「心と体と」を観てきました。
ストーリーは、
ブダペスト郊外の食肉処理場で代理職員として働く若い女性マーリアは、コミュニケーションが苦手で職場になじめずにいた。片手が不自由な上司の中年男性エンドレはマーリアのことを何かと気にかけていたが、うまく噛み合わない。そんな不器用な2人が、偶然にも同じ夢を見たことから急接近していく。
というお話です。
ブタペストの食肉工場で管理職として働くエンドレ。今は独り身で、片腕が不自由である。ある日、肉の検査員が辞めた為に、人事の友人が代理の検査員・マーリアを雇う。どんな人物かと見ると、美しく線の細い女性のようだが、様子を見ていると、コミュニケーション能力に問題があるようだった。
エンドレは管理職だと挨拶をし、少し話をするのだが、あまり会話は進まない。愛称で呼ばれるのも嫌がり、馴染めない。仕事に入ると、とてもマニュアルに忠実に検査をするので、肉のランクが今までのランクより一つ落ちてしまう。融通の利かないマーリアに、周りは引き始め、どうしたもんかとエンドレは考え始め、出来るだけ声をかけて馴染ませようとするのだが、どうも噛み合わない。
そんなある日、食肉工場の牛用の交尾薬が盗まれる事件が発生する。とても強い薬品のため放置は出来ないという事で、警察の薦めにより、犯人を割り出す為に全従業員が精神分析医のカウンセリングを受けることになる。
全員が色々な話を分析医にして行くと、エンドレとマーリアが、夜同じ夢を見ていることが判明する。偶然だろうと思うが、どうしても気になってしまったエンドレは、マーリアと話をしてみると、２人とも森の中で走り回る鹿の夢を見ているようだ。同じ夢を見ているという事で、マーリアもエンドレに心を許し始め、最初の頃のような杓子定規な答えだけではなくなって行く。
マーリアは、自分が上手くコミュニケーションが取れない事に悩んでおり、出来ればエンドレに触れても大丈夫なようになりたいと思って、個人的にカウンセリングを受けて、色々試してみるのだが、あまり上手くは行かない。そんな時、エンドレに誘われ、夜、一緒に合わせて夢を見てみないかと言われる。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、映画祭が喜びそうな映画でした。とっても解り難いけど、ふんわりと心の交流を描いていて、夢というきっかけで、人と触れ合えなかった女性が触れ合えるようになり、一人が良いと思っていた男性が人と寄り添う喜びを知って行くという内容でした。良い映画なんですけど、凄くゆったりした雰囲気で、じれじれした部分もあって、私はちょっと途中で辛くなったかなぁ。ハンガリー映画というのに、あまり慣れていないからなのかもしれません。
最近、このコミュニケーション障害というのが流行っているのか、簡単にコミュ障って言っている人もいるけど、本当は、この映画のマーリアみたいに真剣に困っている人もいるんだと思うんですよね。人と話せない話したくないだけでは、別にコミュ障じゃないと思うんです。彼女のように、色々な事が曲げられない。自分の考えた通りに収まらないと我慢が出来なくて抑えられないという、本当に自分が何とかしたくても、治せない方がコミュ障なんじゃないでしょうか。ただ、人と関わるのが面倒な人はコミュ障じゃないでしょ。それは逃げです。
この映画を観ると、マーリアは本当に助けを求めているんですよ。エンドレに頼りたくても頼れないという様子が、とても良く描かれていました。その自分ではどうにもならないジレンマが、エンドレにも伝わって、彼も助けたいと思っているんだけど、強引にするとマーリアが壊れちゃうから出来ないという、もう、きゃ～！イライラするぅ～って感じなんですよ。だから、私も辛くなっちゃったのよね。
でも、辛いながらも、楽しめましたよ。うん、こんな関係もあるんだなと思って、ちょっとじれじれしながらも、少し憧れたりして、良い雰囲気でした。エンドレとマーリアは、年が離れていそうだったけど、どうだったのかしら。結構、年の差カップル的で、素敵でしたよ。
そうそう、鹿の夢は二人を繋ぐ鍵で、何故、それが起きたのかは分からないけど、牡鹿と牝鹿が雪の森の中で出会い、一緒に歩いて行くというイメージは、彼らの未来を描いていたのかなと思いました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。でも、結構、私のようにじれじれするかもしれません。でも、最期はスッキリしますから、それまでは我慢してくださいね。まだ、ポロポロ上映をしている映画館があるので、探して観て下さい。DVDがもうすぐ出るかもしれません。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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