「告白小説、その結末」を観てきました。
ストーリーは、
自殺した母親との生活をつづった私小説がベストセラーとなったものの、その後はスランプに陥ってしまった作家デルフィーヌの前に、熱狂的なファンを自称する女性エルが現れる。本音で語り合えるエルに信頼を寄せ、共同生活を始めたデルフィーヌだったが、エルが時折みせるヒステリックな一面や可解な言動に次第に翻弄されていく。やがてエルの壮絶な身の上を知ったデルフィーヌは、その話を小説にしようとするのだが・・・。
というお話です。
自殺した母親との生活を書いた小説がベストセラーとなり、一躍有名になった作家のデルフィーヌ。1作目は良かったものの、次の小説が書けずに、スランプに陥ってしまう。母親をネタに書いた小説で名声を得たので、母親を売ったという罪悪感が消えずに、苦しんでいたのだ。いつまで経っても、目の前にチラつく母親の影を見て、何も書けない。
あるサイン会で、あまりの疲労の為にサインを切り上げ、断わってしまった女性が、再度、目の前に現れ、デルフィーヌにサインを求める。一緒にウォッカを飲みながら話をして、気持ち良くサインに応じるデルフィーヌは、エルというとても美しい彼女に惹かれていく。
デルフィーヌは夫と別居婚をしており、一人で暮らしていたのだが、エルが家を追い出されたから少しの間置いて欲しいと頼まれ、共同生活を始める事にする。エルも小説を書いており、有名人のゴーストライターとして書いていると聞き、お互いの悩みを相談できると思ったのだった。そんなエルは、時々、ヒステリックになったり、デルフィーヌを束縛するようになって行く。彼女には、何か胸に秘めた悩みがあるのではないかと探って行くデルフィーヌ。
エルは、自分を受容れてくれたデルフィーヌを信用し始め、ぽつぽつと、自分の壮絶な人生を語り始める。デルフィーヌは、エルの過去を小説に書こうと考え始め、それを記録するようになって行く。そして・・・。あとは、映画を観て下さいね。
自伝を書いて売れてしまった作家が、次の題材が浮かばずにスランプに陥り、誰かの人生を取材して、書こうとするお話なのですが、その”誰か”とする女性が、何とも怪しい女性で、とっても恐いんです。何処からともなく現れて、とても魅力的な雰囲気でデルフィーヌを誘惑するんです。
エルは、一緒に住むようになり、デルフィーヌを追い詰めて行くのですが、何でそんな事をしているのか、全く判らないんです。理由が見つからないんですよ。もしかしたら親族の人間で、デルフィーヌが母親の自殺を小説に書いたことで、一族が白い目で見られるとかなら解るけど、親族でも無く、まして一族が白い目で見られるというよりも、彼女の本がベストセラーになった事で尊敬されるほどになっている。誰も不幸になっていないのに、デルフィーヌは追い詰められていくんです。
酷いんですよ、何か、美味しそうな食事を作ってくれて、信用して食べているんだけど、毒が盛られていたり、突き落とされて、足を折ってしまったり、何だか、酷い状況に陥って行くんです。普通なら、直ぐに逃げ出したり、誰かに助けを求めると思うんだけど、何故か、上手く行かないんですよねぇ。
で、最期の最後で、大どんでん返しが起きて、凄い事実が判るんですけど、それは、観てのお楽しみ。映画を良く観ている方には、きっといくつか思い当たるどんでん返しがあると思うけど、そのどれかです。今までにも見た事のあるお話です。でも、良く出来ていました。
デルフィーヌは、それまではあまり化粧をせずに、ちょっとオバサンっぽい雰囲気を出していたのですが、最期には、美しく赤い口紅を塗って、ニヤッと笑う顔が、何とも美しくて、恐ろしく見えました。
そうそう、デルフィーヌの別居婚をしているご主人がいるのですが、あまり役に立たないんですよ。彼女を愛していると言いながらも、デルフィーヌの事を何も理解出来ておらず、マジで”役立たず!”って言ってやりたくなりました。フランスの男性って、どーも、口は上手そうだけど、本当には役に立たないような気がしました。やっぱり日本人の方が使えるような気がしたなぁ。あ、使えるとか書くと、主人に怒られそうだな。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。サスペンス映画としては、良く出来ていたと思います。最後まで判らないし、その結果も、ゾッとして恐さがじわじわくるので、良かったと思いました。こういうの、ヒューマンスリラーって言うのかな。別に、妖怪や幽霊が出てくる訳じゃないけど、恐いと思いました。サスペンス系がお好みの方には、とっても良いと思います。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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