イタリア映画祭2018「シチリアン・ゴースト・ストーリー」を観てきました。
1日目の1作目です。
ストーリーは、
お互いに好意を抱く13歳のルナとジュゼッペ。2人の仲が深まろうとする矢先に、ジュゼッペは失踪する。なぜか周囲の大人たちが口をつぐむなか、ルナは懸命に彼の行方を追う。はたしてルナはジュゼッペと再会できるのだろうか?
というお話です。
実話を元に作られた作品です。
シチリアの街で暮らす13歳のルナとジュゼッペ。カッコいいジュゼッペに夢中なルナは、母親から付き合うなと言われてもジュゼッペを追って行き、その思いを手紙に託して渡します。ジュゼッペもルナを思っていて、学校の帰りに森で逢って、一緒にふざけ合ったり、ジュゼッペの馬術を見学したりと楽しんでいました。ある日、厩舎に居たジュゼッペの姿が見えなくなり、そのまま、学校を何日も休んでいました。心配したルナは、ジュゼッペの家に会いに行くのですが、彼の両親から寝ているから帰って欲しいと言われ、突き放されてしまいます。
何かおかしいと思い、ジュゼッペの行方を探しますが、全く手掛かりは無く、両親も関わるなと言うばかり。ジュゼッペの家からも拒否されて、仕方なく、2人で過ごした森や、何となく彼を感じる場所を探し続けます。
一方、ジュゼッペは、ある理由からマフィアに誘拐監禁され、誰も助けに来ず、ただ一人、狭い部屋での生活を続けさせられます。何故か、彼の家族は失踪届を警察に出さず、いつまでもジュゼッペは解放される事はありません。段々と薄くなる意識の中、ジュゼッペはルナへの思いだけを胸に抱き、彼女と一緒にいたいという気持ちを持ち続けていくのですが・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、凄く良かったです。1993年に実際にシチリアであった事件が元になっているんです。ジュゼッペという男の子がマフィアに誘拐され、父親に”口を噤め”というメッセージとジュゼッペの写真が送られて来て、それから2年程も監禁され、殺されたという事件です。イタリアでは大きな事件として報道され、この少年が殺された事で、マフィアを撲滅しようという運動が大きくなって行ったというきっかけになった事件でした。
この監督も、シチリアに住んでいて、この事件を知り、シチリアに居たく無くなったそうです。そして時が経ち、この事件が忘れ去られて行くと良くないと思い、映画化に踏み切ったと話されていました。
もちろん、映画の元にしただけで、内容は違いますよ。ジュゼッペの部分は事件を元にしていますが、ルナという少女が彼を探して、不思議な出来事に出会って行くという部分は、フィクションです。でもね、ルナという少女と一緒にいたいと願っているジュゼッペの思いが、彼女に届くんです。何度も何度も、みんなが忘れ去って行く中、ルナだけが彼を思い、彼もルナを思い続ける。本当に悲しい映画でした。
この思い続けるという感じが、とても日本の考え方に繋がると思いました。あまりイタリアとかだと、大切な人を思い、その思いがたとえ死んでも残っていて相手を守るとか、助けるとか。「雨月物語」の中にも、死んでも夫の帰りを待っていた妻の話とかあるでしょ。そんな感じで、想いがそこに残って、彼女を思うということが描かれていました。
イタリア映画祭の最初の1本目が、こんなにも感動作だったので、嬉しくなりました。とても深い映画で、考えさせられて、マフィアの恐ろしさを知り、撲滅を訴えた彼らの勇気を褒めたくなりました。だって、大勢の人を殺して、酸で溶かして、湖か川に流していたんです。それって、シチリアの人達の水道の元だったそうです。恐ろしいでしょ。もう、ゾッとする真実がたくさんあり、驚きました。
最期に、このジュゼッペを演じたガエターノ・フェルナンデスくんという男の子なのですが、超美少年なのよ。昨日、「君の名前で僕を呼んで」を観て、ティモシー・シャラメくんが美しいなぁとため息をついていたのに、またも続けてこんな美少年を見れるなんて!と思うほど美しい男の子でした。段々、衰弱していくところが、何とも可哀想で、儚げで、助けてあげたかったよぉ~!美少年図鑑に入れたい男の子でした。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。この映画、日本でも、公開されると良いなぁ。こんなに良く出来ているのに、勿体無いです。恐ろしい事件を知るためでもあり、日本も暴対法が施行されて、マフィア撲滅と同じような運動をしてきているので、考えるためにも公開して欲しいな。ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんでくださいね。
P.S : ちょっと雰囲気がレイ・ブラッドベリの「みずうみ」に似ていました。
イタリア映画祭 2018 http://www.asahi.com/italia/2018/
![]() |
イタリア・マフィア (ちくま新書)
Amazon |
(この本の中にジュゼッペくんの事件の事が書いてあります。)
![]() |
10月はたそがれの国 (創元SF文庫)
1,188円
Amazon |
(レイ・ブラッドベリの「みずうみ」が収められています。)