「ヒトラーを欺いた黄色い星」を観てきました。
ストーリーは、
1943年6月19日、ナチスの宣伝相ゲッベルスは、首都ベルリンからユダヤ人を一掃したと宣言。しかし実際は約7000人のユダヤ人がベルリン各地に潜伏しており、そのうち約1500人が終戦まで生き延びた。運良く収容所行きを免れ、ドイツ人兵士に成りすましてベルリン市内の空室を転々としていたツィオマは、ユダヤ人を救うための身分証偽造を行う。戦争未亡人を装って映画館に出かけたルートは、ドイツ国防軍の将校にメイドとして雇われる。16歳の少年オイゲンは、ヒトラー青少年団の制服を着て身元を偽りながら、反ナチスのビラ作りに協力する。そんな彼らは・・・。
というお話です。
1943年6月19日、ナチス宣伝相ゲッペルスは、首都ベルリンからユダヤ人を一掃したと発表する。しかし、実際は7000人のユダヤ人が潜伏していた。その中で生き延びた4人の男女がいた。
1人目は、ツィオマ・シェーンハウス。男性・20歳。ツィオマは、当局に両親と共に出頭させられ、収容所送りにされそうになったが、咄嗟に、技術者なので勤めている武器工場に戻れと言われていると申告し、移送を免れるが、その場で両親は収容所に送られてしまう。もう自宅には戻れず、工場に戻れというのは嘘なので工場にも行けず、ナチスの下級兵士と偽って部屋を借りる。そして手先が器用だった事から、身分証の偽造が上手く、それを認められて隠れているユダヤ人の偽造身分証を作る仕事を請負うようになる。そして・・・。
2人目は、ルート・アルント。女性・20歳。医師であった父親のツテを辿り、キリスト教徒の家に家族と共に匿って貰うが、ナチスの目は厳しくなり、食料の配給は住民分しかない為に苦しくなって行く。そして部屋数が多いならナチス軍に提供するようにと、家の中まで調査が入り出し、キリスト教徒の家には居られなくなってしまう。家族バラバラに、色々な家に匿われるが、それも難しくなり、ルートと友人のエレンだけで、ドイツ国防軍ヴェーレン大佐の家のメイドの仕事を得る。ヴェーレン大佐は、ルートたちがユダヤ人だという事は気づいていただろうが、何故か食事を与え、守ってくれた。そして・・・。
3人目は、オイゲン・フリーデ。男性・16歳。母親の再婚相手がドイツ人だった為、家ではオイゲンだけがユダヤ人の星を付けなければならなかった。ユダヤ人狩りが酷くなり、オイゲンだけ共産主義者の家に潜伏させられることになる。そんなある日、ヴィンクラー宅にテレージエンシュタットの収容所から脱出してきた男が、ユダヤ人虐殺の恐ろしい実態を打ち明ける。ヴィンクラーは、反ナチスのビラを作成し、ドイツ人に郵送する事を始め、オイゲンも手伝う事に。しかしヴィンクラーは密告により逮捕されてしまい・・・。
4人目は、ハンニ・レヴィ。17歳。両親を亡くして、知り合いのユダヤ人一家と暮していた孤児のハンニは、一人、収容所行きを免れて、母の友人のキリスト教徒の家に匿われ、髪を金髪に染めて、ハンネローレ・ヴィンクラーという偽名で別人となる。ユダヤ人としての素性はを隠す事に成功するが、隠れ家を失ってしまい、街を彷徨い、映画館で時間を潰す事に。そこである男性に声をかけられ、彼は戦地行を間近に控えており、時間があったら映画館の受付をしている母親の話し相手になってやって欲しいと頼まれる。男性は戦地に行き、母親に声をかけて、自分はユダヤ人で逃げ場がない事を告白すると、彼女はハンニを自宅に匿い、親子の様に暮らすようになる。しかし・・・。
こんな4人の実話を、本人の話と合わせながら、映像化しています。それぞれの結末は、映画を観て下さいね。
ドキュメンタリー映画では無いのですが、本人が話しをしているので、半分ドキュメンタリーですよね。もちろん、脚色はしているでしょうが、この時代にベルリンで潜伏していたユダヤ人が、どれほど緊迫していたのかと言うことが良く分かりました。ユダヤ人を悪く思っていないドイツ人も沢山いたと思うのですが、ナチスが強いので、誰も言い出せず、自分たちが生きるだけでも大変な中で、それでもユダヤ人たちを匿ってくれていた方々がいたということを描いていました。
確か、ルートさんがおっしゃっていたのですが、ドイツ人全てが悪い訳じゃない。良い人も沢山いたのだけど、ナチスという名の前に、どうしようもなかったんだと言ってらっしゃいました。ユダヤ人と言うだけで恨まれて、殺されるなんて、やっぱり誰もがおかしいと思ったのだと思います。でも、誰も言い出せない空気がそこに作られてしまっていた。戦争とは恐ろしいものです。
この映画の面白いところは、確かに潜伏して、緊張の連続の中で生活をしているのですが、時々、人間的なところが描かれているんです。ツィオマは、偽造身分証を請負っているのですが、ぼんやりしているところがあり、預かっていた身分証をストーブで燃やしてしまったりするんです。上司は、うっかり燃やしたというツィオマに、ワザと燃やしたんじゃないかと言うのですが、本当にぼんやりなんですよ。こんな重要な物を燃やすなんて、スパイじゃないかと思われたりするのですが、本当にツィオマは抜けていて、ちょっと笑えました。
ルートは息が詰まるからと言って、エレンと未亡人の振りをして黒い顔を隠す帽子を被って、外を散歩しているんです。危ないなぁと思うのですが、結構、そうやって大胆に息抜きをしていたようでした。
でも、戦争でドイツが危なくなってきて、ベルリンにも空襲があるようになってくると、どんどんナチスによるユダヤ人の捜査が厳しくなって、大変そうでした。それぞれに逃げ場を探して隠れるのですが、次々と逮捕されて行ったようです。この4人は、最期まで逃げ延びられたからこそ、こうやってお話をしてくださっていたんです。でも、その内容は凄い物でした。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。この時期、戦争映画が多くて、ちょっとイヤになりますが、仕方ないですね。この映画は、良くある戦争映画とは違い、戦ったり、殺されたりという場面は少ないです。ほとんど無いと言っても良いと思います。彼らが逃げ延びた軌跡を描いているので、戦争の恐ろしさを知るには、良いと思いました。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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