フランス映画祭「See You UP There」を観てきました。
ストーリーは、
第一次世界大戦停戦目前にも関わらず、上官から不条理な突撃命令が下る。御曹司で画才に恵まれたエドゥアール(ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート)は、顔に重傷を負ってしまう。その容姿にショックを覚え、家族にも会いたくないという彼の“戦死偽装”を小心者のアルベール(アルベール・デュポンテル)は手伝うことに…。そして戦後、パリに戻った二人は前代未聞の詐欺を企てた!
というお話です。
第1次世界大戦の終結目前。仏軍のプラデル中尉は、戦争が好きで止めたく無いと思っており、戦闘中止の命令書が届いたにも関わらず、敵と交戦する為に汚い手を使った。味方の兵士2名を偵察に向かわせ、彼らを味方側から撃ち(背中から撃ち)、敵からの攻撃だと見せかけて、敵方に爆撃を始めたのだった。
不条理な攻撃命令に従ったエドゥアールは、小心者の簿記係・アルベールの命を助け、顎に瀕死の重傷を負ってしまう。良家の御曹司で絵の才能があるエドゥアールは自分の姿を見て、家族にも会いたくないと話し、戦死を偽装して欲しいとアルベールに頼む。断り切れなかったアルベールは、兵士名簿の記載を誤魔化し、エドゥアールを死んだ兵士と入れ替えて、死亡としてしまう。そしてアルベールは、エドゥアールの描いた絵と一緒に、友人のアルベールとして最後の状況を手紙に書き、彼の実家へ送ったのだった。
戦後、パリに戻った2人は貧しい共同生活をスタートさせる。ある日、アルベールの所に使者が現れ、エドゥアールの父親が、息子が死んだ時の事を教えて欲しいので、一度、家に来て欲しいという。驚くアルベールだったが、今後の為にも、説明をして死を受容れて貰った方が良いと思い、家に行って見ると大豪邸だった。案内され、部屋で待っていると、家族写真があり、そこに知った顔を見つける。そこには、エドゥアールの姉と結婚したプラデル中尉の姿があった。エドゥアールの父が実力者だと知り、姉に取り入って結婚したのだろう。コッソリ、写真を盗み持ち帰ったアルベール。
家に帰り、エドゥアールにその事を話すと、少し考え、戦争で金儲けをした人間から金を奪ってやろうとある壮大な詐欺計画を企てる。アルベールは、そんなエドゥアールを止めたいと思っていながら、止める事が出来ない。そして2人は、戦没者の碑を販売するという詐欺を始め、エドゥアールの父親も、その詐欺に引っかかる。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
戦争の悲劇を、滑稽に楽しく描きながらも、繊細な人の心の動きを内に秘めさせて、何とも言えない素晴らしい作品が出来上がりました。ちょっと、他の映画とは雰囲気が違うのよ。
顔が壊れてしまったエドゥアールは、いつも”オペラ座の怪人”のように、仮面をつけるようになるんです。その時々により、色々な雰囲気の仮面を付けて、相手を惑わすピエロのような立ち回りをして、アルベールを戸惑わせます。その雰囲気が、「時計仕掛けのオレンジ」みたいに見えて、ちょっと、怖くなりました。
エドゥアールは、戦地で顎を無くしてしまい、人生に絶望をするのですが、それでもアルベールに励まされて、生きる事にするのですが、家族には死んだことにして欲しいと頼むんです。彼は、子供の頃から絵を描くことが好きで、天才と言って良いほどの才能を持っていたのですが、銀行家の父親にバカにされ、男に芸術など必要無いと言われて、父親に反発したまま、戦争に行ったんです。だから、和解しないまま死んだことになってしまっていて、父親は、息子の才能を認めてやらなかったと言う事で悔やんでいて、エドゥアールの方は、父親の後継者とならなければならなかったのに逃げだした自分を臆病者だと思っていて、顔が会わせられないんです。話し合えば、解り合えただろう2人なのに、とても残念でした。
でも、まぁ、私はハッピーエンドかなって思いましたけどね。この映画のラスト。こういう映画って、観る人によって、イメージが変わってくるので、私がハッピーエンドだって思っていても、他の人は悲劇だと思っているかも知れない。そんな映画でした。
エドゥアールの被る仮面が、凄く芸術的なんです。炎のようだったり、光のようだったり、なんて幻想的なんだろうって思うようなものばかりなんです。実は、彼は、重傷を負った後、あまりの痛みに苦しみのたうち回っていたので、アルベールが看護婦にモルヒネをやってくれと頼むのですが、癖になったら大変なので、そんなに使えませんと断られるんです。アルベールは、あまりにも可哀想なので、モルヒネを病院で盗んでは、エドゥアールに打っていたんです。その時から、エドゥアールはモルヒネ常習者となってしまい、何かあるとモルヒネを使うようになってしまいます。そしてモルヒネでトリップしている間に、こんな幻想的な芸術を生み出すのかなと思いました。
そして、そのモルヒネの常習者であると言う事も、彼が家族と離れたいと思った要因の一つなのかなと思いました。彼の家は厳格な家だったので、痛みに耐えられず、そんな薬に頼った自分を恥じていたのかも知れません。そんなエドゥアールは、家族に生きている事を告白する事が出来るのか、父親とはどうなるのか、詐欺は成功するのか。お金などに執着の無いエドゥアールが、何故、大規模な詐欺をやったのか、本当の理由は・・・。色々な謎が、最後に解ってきます。
そして、そんなエドゥアールの半生を見守ったアルベールは、どうなってしまうのか、面白いですよ。これは、戦争の悪夢を蹴散らした彼らの夢のお話だと思いました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。とっても良い映画なのですが、上手く伝えられないよぉ。私の言語能力の無さを感じちゃった。ステキな映画なのに、上手く伝えられなくてゴメンナサイ。この映画は、2019年に公開予定です。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
P.S : 原作は日本語訳されたベストセラーです。
・See You Up There(英題)|映画情報のぴあ映画生活
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