イタリア映画祭2018「純粋な心」を観てきました。
3日目の1作目です。
ストーリーは、
17歳のアニェーゼは母と2人暮らし。熱心な信者の母は娘を厳しく育て、結婚するまで純潔を守らせようとする。血気盛んな25歳のステファノは駐車場のガードマン。しがない日々から抜け出せず苛立ちを隠せない。全く異なる背景を持つ2人だが、予期せぬ出会いを果たすと、お互いに抑えていた思いがあふれていく。
というお話です。
信心深いクリスチャン(カトリック)の母と暮らす17歳のアニェーゼは、自身も純粋で敬虔な信者だが、厳格な母にどこか窮屈さを感じていた。ある日、その窮屈な日常のせいなのか、つい、スーパーで万引きをしてしまう。逃げるアニェーゼを捕まえたスーパーの警備員のステファノ。涙を流して許して欲しいと頼むアニェーゼを警察に突き出す事が出来ず、逃がしてしまう。
彼女を逃がしたことで、スーパー内部の警備員をクビになり、外部の従業員用駐車場の警備に回されてしまったステファノ。駐車場の横にはロマの難民キャンプがあり、トラブルが絶えない。鬱屈した日々を過ごしていたステファノは、難民キャンプにボランティアに現れたアニェーゼが目に入る。予期せぬ再会だったが、ステファノは彼女に惹かれ始め、アニェーゼも優しいステファノに惹かれていく。
しかし、敬虔なクリスチャンの教えを厳格に守れと教えているアニェーゼの母親は、男性と付き合う事を許さず、彼女にステファとの連絡を断たせてしまう。その上、彼女の純潔をも疑う母親に不信感を募らせていく。
彼を忘れられず、ステファノの所に向かうアニェーゼ。彼は、職を失い落胆していたが、彼女が戻った事で何でもやろうという気になり、幼馴染のツテでドラッグの売人の仕事を得ることになる。アニェーゼは、そんなステファノと一緒に居たくて、母親に嘘をつき、ステファノのところで泊ってしまう。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
若い頃の心の葛藤を、良く描いている映画でした。アニェーゼは、敬虔なクリスチャンで、厳しく育てられてきたんです。母親がとても厳しくて、同級生の男の子からのメールの内容が、ちょっと恋愛を匂わせるものだっただけで、携帯を取り上げられてしまいます。堕落してしまってはいけないという事らしいのですが、思春期の女の子に、我慢しろっていうのが難しいですよね。一番、そういう事に興味がある頃なんだから。とても可哀想でした。
そしてステファノは、イタリアの貧困層の生まれで、実家の父親は仕事が無く、家に籠っているだけ。何とか生活はしているが、家賃も払えず、もうすぐ追い出されるという感じのようなんです。既に実家から出ているステファノは、何とか仕事を見つけたのですが、アニェーゼを見逃したことでクビになり、駐車場の警備員にさせられて、給料は安くて、酷い環境になってしまいます。その上、母親にお金をせびられて、もう、鬱憤が溜まっている感じ。
主人公の二人とも、心の中に鬱憤が溜まっていて、辛い状況の中で出会い、惹かれあうんですね。何となく、運命的な感じに見えました。そして、一緒に居たいと思い始めるのですが、アニェーゼは、母親に厳しい事を言われ、反発する心と、罪悪感とが入り混じり、自分の中がごちゃごちゃになって、色々、相反する行動をしてしまったりしていました。
確かに、18歳くらいって、親の監視下に置かれながらも、もう大人だという事もあり、どこで親に訣別するか、自分で決断しなくちゃいけないんですよね。何かで反発して、一人の人間として立ち上がる時期なんです。そんな様子が良く描かれていたと思いました。大体が、親に背くような事をして、一人立ちするもんなんですよねぇ。門限破るとか、無断外泊するとか、懐かしいなぁ。(笑)
ま、このアニェーゼは、ちょっと特殊なやり方で親離れをしたと言って良いのかな。結構、良かったんじゃないの?周りは、ちょっと迷惑したけど、大丈夫、許してくれますよ。どうやったのかは、映画を観て下さいね。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。静かで、ちょっとマイナーな感じの映画ですが、最期は、結構、感動しました。イタリアのロマという人達の状況なども描いていて、良かったと思います。日本公開は解らないけど、もし、観る機会があったら、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんでくださいね。
イタリア映画祭 2018 http://www.asahi.com/italia/2018/