舞台「ニンゲン御破算」を観てきました。
ストーリーは、
頃は幕末。江戸の街。大の芝居好きで、家も侍分も捨て、狂言作者を志す加瀬実之助は、人気狂言作者・鶴屋南北、河竹黙阿弥のもとへ弟子入りを志願していた。ダメ出しばかりされるなか「あなた自身の話の方が面白そうだ」と言い放たれて実之助は、自分、そして自分の人生に関わるニンゲンたちの物語を語り始める。
「私というニンゲンの狂言がゴワサンになるやならざるや」
天保の改革以降、物価高騰や増税などにより藩の財政はひっ迫。農民たちの暮らしも苦しく、地方の大名たちは藩政改革を迫られていた。加瀬家が使える松ヶ枝藩も同じ事。一方、江戸では浦賀にペリーが来航。開国へと舵を切ろうとする幕府と、それに反発する攘夷派との間での対立が激化していた。
もとは松ヶ枝藩勘定方の実之助。幼馴染のお福との祝言を済ませたばかりにもかかわらず、奉行からの密命を果たす為、同市の瀬谷や豊田と共に廃墟の芝居小屋へと向かう。そこでは、男たちがキンコンとコバンを叩いていた。藩の財政難の穴埋めにこっそり偽金ぢくりを行っていたのだ。しかbし、公儀の目が厳しくなってきたおり、藩から職人たちを斬り捨てることを課せられていた実之助は、保身のためと渋々ながらに職人たちを次々に殺めていく。
その様子を通りすがりの黒太郎と灰次のマタギの兄弟が偶然にも目撃。彼らは殺しの事を黙っている代わりに自分たちを侍にしてくれるよう実之助に取り引きを持ち掛ける。さらに、そこへ駆け込んでくる娘が一人。黒太郎たちの幼馴染で、村から吉原の遊郭へ売られて行く途中のお吉だった。そして兄弟が彼女を救おうと小屋を離れたちょうどその頃、実之助は瀬谷や豊田の裏切りに合い、悪事の責任をすべて負わされ、切腹を迫られていた。
というお話です。
江戸時代に、武家に生まれたのに狂言作者をやりたいと思って、飛び出して弟子入りしようとすると、断わられちゃうんですよ。で、自分の人生を狂言にして話し出すんですね。そうすると、とんでもな人生が語られるんです。
阿部さんの演技、面白くてコミカルなのに、どこかゾッとするような恐さがあって、凄いなって思いました。この実之助って、最初は、とっても無垢だと思うんです。世間知らずのボンボンで、自分の望みを叶えるために猪突猛進してしまうタイプの男性なんですけど、裏切りにあったり、作品が認められなかったり、お金が無くなったりして、世間の辛さを思い知って、どんどん、黒くなっていく。周りに染まって行く感じが、とても良く出ていたと思うんです。さすがでした。
岡田さんと多部さん、本当に、観る度に上手くなるし、表情が驚くほど変わって行くので、こちらも凄いなぁと思いました。舞台で揉まれているから、どんどん、演技の感のようなものが強くなって行くのでしょうね。人の成長を見れるって、本当に幸せだなぁ。偉そうな事言って、ゴメンナサイ。でも、とっても嬉しいんです。
荒川さんも猿時さんも、紙さんも、本当にやりスギってくらいやってくれるから、もう、大笑いしながら、展開を観て行きました。なんでそんな風になっちゃうのよぉ~って感じで、毎度のことながらツッコミを入れているのですが、今回もやっぱり、大笑いでした。本当にサイコーです。
松尾さんは、相変わらず、淡々と全てを見据えているという感じで、どっしりでした。うん、変態役をやっている時も好きだけど、真面目な幽霊っぽい松尾さんも好きです。今回、彼らは幽霊ってことで良いんですよね。消えて行ったし、自分たちに話してもっていう感じの事を最後に言っていたので、実之助は、結局、夢を見ていたのかなと、私は理解しました。真夏の世の夢という感じかなと思いました。
私は、この舞台、お薦めしたいと思います。楽しめました。段々と色々な人が狂って行く姿が、何とも笑えるけど、恐いお話で、考えれば考えるほど、ちょっとゾッとする話かなと思いました。東京は終わっていて、これから大阪かしら。もし、行けるようでしたら、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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