【フランス映画祭】「マルヴィン、あるいは素晴らしい教育」LGBTで悩んだ彼が取った道は・・・。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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フランス映画祭「マルヴィン、あるいは素晴らしい教育」を観てきました。

 

ストーリーは、

マルタン・クレモン、本名マルヴィン・ビジュー。彼は、逃げた。田舎の小さな村から、支配的な父親から、母親の諦めから、逃げた。”人と異なること”で孤立し、いじめられること、寛容のなさや否定されることから、逃げた。だが、予想に反し、彼は仲間を見つけた。中学の校長で、彼に演劇を紹介し、後に彼を養子に迎えるマドレーヌ・クレモン。彼の指導者であり、彼がステージで彼の物語を紡ぎだすことを導いていく、アベル・ピント。そして、彼の作品がプロデュースされるよう手助けし、作品に命を吹き込むイザベル・ユペール。マルヴィン/マルタンは、この作品を創り上げるためにすべてをかける。この作品は、成功以上のものを意味する。これは、彼の再生への道なのだ。

というお話です。

 

 

マルヴィン・ビジューは、田舎の小さな村のそれほど裕福でない家庭に生まれた。父親は昔ながらの支配的な男で、いつも最後には「この家は誰の家だ。」と言うのが口癖だ。母親はそんな父親に何を言っても無駄だと諦めていて、知らない振りをしている。そんな両親の元に生まれたマルヴィンは、小さな頃から大人しく、ちょっと弱弱しい男の子だった。学校に行き始めると、”ホモ”だと言われ虐めを受けていた。父親も男らしくないマルヴィンを良く思っておらず、ホモって何?と聞くと、変態の事だと教えるだけ。マルヴィンは、自分の考え方がおかしいのか、自分は変態なのかと思い悩み、暗い少年時代を過ごす。

 

 

ある日、学校で演劇クラスで勉強させられる事になり、言われるがまま、即興で一人芝居をしてみる。子供ながらに何かを持っていると見抜いた中学の校長マドレーヌは、彼に演劇を続けることを促し、彼は導きのままに、演劇の世界に足を踏み入れていく。

 

演劇を学ぶようになったマルヴィンは、演出家や芸術家など、色々な人々との関わりにより、自分の性的趣向がおかしいものではないことに気が付いていく。ゲイだろうと、何だろうと、人に何か言われるような事では無く、それぞれの自由なのだと悟って行く。そんな時、アベル・ピントという大人の男性に出会い、惹かれあい、彼との出会いがマルヴィンの芸術性を高めていく。

 

 

マルヴィンは、子供の頃の抑圧された生き方と訣別する為、マルヴィン・ビジューという名前に決別し、新しくマルタン・クレモンという名前に変える。それはまるで、さなぎから羽化した蝶のように、彼は新しい人生に羽ばたいていく。そんな時、アベルの悲報をイザベル・ユペールから伝えられ、彼の為にも、一人で自分の今までの思いを表現したいと思い、イザベルの助けを借りて、作品の制作に取り組んでいく。そして・・・。後は映画を観て下さいね。

 

この映画、素敵な映画でした。小さな町でホモだとバカにされて、酷い虐めを受けていたマルヴィンは、自分の存在価値など無いと思っているのですが、演劇という翼を手に入れて、町の外に出てみると、性的趣向による差別など無く、誰もが自由に生きている事を知ります。両親にも酷い事を言われ、学校でも虐められて、本当に可哀想でした。いつになったら、こういうバカな差別が無くなるんですかね。

 

 

確かにね、息子にLGBTだと告白されたら、驚くとは思いますよ。自分が同じLGBTで無ければ、その気持ちは理解出来ないんですから。でもね、だからって別にどうって事無いんです。息子のパートナーが女じゃなく男だって言うだけで、息子が2人出来たと思えば良い事でしょ。子供が欲しかったら養子もあるし、代理出産だってあるんだから。それを受け入れないのは、只の臆病者です。怖いだけなの。

 

田舎に住んでいると、コミュニティが狭いし、情報も少ない。そりゃ、頭が小さくなって、凝り固まるのも仕方ないかも知れません。でも、これだけTVもネットも発達した現代なら、そんな事も無くなっているでしょ。マルヴィンが子供の頃は、狭かったかも知れないけど、今なら、誰もが受け入れている時代よね。

 

 

苦しんでいたマルヴィンは、沢山の人の力を借りて、再生して、名前も変えて、大きな存在になっていきます。映画の中では、過去と現在が交差して描かれているので、考えながら観て下さいね。マルヴィンは成長して、違う役者に変わって行くけど、両親とかは変わらないので、時々、あれ?となるかも知れません。

 

それにしても、虐めの描写、生々しかったです。私のような性格だと、やられたら倍返し的な事をするだろうけど、虐められてしまう子って、逆襲が出来ないタイプなのでしょう。きっと反撃出来ない人間を選んで虐めているのかな。マジで虐めるって汚い奴だなぁって思っちゃいました。その場に飛んで行って、局部をチョン斬ってやりたいわっ!

 

 

この映画、色々な性的趣向を誰にも話せなくて悩んでいる人に観て欲しいな。何も間違っている事は無くて、おかしな事も無くて、ただ、周りにいる人と違っただけ。視野を広げれば、同じ人が沢山いるんだよって事を教えてくれていて、自由に生きる事の素晴らしさを与えてくれる映画です。誰もが幸せになる権利があるんです。

 

映像も素晴らしく美しくて、幻想的で、良かったなぁ。私は、とても気に入りました。監督が、「ココ・アヴァン・シャネル」「美しい絵の崩壊」の監督なので、男性を撮らせたら美しいだろうなぁって想像がつくと思います。主演のフィネガンさん、美しいですよぉ。写真よりも動いている方が素敵です。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。特に、LGBTで悩んだり、思うところがある方には観て欲しいかな。LGBTなんてものを知らない子供がどれくらい悩むものなのか、沢山の人が知るべきなんです。ちょっとした普段の言葉が、どれくらい彼らを傷つけるのか、知るべきなんです。沢山の人に観て欲しい。ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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