記録の頁があって、凄く嬉しかったです。いつもチケットをパンフを買って、貼っているので、場所が作ってあって、助かりました。
「MAKOTO」 http://asagayaspiders.com/stage.html