「ウタモノガタリ」を観てきました。ショートフィルム6本を一つにまとめた作品です。
「カナリア」
恋人を亡くした亮は、恋人の父親が経営する牧場へ毎日通い、ほとんど言葉を発する事も無く、黙々と作業を手伝っていた。震災で亡くなった恋人、そして原発近くにある牧場。やりきれない虚しさと深い悲しみを胸に押し殺し、希望の拠り所を求めて彷徨う亮。ある日、子牛が生まれ嬉しいはずなのだが、牛たちは商売にはならない。ただ、生きているだけなのだ。そんな虚しい光景を見て、亮は・・・。後は、映画を観て下さいね。
震災で亡くしたものを取り戻そうともがいていても、取り戻せる事は無い。新しい未来に踏み出さなければならないのに、それが出来ない人々の苦しみを描いています。大きく燃える火がとても悲しく、感動的でした。
「ファンキー」
若くして亡くなった母親を思う息子。まだ小さい頃、母親は震災で海に飲み込まれてしまった。毎年、誕生日になると、母親を思い出したが、今年の誕生日は、とうとう母親の年齢を超えることになり、彼の思いは頂点に達し、大粒の涙を流して悲しんでいる。彼の周りには、”兄貴”と呼ぶ仲間が付いていて、彼を慰める。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
笑っちゃうようなコメディなのですが、深い部分で、母親への愛を描いていて、母親の年齢を超える事によって、一歩先へ踏み出せるようになるのかなという予感をさせる内容でした。池松君が出ていて良かったです。
「アエイオウ」
主人公の男は、ある指令を受けて砂浜にやってくる。その場所に世界を終わりにする兵器が埋まっているらしい。その危険物を見張る為に、ずーっと砂浜の横の監視場所に詰めている。ぼんやり一人、恋人との事を思い出す。今は”アイウエオ”という順番の母音だが、昔は”アエイオウ”だったという話をした事を思いだす。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
ちょっと難解な内容でした。”終りの始まり”というラグナロク的な考え方を語っていて、全てが表裏一体、終わるから始まって、始まるから終わるという事を考えさせる内容でした。ちょっと解り難かったかな。
「Kuu」
深い谷、流れる川、身も凍るような寒さの中、何者かから逃れる様に傷を負った身体で険しい道をさまよい歩くアン。対岸に人を見つけ、助けを求めようとしますが、もしかして自分の敵かも知れないと思い、警戒をします。そんなアンを見た、ハナとテンは言葉は通じなくてもダンスならと、ダンスで対話を試みます。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
うーん、これも、良く分からなかったのですが、人間が演じているのが動物だと思えば、スッと入ってくるかなと思いました。手負いの動物はの警戒を解く為に、何か表現をして、安心感を与えるという感じですかね。
「Our Birthday」
奏は、今日、誕生日。自分が経営する会社では、社員達がサプライズパーティーを開いてくれようとしている。しかし奏は、約束があるから、みんなは楽しんでくれと言って帰ろうとする。そんな奏に親友が声をかけ、もう忘れるべきだという事を言うのだが、奏は耳を傾けず、一人、帰路についてしまう。ケーキを買い、家に帰ると、幻の恋人が待っている。奏と恋人は、同じ誕生日だったのだ。そして、彼女がいないことを感じ・・・。後は、映画を観て下さいね。
これは、分かり易かった。自分の元にいない恋人をいつまでも思い続ける男のお話で、全く前に進めていないんです。既に3年経っていても忘れられないようで、まぁ、仕方ないのかなと思っちゃいました。無理に忘れさせようとするのって、無理ですよね。思いは簡単には終わらないんです。
「幻光の果て」
ヨシヤは漁師で、最近雇った新しい漁師の花田と一緒に海へ漁に出ている。するとヨシヤが、鮫がいると叫び、銛を持って投げるのだが、花田には、鮫は見えなかった。ヨシヤの幼馴染のカオルも、そんなヨシヤの様子を心配しているようだ。ある日、カオルも一緒に漁に出るのだが、やはり鮫を見たヨシヤが騒ぐのだが、その先には何もなかった。ヨシヤは、海で起きたある事がトラウマになっていて、鮫を倒さなければという使命感に駆られているらしい。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
うーん、トラウマで、鮫に執着している男のお話です。どうしても鮫を倒さなければと思い込んでしまっていて、きっと、最初は、それ程でも無かったのでしょうが、時間が経つにつれて、自分の中でトラウマが大きくなってしまって、ノイローゼ的になってしまっているように見えました。周りも彼を助けようとするのですが、彼の思いの方が強くてどうしようもないようでした。うん、まぁ、仕方ないのかなぁ。
短編6本でしたが、これ、EXILE系の方々が歌っている歌詞を元に、ストーリーが作られて、それぞれ、有名監督が撮ったようでした。石井監督や、安藤監督、松永監督など、結構、おおっというような監督が撮られていて、ちょっと驚きました。
でもね、私は、彼らの歌をほとんど聞いていないし、歌詞も知らなかったので、イマイチ、理解しにくかったのと、何故か、今もまだ震災にこだわっている話が多くて、ちょっと引いてしまいました。それこそ、そろそろ前に進みましょうよ。映画界も、新しい一歩を踏み出して、震災を題材にするのを控えませんか。震災を出せば、誰もが納得するだろうと思うのは間違いです。震災を忘れてはいけないと思いますが、それに執着するのも違うような気がしました。
ショートフィルムを集めて1本の映画にするって、私は気に入っているんですよ。ショートフィルムって、素人でも撮れるけど、とても難しくて、失敗することも多いと思うんです。でも、ショートフィルムでしっかりしたものを作れる方は、面白い長編も作れるんですよねぇ。なので、沢山の監督に腕試しをして頂くために、こういう企画、沢山やった方が良いと思っているんです。作品を作るチャンスが増えて、力も付くでしょ。これからも、この企画を続けて欲しいです。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。今までに無い、ショートフィルムを集めた映画で、色々な監督の味見が出来るので、これを観て、この監督の作品は好きかもとか、考える材料になると思います。EXILEが好きな方はもちろんですが、そうでない方も、短編集として楽しめると思いますよ。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
・ウタモノガタリ-CINEMA FIGHTERS project-|映画情報のぴあ映画生活
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