イタリア映画祭2018「侵入する女」を観てきました。
4日目の2作目です。
ストーリーは、
ジョヴァンナは、ナポリ郊外にあるレクリエーションセンターを運営し、恵まれない子どもたちを支援していた。すみかを失った子連れの若い女性には、センターの離れにあるコテージを提供。だが実は、女性が犯罪組織「カモッラ」のメンバーで殺人犯でもある夫をかくまっていたことで、センターは存続の危機に立たされる。
というお話です。
ジョヴァンナはナポリで子供たちが放課後に集まり、活動をする施設「農園」を運営している。(日本でいう学童保育です。)犯罪組織カモッラと隣り合わせの日常を生きる子供たちが、裏社会に取り込まれる負の連鎖を断ち切るため、彼女が夫と共に設立した施設だった。シェルターとして利用している敷地内の東屋では、小さな娘リタと赤ん坊を抱えたマリアが暮らしている。しかし、若い母親マリアの夫が、人違いで無実の男性を殺したカモッラの一員であることが明らかになり、逮捕される。
娘のリタは、次第に施設通う子供たちと馴染んでいくが、子供を通わせる母親たちは、スタッフは、母子が施設内に暮らしている事に不安を募らせていく。施設に通う少女の父親がマリアの夫に暴行された事も明らかになるのだが、ジョヴァンナは、簡単にマリアたちを追い出す事は出来ないと悩む。
リアと些細な事で喧嘩をした男児をマリアが脅す口調で叱責したことから、母子を庇い続けるジョヴァンナも地域の批判にさらされ、小学校は、子供たちを施設に通わせないという決定を下す。子供たちが来なくなった「農園」に佇むジョヴァンナは・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、ハッキリ言って、観ていると進展が無いので、ちょっと眠くなるのですが、凄く深い事を描いているんです。日本の状況に置き換えてみると凄く良く解かるのですが、これ、暴力団を追放しよう!と掲げているボランティア団体があると思ってください。子供たちが危険な目に合わないように、街から暴力団を無くそうと謳っていて、その施設の中に、貧困で困っている人のシェルターも作ってあるんです。そのシェルターに、何故か暴力団の下っ端の家族が住んでいたと言う事なんですね。
最初は、もちろんそんな事を知らずに、可哀想な人達だと思って、家に住まわせてあげたのですが、ある日、警察が入ってきて、その家の夫を逮捕してしまうんです。殺人容疑でした。マフィアの家族をそのまま住まわせるのかと、そのボランティアに参加している人々が、主催者に詰め寄るんです。当たり前ですよね。だって、マフィア追放と謳っているのに、匿っていたんですから。
学童保育もやっていたその施設は、一気に騒がしくなり、マフィアの家族がいるのでは、いつ報復があったり、何か起きるかも知れないと、学校側も子供たちをその施設に預けるのは禁止して、親たちもそこから遠ざかります。でもね、マフィアは悪いけど、家族は普通の人なんです。普通の奥さんで、普通の子供なんです。でもマフィアの家族なんです。これ、どうします?
私も、この映画を観て、考えてみたのですが、もし、自分の子供をその学童保育に通わせていたら、やっぱり怖いから行かせなくなると思うんです。だって、何かあってからじゃ遅いでしょ。家族に罪は無いと言ったって、何があるか分かりませんもん。
主催者のジョヴァンナは、マフィアの妻のマリアに出て行けとも言えないけど、でも、他の子供たちが犠牲になるのもおかしいと思っていて、どうしようも無いんです。彼女は、結局、何も動かないんですが、それもズルいよね。本当は、ジョヴァンナが悪者になって、出て行って貰うようにして、他の住む場所を探してあげるとかするべきだと思いました。主催者なんだから。善意でやっているんだから責任が無いと思うかも知れないけど、でも、何も調べずに入居させて、他の子供たちを危ない状況に置いていたという責任があると思いました。
でもなぁ、このマフィアの妻のマリアも可哀想だと思うんです。とっても若い女性で、子供が子供を産んだ感じなんです。だから、マフィアと一緒にいることが、こんなにも自分を苦しめる状況にさせるとは、全く思っていなかったんだろうなぁと思いました。彼女もとっても可愛そうですよね。
どこまでも答えが出ない内容の映画でした。でも、思ったのは、自分の人生は、自分で責任を取るしかない。自分が選んだことなのだから、他人のせいには出来ません。誰に頼るでもなく、自分の足で歩くしかないんです。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。でも、これ、日本公開されるかなぁ。凄く考えさせられる内容なんだけど、全くスッキリしないし、ずっと問題について悶々とする映画だから、どうなんだろう。でも、良い映画だと思いました。もし、公開されたら、ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんでくださいね。
イタリア映画祭 2018 http://www.asahi.com/italia/2018/