「マクガワン・トリロジー」の舞台を観てきました。
ストーリーは、
一部:狂気のダンス
1984年10月13日、イギリスはブライトンでIRAによる爆弾テロが起きた翌日。IRAのアジトとみられるベルファストの酒場で、ショーン・アハーンが寛いだ様子で酒を飲んでいる。ドアブザーが鳴り、インターホンから聞こえたのは、自ら殺し屋を名乗るヴィクター・M・マクガワンの声。アハーンと顔見知りだと知ったバーテンダーはドアを開け、彼を招き入れる。
ヴィクターが上記を逸した言動でバーテンダーを振り回しているうちに、酒場にはIRA司令官のペンダーが姿を現す。ペンダーとヴィクター、そして外で見張りをしているドイルの目的は、アハーンへの尋問だ。彼らはアハーンがスパイで、武器集積場がイギリス兵に襲撃されたのは、アハーンが情報を漏らしたせいではないかと疑っているのだ。尋問は次第にエスカレートし、IRAの”殺人マシーン”の異名に相応しいヴィクターの狂気が露わになって行く。
二部:濡れた背の高い草
1985年8月14日の夜明け前、ベルファストから車で3時間ほどの場所にあるキャロウ湖のほとり。ヴィクターが車を停め、トランクから猿ぐつわをはめた女を外に出す。女はヴィクターの幼馴染で、ここは二人がよく知る湖だ。ヴィクターが猿ぐつわを外すと、女は何事もなかったのように昔話を始めるが、自分が殺されるためにここに連れて来られたことを知っている。
「お願い、殺さないで。」かつで思いを寄せていた女に懇願され、”殺人マシーン”の心に人間らしい葛藤が生まれる。女は確かにIRAの規則に違反をしたが、果たしてそれは殺されなければならないほど重い罪なのだろうか。迷った末に、ヴィクターはついに決断を下す。
三部:男の子たちが私の前を泳いで行った
1986年8月14日の夜、ヴィクターの故郷ゴールウェイにある老人施設。老いた母親メイが眠る部屋に、目の周りいあざを創ったヴィクターが忍び込んでくる。目を覚ましたメイは、痴呆が進んでヴィクターを自分の弟パディーと勘違いしているようで、話がなかなか噛み合わない。
だがそんな二人の会話から、あのベルファストの酒場やキャロウ湖のほとりでヴィクターの言動を裏付ける、彼の過去が少しづつ明らかになって行く。”ミドルネーム”や”イリヤ・クリヤキン”、”ヴィニー・バトル”、”リーバー神父”の意味とは?そして最後にメイが口にしたヴィクターにとって思いがけない事実と、それを聞いたヴィクターが取った行動とは・・・。
以上、3部構成の作品です。
松坂桃李さん主演で、高橋恵子さん、趣里さん、谷田歩さん、小柳心さん、浜中文一さん、が出演されていました。
この作品、私が気が付いた時には既にチケットは完売で、観れないなぁ~と思っていたのですが、Twitterでこの舞台の記事が出ていて、もー、居ても立っても居られず、チケットが欲しいと見てみたら、パブリックシアターのサイトで、”見切れ席”というのが売り出されていて、少し見切れても観たい!と思い、購入して行ってきました。水曜日に行ったのですが、チケットを購入したのは日曜日だったかな。
見切れ席でしたが、1階席の前から5列目くらいで、凄く近かったんです。確かに、一部、見切れてたかな。でも、そんなに内容が分からないほどの席ではありませんでした。観に行けて良かったです。
このIRAのアイルランド問題ですが、何度合意をしても、何だか、くすぶっていますよね。何度もテロが起きて、沢山の映画になっています。このベルファストという街も、本当に恐い街で「ベルファスト」という映画があるのですが、迷い込んでしまったイギリス兵が、その街を抜け出すのに大変な戦いをするというもので、本当に恐ろしいと思いました。
でも、私、何度、話を聞いても、何度、色々な映画を観ても、確かに宗教を変えろとかいう問題はあるけど、どちらもが、少しづつ譲歩すれば、何てことは無い内容だと思うのですが、どうしても譲れないんでしょうね。全く、本当にいつになったらスッキリするのか。今でも、思い出したように問題が起きていますもんね。そろそろ、宗教だけの問題では無くなってきているようで、日本の慰安婦問題と同じように、いつまでもジュクジュクしているイギリスの厄介事なのでしょう。
そんなIRAの殺し屋であるヴィクター。自分たちが常に正しいと思っていて、裏切り者は許さず、ひよった年寄りも厄介者だと殺してしまう。好きだった幼なじみの女の子も、自分たちの規則に従わなければ、それが些細な事でも許さない。そして母親でさえも・・・。狂っているんです。もう、そういう組織の中に取り込まれ、それが全てになってしまった男には、周りの事が見えなくなってしまっているんです。人間が主でなければいけない世界なのに、組織が主になってしまっている。間違っていることを、誰かが教えてやれば良いのに、怖がって誰も言わないんです。そして、凶暴になった男は、やりたい放題になっていく。
でも、きっと、この後にイギリスとの合意をする訳だから、ヴィクターのような過激な人間たちは、粛清されてしまったかもしれませんね。もー、その粛清って考え方もおかしいよ。仲間に何でそんな事すんの?間違っているって解らないのかなぁ。時代と言ってしまえばそうなのかもしれないけど、納得は出来ません。
そんな時代のお話でした。面白かったですよ。このIRA問題って、嫌というほど映画が作られているので、舞台で観るのは新鮮でした。面白かったです。
松坂さん、どんな役でもこなせるエキスパートになってきましたね。舞台をされていると、驚くほど成長するので嬉しくなります。そして、私の好きな趣里さん、さすがでした。彼女の舞台は、ここ数年のは全て観ているのですが、やっぱり上手いです。彼女にしか、この雰囲気は出せないよなぁ。私のお気に入りは「黒塚家の娘」なのですが、あれ、また観たいなぁ。
私は、この舞台、超!お薦めしたいと思います。これは面白いです。短編3部からなっていて、ギュッと観せてくれるので、楽しめますよ。2時間半くらいの舞台です。ぜひ、観に行ってみて下さい。当日券、あるようですよ。私の様に、見切れでも良ければ、前の方で観れるかも知れません。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「マクガワン・トリロジー」 http://www.mcgowantrilogy.com/
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