「累 -かさね-」原作も良いけど、映画も重量感のある素晴らしい作品に仕上がっています。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「累 -かさね-」を観てきました。

 

ストーリーは、

伝説の女優を母に持つ淵累は、天才的な演技力を持ちながら、顔に大きな傷がある自身の容姿に強いコンプレックスを抱きながら生きてきた。一方、舞台女優の丹沢ニナは美貌に恵まれながらも花開かず、女優として大成することに異常な執念を募らせていた。累の手元には、その口紅を塗ってキスをすると顔が入れ替わるという、母が遺した1本の不思議な口紅があり、ある日、導かれるように出会った累とニナは、互いの足りない部分を埋めたいという目的のため、口紅の力を使って入れ替わることを決断する。

というお話です。

 

 

子供の頃から、醜い容姿によって、周りから蔑まれてきた累。母親は伝説の女優・淵透世であったが、何故か、娘の累は、母親に似ず、凡庸な顔を持ち、その上、小学生の時に顔に酷い傷を負った為に、蔑まれるようになってしまったのだ。母親の法事で親族に会い、またも蔑まれた言葉を投げつけられ逃げるように帰ろうとする累に声を掛ける男がいた。

 

男の名は羽生田と言い、累の母親の知り合いらしい。何か話があると言われ、ついて行くと、舞台女優の丹沢ニナという女性と会う事になる。丹沢ニナは、美しい容姿に恵まれているが演技の才能が無く、成功は難しいと思われていた。そこで、淵透世が使っていた顔が入れ替わる口紅を使って、累にニナと入れ替わって欲しいと言うのだ。累は、母親から受け継いだ天才的な演技力を持っていたが、容姿の為にそれを生かす事は無かったのだ。

 

 

羽生田とニナに話を持ち掛けられ、不安ながらも、入れ替わりを了承し、ニナと入れ替わって、オーディションを受けることに。累の演技力を疑っていたニナと羽生田だったが、オーディションでの演技で認められ、見事、話題の舞台の役を射止める事となる。舞台演出家は烏合と言い、今話題の有名な人物で、ニナの憧れの人だった。

 

舞台はチェーホフの「かもめ」。累は練習を重ねていく内に、烏合に気に入られて親密になって行くのだが、口紅で入れ替わる時間はきっかり12時間。舞台の練習をして、夜も一緒に誰かといる事は出来ない。どうしても烏合と夜を過ごしたいと思った累は、ニナに嘘をついて入れ替えを夜も継続して貰おうとするが、嘘がばれてしまい、ニナに烏合との時間を奪われてしまう。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

 

私、この原作が好きで、ずっと読んでいまして、実写化されたら面白いだろうなと思っていました。今回、実力派の方々が集まり、実写化、確かに面白かったです。原作6巻までの丹沢ニナとの話で、確かに、全部やるのは難しいので、良かったのかなと思いました。この先は、もっとドロドロしてくるので、映画化するのは、これが最良だったのだろうと思います。もちろん、映画としては、十分に重量感があったし、楽しめました。

 

それにしても、主演の土屋太鳳さんと芳根京子さん、素晴らしかったです。本当に最近の若手の女優さんって、よく勉強しているし、上手いなぁと思いました。気迫に迫る演技に、ゾッとする場面もありましたもん。思っていたよりも、高いレベルに仕上がっていたと思います。映画の中の舞台「サロメ」が凄かった。サロメを累が演じるのですが、その描き方が上手かったなぁ。狂気に似たものが見えるように演出してあり、良かったです。

 

 

聖書の話とは違って、母親に騙されて”ヨハネ”の首をヘロデ王に望むのではなく、サロメの愛を拒んだ”ヨカナーン”を自分のものにする為にヘロデ王に彼の首を望み、盆に乗せて持ってきてもらうんです。その狂気たるや、凄かった。土屋さん、本当に上手くなりましたねぇ。

 

話としては、ちょっと分からない部分が多かったんじゃないかな。映画では、淵透世が誰と入れ替わっていたという事も分からず、羽生田も知り合いというだけで淵透世との関係は描かれていなかったので、まぁ、累の話だけを中心にしたのかなと思いました。

 

 

原作ファンの私としては、とても満足しているんです。話は、ちょっと違ったりするけど、ここまで主演女優さん2人が頑張ってくれていると、文句は言えません。というか、文句がありません。こんな若手が、これからどんどん成長していくのかと思うと、凄く楽しみになりました。映画やTVだけでなく、舞台もやって欲しい。この2人なら、きっとどんな役でも挑戦出来ると思いますもん。ぜひ、お二人の生の舞台を観てみたいと思いました。

 

 

そう言えば、横山さん、何で出てきたの?ほんの少しだったし、別に彼じゃなくても十分だったのに。周りがあまりにも演技が上手いので、浮いていて可哀想になっちゃいました。こういう演技派が出る映画に、ジャニーズ枠の方は可哀想。演技の勉強をしていないことがバレバレに出てしまいます。本気で取り組むのならまだしも、ちょっと顔を出すだけなら、辞めた方が良いです。自分の首を絞めてしまう。考えて欲しいです。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。話も面白いし、役者さんたちも上手いです。そこらのアイドル映画を観るのとは全く違い、重量感のある作品に仕上がっています。原作ファンの私としては、十分に満足の出来る作品になっていました。欲を言えば、この先の話はどーなるのかなぁと思いましたが、続編は無理かなぁ。このレベルの演技をしてしまうと、次に出てくる”野菊”ちゃんの役の子を選べないんじゃないかなぁ。若手で美しくて、このレベルでという子が、この二人の他に居るのか私には解りませんが、もし居るのであれば、ぜひ、原作最後の「暁の姫」という舞台が実写で観てみたいです。でも、この映画だけでも、十分に面白いし、楽しめるし、満足出来るように仕上がっているので、ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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