舞台「半神」を観てきました。
ストーリーは、
ある学校の先生が、好きな戯曲があるが、みんなで演じて見るかと問い掛ける。小学生だけど やってみるという子供たちと一緒に、舞台を作り始める。
痩せこけて醜い容姿ながら高い知能を持つ姉のシュラ。誰からも愛される美しい容姿だが知能が低く話す事も出来ない姉のマリア。二人は生まれつき離れられない、身体がつながった結合双生児の姉妹だった。
シュラとマリアの両親は、姉妹が世間を知らぬ間に死んで行けば、自分たちの不幸に気づかないで済むと考え、家庭教師を雇って「家という世界だけで、世界をかいま見せてやってほしい」と依頼する。
一方、化け物の世界、ベンゼンの国のはてから、いたはずの双子がいなくなる。そしてなぜか代わりに現れた頭のぼけた老数学者が「らせん方程式 1/2+1/2=2/4 」の答えを考え続けていた。
いなくなった双子を引き戻す為、バスタブの渦をつたって姉妹の家の風呂場に現れる化け物たち。彼らは姉妹に「人の世界にそのままいれば、身体に無理がきて、死んでしまう」と告げる。そして化け物の世界へ戻ろうと誘うが、「人間の女の子でいたい」と抗うシュラに、謎を問い掛ける。生きる為に謎を解こうとするシュラ、だがシュラとマリアの身体は10歳の誕生日を前に衰弱し始める。そんな姉妹に向かって、家庭教師は二人を救う方法を見つけ出すと誓うが・・・。
というお話です。
野田版の「半神」は観る事が出来なかったので、今回の中屋敷版を楽しみにしていました。原作は、私の大好きな萩尾望都さんの漫画「半神」です。その昔、この漫画を読んだ時、ショックでした。なんて悲しい話なんだろうと思い、今になっても、読み返す作品です。
忌み嫌っていた自分の双子の妹。やっと一人になれて幸せになれると思ったのに、自分という人間は、彼女がいたから自分だったという事に気が付くんです。自分の半身=半神を無くしたら、心も半分になってしまったというお話なのですが、それをどのように舞台演劇にしたのか、やっと観れました。
双子の気持ちと、周りの人々の気持ち、そして彼女たちを取り巻く不思議な世界からの問い掛けが、とっても不思議な世界を生み出していて、楽しかったです。でも、あの数学者が謎を解いて、化け物の世界とつながるという部分が、原作を読んでいる自分からすると、要らないような気がしたのですが、螺旋で絡まった二人は、遺伝子(DNA)で繋がった二人という事で、彼女の心を分かり易く表現するのに作ったのかなと思いました。
シュラとマリアですが、申し訳ないのですが、マリアを演じてられた藤間さんがとても上手くて、シュラの桜井さんと並べてしまうと、どうしてもバランスが悪く見えてしまいました。桜井さんは、まだあまり舞台を経験されていないのかな。藤間さんの演技の細やかさと品のある動きをどうしても追ってしまい、目立つシュラが雑に見えてしまうんです。シュラは汚く見えて良い役なので、雑でも良いのかもしれませんが、見た目を綺麗に派手にしているから、そこがどーもバランスが悪いんです。見た目もシュラとして汚くしてくれていれば、もっとシュラとマリアのバランスが良くなったのかも知れません。
演出は良かったと思います。でも、舞台上が斜めになっていて、出っ張っている箱の上に乗るというのは、どーも、観ていて怖かった。不安定なんですもん。落ちたらどーすんだって思って、ちょっとドキドキしてしまいました。スリルとサスペンス、アクションの演劇では無いので、落ち着いて見れる舞台だと良かったな。
でも、私は、とても満足した舞台でした。面白かった。念願の「半神」がやっと観れて、嬉しかったです。やはり、萩尾望都先生の話って、イイなぁ。大好きです。ちょっと文句も書いてしまいましたが、全体的には、とても良い舞台なので、ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「半神」 https://www.hanshin-stage.jp/
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