「ゆずりは」の試写会に行ってきました。
ストーリーは、
葬儀社のベテラン社員・水島は長年「死」と向き合う仕事を続ける中で、感情の起伏がなくなってしまった。水島が教育係を務めることとなった新入社員の高梨は、イマドキな外見で言葉づかいもひどいが、時には葬儀社のルールを破ってでも遺族の思いに寄り添おうとする、感受性豊かな心のやさしい青年だった。そんな高梨とともに亡き人々と遺族たちとの交流を続ける中で、水島の心にある変化が起きていく。
というお話です。
ある街の葬儀社に勤める水島。もう何年も務めていて、ベテランである。この「死」に向き合う仕事を続けて感情を押し殺す事が日常になってしまった彼だったが、新入社員の面接にて、葬儀社の常識とは違う、何かを持った高梨が気になり、周りの反対を押し切り、採用してしまう。彼は、茶髪で、言葉遣いもヤンキーっぽく、葬儀社の常識とはかけ離れていたのだ。
葬儀社の社長も、水島に大丈夫なのかと心配な声をかけるのだが、水島は、何故だか分かりませんが、自分の決断を信じてみますと言って、高梨の教育係として、一緒に働くようになります。
あるお年寄りの葬式の打合せにて、喪主である奥さんの話に同情し、ボロボロと泣いている高梨に、葬儀屋の基本は泣かない事だと教えるのだが、水島は、自分で言いながらも、ちょっとした違和感を覚える。そして、本当の葬式になり、しっかり送ることが出来るかを見ていると、またも高梨はボロボロ泣いている。その姿を見て、何かを感じ始める水島だった。
それから、いくつもの葬式を行い、段々と成長していく高梨。ある時、突然に社長が倒れて、亡くなってしまう。社長の奥様が会社に来て、静かに水島に過去の話しをし始める。水島は、社長の娘と結婚しており、水島の妻は、ある日突然に自殺をしたのだった。放心してしまった水島を、社長が会社に雇い入れ、一緒に働き始めたのだ。社長の妻は、当時、娘を殺したのはあなただと水島を責めてしまったが、今は、全ての理由を知っていて、水島を許し、頼っている。
自分の悲しみに突き当たった水島は、やっと、その悲しみ苦しみを知り、高梨が葬儀で泣くことが、葬儀屋としては良くなくても、人間としては、とても遺族を癒しているのだという事に気が付き、認識を改めて行く。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
とっても粗いあらすじ説明になってしまいましたが、こんな感じです。物まねのコロッケさんが、本名の”滝川広志”という名前で、俳優として出演した1作目です。主人公の水島を演じていたのですが、中年ということで、ちょっとぽってりした、お腹の出たオッサン役を演じていました。葬儀についてのプロ意識が高い役で、全く笑わないんです。ころっけさんの笑わない顔って、今まで、あまり見たことが無かったので、ちょっと不思議でした。でも、思ったより演技も様になっていたので、良かったです。
高梨役の柾木玲弥さん、ボンヤリしている現代のイケメン坊や的で、良かったと思います。こんなタイプ、いるよねぇって感じでした。でも、とっても感情が温かい青年で、きっと優しい家族に育てられたんだろうなぁと感じさせて、水島に感情を取り戻させるには、完璧でしたね。良かったと思います。
公式サイトに出ているので、これはネタバレじゃないと思うけど、水島と妻は子供が出来ず、調べてみると、男性の方に生殖能力が無いと診断され、水島はとても悩んで、荒れるんです。妻に子供を与えてあげられないと一人で苦しみ、それを見ていた妻が自殺を図ってしまう。もう一つ、大きな理由もあるのですが、結構、辛い話でした。不妊治療で、どちらのせいで生まれないと言うのが判ってしまうと、キツいよなぁ。でも、子供が欲しいと思って、出来なければ、調べてしまいますよね。いくら慰めても、こればかりは、夫婦の在り方を変えてしまいますよ。簡単には割り切れないですもん。
そんな辛い問題も描いていて、考えさせられました。この映画、人が辛い時、同情して薄っぺらい慰めの言葉を並べるよりも、寄り添って、一緒に泣いてあげることが、本当のやさしさなんだという事を教えてくれて、良い映画でしたよ。人生のベテランになって行くと、段々と、大切な事を忘れてしまうんです。そして、何も知らない無垢な若者に、本当に大切な事を思い出させられて、自分の間違いに気が付くんです。知識は増えて行くけど、知識が積み重なると、一番大切な事を埋もれさせてしまうという事に気づかされました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。派手な映画ではありませんが、じーんと感動を与えてくれる内容でした。でも、イマイチ、知っている顔も少なく、話の進み方がスムーズじゃないので、全体を観ていて、ちょっとぎこちなさを感じました。良い映画なのですが、ちょっと残念かな。でも、好きですよ。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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