「未来のミライ」の試写会に連れて行って貰いました。
ストーリーは、
とある都会の片隅。小さな庭に小さな木の生えた、小さな家に暮らす4歳のくんちゃんは、生まれたばかりの妹に両親の愛情を奪われ、戸惑いの日々を過ごしていた。そんな彼の前にある時、学生の姿をした少女が現れる。彼女は、未来からやってきた妹ミライだった。ミライに導かれ、時を越えた冒険に出たくんちゃんは、かつて王子だったという謎の男や幼い頃の母、青年時代の曽祖父など、不思議な出会いを果たしていく。
というお話です。
横浜のある場所に建つ小さな家。その家は、傾斜地に建つ平屋である。そこで暮らす4歳のくんちゃんは、窓の外を眺めている。すると電話がかかってきて、ばあばが出ると、お母さんがこれから帰るという。くんちゃんのお母さんは、妹を産んで、これから帰ってくるのだ。
家に着いた両親と妹。くんちゃんは、初めて見る妹に興味津々。いじりたいけど、いじらせて貰えない。その日から、両親は、妹にかかり切りで、くんちゃんをかまってくれない。遊んで欲しくても、お父さんもお母さんも、必死で妹の世話をしている。ぶーたれたくんちゃんは、犬のゆっこと遊ぶしかない。
かまって貰えずに庭で泣いているくんちゃんの前に、謎の男が現れ、彼は、かつてこの家の王子だったと話し、くんちゃんと遊び始めるが、ふと見ると、直ぐに消えていた。しばらくすると、今度は、庭でくんちゃんに”お兄ちゃん”と話しかける声が聞こえる。見上げると、女子高生がくんちゃんに向かってお兄ちゃんと言っている。自分は未来から来た妹の”ミライ”だと話す。そして、何故か、出してあるお雛様を仕舞って欲しいとくんちゃんに頼み込む。何とか、お父さんに見つからずにお雛様をしまったくんちゃんとミライちゃん。すると、ミライちゃんは消えてしまう。
またしばらく経つと、今度は、庭に居たのに、凄い田舎の道に居る事に気が付く。そして、目の前には、見た事があるような顔の男の人が立っていた。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、面白いのですが、解説がしにくいなぁ。というか、解説が出来ません。観て貰うのが一番な作品です。この映画、一つのストーリー=事件を描いているのではなく、くんちゃんという4歳の男の子が、妹が出来て、一身に受けていた愛情を妹に取られてしまい、初めて嫉妬をし、その気持ちの変化によって、色々な時代の人に出会い、くんちゃんという人間が、どんな人たちによって生まれてきて、今生きているのかと言うことが、じんわりと解かってくるという内容なんです。だから、今までの映画のように、タイムリープして助けるとか、爆弾を解除するとか、そういう作品とは違い、たくさんのピースが集まって、最期に一つの絵になるという映画なんです。
横浜と書きましたが、駅がいくつか出てきて「いそご」という名前とかが出ていたし、確か、ばあばが横浜って言っていたと思うので、横浜としました。間違っていたら教えてね。
私は、この両親の立場からつい観てしまったのですが、子供が生まれると、どうしようもなくバタバタしてしまって、それまで大切だったものが疎かになってしまうのは、仕方の無い事ですよね。だって、赤ちゃんって、そこに生きているだけで、自分では食べる事も、動くことも出来ないんですもん。そりゃ、手がかかります。そうなると、先に生まれていた子供はかまって貰えずに嫉妬しますよね。それを親は、”お兄ちゃんでしょ。我慢しなさい。”って言って抑えてしまう。これも仕方がない事。
そして、上の子供は、「お兄さん」という生き方をさせられてしまう。だから上の子供って、しっかり自立出来る子と、嫉妬を拭い去れずに親にベッタリになる子と二通りになっちゃうんです。大体、この2パターンよね。下の子は、上の子の成長を見ているから上手く立ち回って、ズル賢くというと言い方が悪いけど、要領の良い子になるんですよねぇ。ああー、私も兄弟が欲しかった。
ひとりっ子だと手本になる人は居ないし、甘やかされたでしょって言われるけど預けられていたから、かまって貰った覚えも無いんですよ。欲しい物は買って貰えたから甘やかされていたのかも知れないけど、小さな頃から一人遊びだと、くんちゃんみたいに騒いでかまって貰おうとする気持ちが解らないのよ。別に、一人で遊べばいいじゃんって思っちゃって、あまりくんちゃんの気持ちに共感は出来ませんでした。
くんちゃんは、自分の家族の過去と未来を見て、この世界には、たくさんの愛が溢れていることを知って、自分も、愛される事だけを望むのではなく、愛を与えていかなくちゃいけないって思い始めるんです。自分が沢山の愛を与えていく事によって、自分も、沢山の愛を貰えることを知るんです。
本当に、この映画の良さを伝えるのが難しい。過去と未来の家族とのふれあいに関して、表面だけを観ていたら、凄く深い愛を描いていることが伝わってこないと思います。これ、本当に長い時をかけて続いてきた、深い愛の物語なんですけど、くんちゃんのギャーギャーする姿と、不思議なイケメンとか女子高生とかに出会って、教わっている事だけを見ていると、この愛は解らないだろうなぁ。
言いたい事は、どんなに今かまって貰えてないと思っても、今、そこに生きているだけで、その一身に愛を受けて生きているんだよって事なんです。たくさんの人が、愛を紡いできて、そのめぐり逢いと偶然によって、ここに自分が生きていられると言うことが、込められているんです。愛に溢れているんだよって、教えてくれている映画でした。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。本当は、超!と付けたいけど、この映画、解る人と解からない人がいると思います。だから、賛否が分かれると思います。でも、私は、好きな映画でした。4歳児のくんちゃんは、クソガキでうるさいけど、でも、誰もが通る道だからね。仕方ないわよ。最後の一つだけ、私は、くんちゃんの声、ダメでした。イマイチ、4歳児の声として受け入れられませんでした。上白石さんが頑張っているのは分かったのですが、ゴメンナサイ。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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