【フランス映画祭】「ブラッディ・ミルク」酪農自体はとても発展しているのに病気はどうしようもない。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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フランス映画祭「ブラッディ・ミルク」を観てきました。

 

ストーリーは、

酪農業を営むピエールは30歳。両親から受け継いだ農場と牛たち、獣医の妹と両親で彼の生活は回っている。フランスで、伝染病が初めて発見され、ピエールは、自分の牛たちが病に感染していることに気づく。牛を諦めるわけにはいかない。ピエールには、他に何もない。彼は、牛たちを助けるために、どんなことでもする決意をする・・・。

というお話です。

 

 

酪農業を営むピエール。酪農場は両親から受け継ぎ、一人で世話をしている。妹は獣医になり、時々、牛たちを見に来ており、小規模な家内工業的な感じで営んでいる。毎日、牛たちを運動させ、牛舎を掃除し、餌を与え、搾乳をし、ピエールの生活は牛の事ばかりだ。既に30歳になるが、浮いた話も無い。心配した母親はパン屋の娘に話をし、パン屋の娘は、ピエールを気にし始めていた。

 

ピエールは、毎日、牛の状態を事細かにチェックし、心配して見ている。1頭の妊娠している牛が、そろそろ子どもを産みそうであるのだが、調子が悪そうだ。子供を産む前だから、仕方がないという獣医の妹に、いつもと様子が違うから、悪い伝染病じゃないかと話すピエールに心配ないと話す妹。最近、牛の伝染病がフランスで発見され、話題になっていたのだ。

 

 

ある日、とうとう牛が産気づき、子牛が生まれてくる。可愛い子牛が生まれて大喜びのピエールだが、ふと気が付くと、母牛の様子がおかしい、どうしたと声を掛けるが、とうとう座り込み、立つことが出来ない。様子を見ていると、背中に血が滲んできて流れ出ている。ピエールは直ぐにネットで伝染病情報を探すと、背中から血を流す症状は伝染病と同じだった。フランスで伝染病を出した酪農場主の話では、1頭出たら全頭殺処分され、保証金が出ると言われているが、今もって全く振り込まれていないという。

 

焦ったピエールは、伝染病に苦しむ牛を殺し、直ぐに酪農場の奥に穴を掘って、燃やした。伝染した1頭を殺せば、何とか隠せると思ったのだ。他の牛に伝染していないことを祈りながら、牛の世話を続ける。殺した牛は、食べてしまったと嘘をついて、警察に届け出ることにする。牛は、全て登録をしているので、1頭でも居なくなると判ってしまうのだ。

 

 

何とか切り抜けたピエールだったが、しばらくすると、また1頭、伝染病の牛が出てしまう。仕方なく殺して、今度こそ食べたという嘘は利かないので、近くの大規模にやっている友人の酪農場から牛を1頭盗んできて、殺した牛の鑑札をつけて誤魔化してしまう。1頭目の時は見逃してくれた妹だったが、さすがに2頭目が出てしまった事で、もう、これは隠せないと訴える妹。このままでは、全頭、殺処分になってしまう。ピエールは牛を助ける為に、ある行動に出てしまうが・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

 

この映画、凄かった。伝染病が出てしまった牧場は、どのような状態になるのか。どれ程、牧場主が苦しむのかと言うことが、こと細かく描かれており、こんなに大変なんだと言う事を初めて知りました。

 

日本でも、狂牛病の問題とか、鳥インフルエンザの伝染とか、ニュースでは聞いたことがあります。でも、実際にそういう現場を見た事が無いし、その悲劇にあった人の言葉は聞いたことが無いので、これ程に大変な事なのかと驚きでした。彼らは、生活のすべてが、牛の事なんです。いつもいつも気にしていて、他の事なんて手に付かない。時々、遊ぶ事はあっても、いつも手の中に牛の状態が判る機械を持っていたり、もう、牛は家族なんだと思いました。そんな大家族を護るために、毎日、戦っているんです。

 

 

そんな所に、伝染病が入って来てしまう。どうやってくるのか、全く判らないんです。野鳥が持ってくるのか、飼料に付いてきたのか、何も分からない。でも、伝染病は発病するんです。そして、一度、発病してしまったら、もう、それまでの生活は破綻してしまうんです。本当に恐ろしいですよね。考えられません。他の仕事なら、ある程度のミスをしても、回復は出来るけど、酪農ばかりはどうしようもない。全て殺さなければならないんです。家族を失うんです。

 

 

映画の中で、ピエールが、金の問題じゃないんだって叫ぶところがありますが、もう、心からの叫びに聞こえて、辛くなりました。彼にとっては、牛たちは大切な家族で、そんな彼らを殺すなんて出来なかったんです。もう、本当に心がヒリヒリするほど、ピエールの心が伝わってきて、悲しくなりました。誰も悪くないんです。病気が悪いんだけど、その怒りを持って行く先が無いんです。

 

あまりの辛さに涙が出ました。だって、牛たちは、無垢な目で見つめてきて、まして子牛なんて、とっても可愛くて、懐いていて、どうしたらいいのって感じでした。でも全頭処分しなければならないというのが現実なんです。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。これは、日本公開して欲しいなぁというか、するべきでしょ。酪農をしている方々や、牧場、養鶏場、などなど、私たちの食を作って下さっている方々が、どれ程、気を付けて管理をして、大切に動物たちを育てているのかと言うことが良く分かります。食べている私たちだって、その苦労を知るべきなんです。毎日飲む牛乳だって、牛さんが取らせてくれるから飲めるのよ。そんな牛さんを、こんな風に殺さなくちゃいけなくなるなんて。早く、病気がどうやって来てしまうのかとか、他の牛に移らないような万全のやり方とかを考えてあげて欲しい。本当に望んでいます。この映画、日本公開、ぜひ、して欲しいです。そして、ぜひ、観てみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

ブラッディ・ミルク|映画情報のぴあ映画生活