【演劇】「ハングマン」本当の罪人は誰なのか。死刑を決めた人なのか執行人なのか民衆なのか・・・。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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舞台「ハングマン」を観てきました。

 

ストーリーは、

 

1963年、イングランドの刑務所。朝8時。

ハングマン、つまり絞首刑執行人であるハリー・ウェイドは、ロンドン出身のジェームズ・ヘネシーの刑を執行しようとしている。女性暴行殺人犯とされるヘネシーは独房のベッドにしがみつき、必死に引き離そうとする看守たちに抵抗しながら叫んだ。

「無実の人間の首を吊ろうってのかよ!せめてピアポイントを呼べ!」

最も有名なハングマン、アルバート・ピアポイントの名を出されたことに触発されたハリーは、刑務所長と石が見守る中、乱暴に刑を執行する。

「わしだって腕はええ、ピアポイントと同じくらいに!」

 

2年後の1965年、イングランド北西部にある工業都市オールダムのはずれ。絞首刑が廃止になった日、ハリーと妻アリスが営む古く小さなパフでは、常連客-ビル、チャーリー、アーサー、そして私服警官のフライが、いつもと変わらずビールを飲んでいる。地方紙の記者であるクレッグは最後のチーフ・ハングマンであるハリーからコメントを引き出そうと躍起になっていた。そこへ見慣れない若い男、ピーター・アロイシス・ムーニーが入ってくる。不穏な空気を纏い、不思議な存在感を放ちながら。

 

 

翌朝。アリスはハリーのインタビュー記事に呆れている。ハリーはピアポイントへの対抗心から喋りすぎていたのだ。そこへ、ムーニーが部屋を借りるべく書類を手に現れた。アリスは内気な娘シャーリーにムーニーの相手をさせてせ席を外す。ロンドンからやってきたらしく都会的な雰囲気を持つムーニー。15歳のシャーリーは彼のペースに呑まれ、一緒に出掛ける約束をする。

 

午後。ハリーは新聞に載った写真と記事に満足げ。常連客たちと盛り上がる中、アリスはシャーリーが帰ってこないことを心配していた。そこへ、かつてハリーの助手を務めていたシド・アームフィールドがパブを訪れ、ハリーが2年前に処刑したヘネシーは冤罪で、女性暴行殺人の真犯人は別にいるはずだと訴える。シドからその男の特徴を聞いたハリーは、前日、パブに現れた若い男を思い出し・・・。

 

後は、舞台を観て下さいね。

 

 

この舞台、面白かったぁ~!楽しい感じで、通常の日常を描いているように見せて、とっても深い内容で、最期に笑えない現実に突き当たって行くというお話なんです。何となく、内容としては、是枝監督の映画「三度目の殺人」に似ているような気がしました。

 

絞首刑制度が無くなった日、絞首刑の執行人のハリーは、新聞社の取材を受けているんです。それまでは、決して仕事についての話をしないと言っていたのですが、その日は、ライバルの絞首刑人の名前を出されて、つい喋ってしまうんです。その時に、冤罪の事に付いても話が及ぶのですが、彼は絞首刑人であり、死刑判決には関わっていないので、冤罪についてハリーに取材しても仕方ないのですが、これまでの仕事について聞いているので、その話も出るんです。

 

 

ここでハリーは、自分は仕事をしていただけで、冤罪については関係無いと言うのですが、でも、心の中は穏やかじゃないんです。もしかしたら罪の無い人間を殺してしまったのかも知れないと思うんです。そんな時に、自分が冤罪だったんじゃないかと思っていた犯人の犯罪が、実は真犯人が居て、自分の近くにいるのではないかという状況になるんです。でも、真相は闇の中だし、その人物に問い詰める訳にもいかない。もしかしたら真犯人かもしれないし、もしかしたら噂だけで全くの無関係かもしれない。

 

それまで、冤罪なんて自分には関係無いと思っていたのに、自分の身近に危険が迫ってくると、その事実に恐怖を覚えて行くんです。死刑判決なんて自分には関係無い、勝手に裁判所が決めていて、自分は傍観者なんだと思っていたのに、実は、自分も冤罪を生んでしまっている一人であり、その”ツケ”が回ってきている事に気が付くんですよ。

 

 

現代はSNSで誰もが発言出来るようになり、確かな情報が何なのか分からなくなっていますよね。そんな中で、自分は何を信じるのか、何を基準にして行くのかが重要になってくると思うんです。もし、間違った方向を信じて、周りと一緒になって誰かを追い詰めて、それが冤罪だったらどうします?罪にはならないけど、でも罪ですよね。マスゴミも、何処までも追い詰めて行くけど、それが間違いだったと判った時、全然、フォローをしないでしょ。でもね、追い詰めて、その人が死んだとしたら、それマスゴミが殺したって事でしょ。同じように、SNSで追い詰めて、誰かが死んだら、それ追い詰めた民衆のせいなんです。だけど、誰も責任を取らない。それって、どうなんでしょ。

 

そんな事を訴えている内容で、とても良いと思いました。役者さんたちが上手くて、とても楽しく酒場で飲んでいるように見えるのですが、実は、凄く怖いことを話していたりするんです。役者ぞろいで、そこが、凄いと思いました。いやぁ、面白かった。やっぱり、田中哲司さん、マジで上手いなぁ。大好きです。そして、ハリーの妻役で秋山さんが出演されていて、本当に美しくて素晴らしかった。秋山さん、足が美しいんですよ。もう、舞台の下から見ていると、見とれてしまう。演出も良かったなぁ。

 

 

私は、この舞台、超!超!お薦めしたいと思います。もうすぐ、東京は終わってしまうけど、まだ地方を周るので、もし、お時間があったら、ぜひ観てみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ハングマン」  http://www.parco-play.com/web/play/hangmen/