「ザ・スクエア 思いやりの聖域」を観てきました。
ストーリーは、
現代アート美術館のキュレーターとして周囲から尊敬を集めるクリスティアンは、離婚歴があるものの2人の娘の良き父親で、電気自動車に乗り、慈善活動を支援している。彼が次に手がける展示「ザ・スクエア」は、通りかかる人々を利他主義へと導くインスタレーションで、他人を思いやる人間としての役割を訴えかけるものだ。そんなある日、携帯電話と財布を盗まれたクリスティアンは、その犯人に対して取った愚かな行動によって予想外の状況に陥ってしまう。
というお話です。
現代アートを取り扱っている美術館のキュレーターとして働いているクリスティアンは、見た目も良く、様々なメディアに取り上げられ、取材を受けたりと忙しくしていた。妻とは離婚し、週何日か帰ってくる2人の娘を可愛がり、電気自動車に乗り、慈善活動を支援し、自分では、十二分に善良な人間だと思って生活をしている。
彼のいる美術館では、「ザ・スクエア」という地面に正方形を書いた作品を展示すると発表する。その意味は「すべての人が平等の権利を持ち、公平に扱われる」という「思いやりの聖域」をテーマにした参加型アートで、現代社会に蔓延るエゴイズムや貧富の差に一石を投じる狙いがあった。
作品を発表したある日、クリスティアンは、町中で騒いでいる人に気を取られて、財布とスマホを盗まれてしまう。GPSを使って、自分のスマホの位置を確認し、そのマンション全戸に盗んだものを返せという脅迫めいた内容の手紙を投函する。すると、数日後に、無事、財布もスマホも返ってくるのだが、返したきた子供に付きまとわれることになる。
ある時、取材で出会った女性とイイ感じになり、つい寝てしまうクリスティアンだったが、何故か、その彼女が使い終わったコンドームを渡せと迫り、怖くなって言い合いになってしまう。その時は普通に別れられたものの、その後、彼女にも問い詰められる事に。
悩みの尽きないクリスティアンに、今度は、YouTubeに美術館の凄い広告がアップされているが、どういうことかという問い合わせがあり、調べてみると、「ザ・スクエア」の広告を頼んだ代理店が、炎上する事を狙って、正方形の中でホームレスらしき少女が爆発するという動画を出したようで、大避難の嵐。全てを任せて、自分の事に掛かり切りだったクリスティアンは、責任を取らなければならなくなるのだが・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、長かったけど面白かったなぁ。どんな方向に向かって行くか、全く予想が付かないんですもん。普通の転落劇なら、別に、良くある話だよねぇ~って言えるんですけど、そうじゃないんです。表向きに転落していくのは、別に大したことじゃなんだけど、精神的な彼の落ち方というか、「俺、ダメな奴だったんじゃん!」って気が付く彼の唖然とした感じが、何とも滑稽で恐ろしいんです。まるで、映画を観ている自分も、”お前、ダメな奴なんだよ。”って言われているようで、怖くなりました。
まぁ、自分が善良な人間だなんて、一切思ってはいないけど、でも、一応、罪は侵していなと思うし、極悪な事はしていないと思うんだけど、でも、自分が良いと思っていた事で他人が傷ついていたり、自分がまかせてしまった事で、大変な事件になっていたりって事が、もしかしたらあるかもしれない。無責任だった事が、迷惑をかけている事って、あるかも知れませんもんね。だから、自分が良い人だなんて、思っちゃいけないんだなぁって思いました。
それにしても、このクリスティアン、変な男なんです。だって、財布とスマホが盗まれたなら、まず、警察に届けようよ。そして、文句を言われるだろうけど、GPSを見るとここにあるから、一緒に行って欲しいと頼むべきなんです。ポストにチラシ投函をする前に、まず、警察でしょ。それでも動いて貰えなければ、何か手を打っても良いんじゃないかな。
酷いYouTubeの広告に関しては、勝手にやらせたのは間違いですよね。普通、顧客の承認を受けないで広告をアップするなんてありえないでしょ。とんでもない広告会社に頼んじゃいましたね。酷い話です。まして、この広告、酷かった。マジであり得ない宣伝だと思いました。ちょっと笑えましたけどね。
「すべての人が平等の権利を持ち、公平に扱われる」って、マジでそんな事思っている人、いるんですかね。世の中は、不公平のオンパレードで、誰も平等の権利なんて持っていないのが現実だと思います。そして、私は、それで良いと考えています。努力した人間が報われない世界なんて、それこそ不公平でしょ。努力して、勝ち進んだものが、良い生活や、良い立場を手に入れるのは当たり前だと思うんですけど。負けるからこそ、次はアイツに勝ってやると思うんじゃないの?そして、何もやらなければ、底辺に這いつくばるしかないのは当たり前でしょ。
この映画のクリスティアンだって、色々な物を蹴散らして、この地位に就いたんだろうし、キレイ事なんて言っている場合じゃないって、何で気が付かないのかしら。喰うか食われるかの世界に生きているのに、それに気が付かない人間が間違っていると、この映画の最後では気が付いてくれたのかしら。それとも、アホみたいに口を開けてボンヤリしているのかな。
最終的には、聖書の創世記、アダムとイブに帰ると思うんだけど、人間は、神に言われた事に背いて、罪を犯して、エデンを追放されたんです。だから、誰もが罪人であり、善人ではあり得ない。善人に、神に近づこうとしたって、なれる訳が無いんです。何処までも罪を背負って生きて行かなければならないのが人間なんです。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。映画好きな方は、これ、楽しんで貰えると思いますよ。凄く映画祭向きの作品でした。2時間半くらいある長編なんですが、全く眠くならずに、引き込まれて観てしまいました。本当に面白かったです。でも、アクション映画や、サスペンスなど、スッキリしたい映画が好きな方には、これはダメかも知れません。映画好きで、単館系映画に慣れている方にお薦めです。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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