「友罪」良い映画なんだけど、解決しないから辛いんです。もやもやが残っちゃうのよぉ。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「有罪」を観てきました。

 

ストーリーは、

ジャーナリストの夢を諦めて町工場で働き始めた益田は、同じ時期に入社した鈴木と出会う。無口で影のある鈴木は周囲との交流を避けている様子だったが、同じ年の益田とは少しずつ打ち解けていく。しかしある出来事をきっかけに、益田は鈴木が17年前の連続児童殺傷事件の犯人なのではないかと疑いを抱くようになり・・・。

というお話です。

 

 

ある町工場に2人の男性が見習いとして入ってくる。一人はジャーナリストをしていたらしいのだが、夢破れて入ってきたらしい。もう一人は、既に旋盤工などの技術を取得しており、どこかで働いていたようだ。会社には寮があり、元ジャーナリストの益田と暗い雰囲気の鈴木は、同じ寮に住むことになる。

 

工場で普通に働き始めるが、鈴木は笑う事が無く、他の社員と交流する事も無い。それでも、一緒に働いている仲間だからと、益田は鈴木に話しかけるようになる。そして、友達のようになるのだが、17年前に起きた幼児殺害事件と同じような殺人事件が起こり、その記事を洗い直すと、犯人の顔が鈴木の顔と同じ事に気が付く。毎晩、鈴木のうなされる声を聞いていた益田は、鈴木に、友達なら心にしまってある苦しみを打ち明けてみないかと話してみるのだが。

 

 

一方、タクシー運転手の山内は、息子が起こした事件の賠償金を払う為に、必死で働いていた。何年も前に事件のせいで家族は離散し、バラバラに暮らしていたのだが、息子が結婚をするという話を聞いて、"罪を犯した人間が幸せになってはいけない、家族を離散させた人間が家族を作るなんて言語道断だ"と、息子に話して、結婚を認めないと話す。息子は、一度罪を犯したら、幸せになっちゃいけないのかと父親に訴えるのだが・・・。

 

更生施設の職員・白石は、自分が見ている青年たちを更生させて、外に出す仕事をしている。幼児殺害事件の犯人だった青柳も、彼女が更生させ、外に出したのだが、現在、居住地が分からなくなっていた。白石は、青柳を信じているから問題は無いと言っておきながら、何となく不安が募って行く。そんな時に娘の妊娠が判り・・・。

様々な人々が、罪人と関わって行く中で、何が真実なのかを突き詰めて行く。

というお話です。

 

 

瀬々監督の最新作なのですが、嫌な話だったなぁ。群像劇であり、罪を背負った人間と、そんな人間と関わらなければならなくなった人々の心の動きを描いているんです。

 

殺人とか、殺人未遂とかの犯人って、沢山いるんだから、私たちの周りにもいるとは思うのですが、解らないですよね。誰も告知してくれないし、もちろん犯人は話さないと思うので、怖いと言えば怖いかな。もちろん、更生したからこそ外に出てきて普通の生活をしているんだろうけど、本当のところ、どうなんだろう。そんな事を考え始めたら、何処に居ても恐くて生活が出来ないかもしれないけど、更生しているっていうのなら、問題無いのかしら。

 

 

この”更生している”という根拠はあるのかな。ただ、カウンセラーらしき人が、もう大丈夫だと思って外に出しちゃっているようにしか見えないんです。もし、再犯したら、そのカウンセラーたちって、責任を取ってくれるのかしら。この映画に出てくる白石という職員は、情熱を持って、青年を更生させているらしいのですが、そのせいで、自分の家族はバラバラになっているんです。何となく、本末転倒のような気がするのですが、人間は完璧じゃないから仕方ないのかな。

 

 

それにしても、人の見る目って、恐ろしいですね。映画の中でも、それまで仲が良かったりする人でも、相手が犯罪者だと知ると、あっという間に周りから消えていくんです。手の平返し、早い~!って思いました。それまで、十分に絆を深めていたんじゃないんかい!本当に人間って、残酷だなぁと思いました。でも、反対に、自分の友達が殺人犯だったら、信用したいけど、どこかで”大丈夫かな?”っていう気持ちはありますよね。完璧に信用するんて、難しいと思うんです。

 

益田を生田さん、鈴木を瑛太さんが演じているのですが、瑛太さんがとてもぎこちなく笑う感じが、本当に上手いなと思いました。きっと、少年Aが居たら、こんな風なのかなと思ったほどです。反対に生田さんは、友人が自殺したのを自分の責任だと思っている男なのですが、その罪悪感とジャーナリストを辞めたというのが、どーも、リンクしてこないんです。

 

 

”罪を暴くのが仕事”というのが耐えられなくなったのだと思うのですが、どーも、その部分の表現が上手く出来ていなかったように見えて、イマイチでしたね。自分も罪人なのに、人の罪を責めるという事が苦しくなって辞めたのなら、事件を追う事が出来なくなると思うのですが、夢だったからと言って、また記事を書くんです。夢なら辛くても捨てるなよ。それを捨てたのは、ただ、ジャーナリストとして成功しなかったからじゃないのかと言いたくなるような感じに見えてしまい、少し、残念でした。

 

人の罪とはという問題に、正面から向き合った作品だと思います。でも、これ、答えが出ない問題なので、スッキリしないんです。これは、善悪で決められる事では無いし、人間とはっていう、根本的な問題にぶち当たって行くので、解決が着かないんです。だから、ちょっと辛かったな。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。良い映画だと思いますが、どうしても、解決する問題では無いので、最期がスッキリしません。モヤモヤが残ったまま、映画館を出てくることになるので、元気な時に観た方が良いと思います。でないと、凄く疲れて出てくることになってしまうかも知れません。でも、良い作品なので、ぜひ、観てみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

友罪|映画情報のぴあ映画生活

 

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