イタリア映画祭2018「イタリアの父」を観てきました。
5日目の2作目です。
ストーリーは、
トリノの家具店でそつなく働くパオロは、ゲイクラブで体調を崩したミアをたまたま助ける。ロックバンドのバックシンガーで奔放な生活を送るミアは妊娠6カ月で、その子の父親が誰なのかはっきりしない。いやおうなく父親捜しに巻き込まれるパオロだが、無軌道な旅を通じて自分自身を見つめ直していく。
というお話です。
孤児院育ちで、同性愛者のパオロは、家族を持ちたいと思っても、夢だと諦めていた。パートナーのマリオと破局し、失意のなか訪れたクラブで、パオロは身重のミアと知り合う。メチャクチャなミアのペースに巻き込まれた彼は、お腹の子供の父親探しに同行する事になる。
ちょっとだけのつもりが、何日にもなる旅になり、現実から逃げるように今を生きる彼女と、孤独を抱えて生きる彼は、いつしか互いの心の隙間を埋めるように惹かれあっていく。
彼女の実家に辿り着き、ゆっくりと過ごす2人。パオロは、このままミアの子供とミアと3人で家族のように暮らせたらと願うようになる。しかし、ミアの母親は、いい加減なミアを叱咤し、そんな生活状態では子供をまともに育てる事なんて出来ない。何故、産む事にしたんだと言い、ショックを受けたミアは、パオロを残して、一人、姿を消してしまう。
パオロは一人になり、また、現実に立ち返り、孤独な日常に戻るのだが、ある日、突然に病院から電話が入り、病院へ行くと、ミアは姿を消した後で、子供だけが残されていた。ミアは、子供の父親をパオロだと申告していて、病院は、本当にあなたの子供で認知するかと尋ねる。パオロは、子供を認知し、女の子だった子供に”イタリア”という名前を付けて、父親として生きて行く事を決意する。というお話です。
この映画、うーん、良い映画なんだけど、あまりにも母親のミアが無責任で、何と言って良いのか、悩みます。映画としては、ちょっと出会ってからウロウロする時間が長くて、ちょっと眠くなりましたが、ミアの実家に行ってからの展開が早くて、まぁ、面白かったかなと思います。ゲイのパオロが、ミアに惹かれていくというのが、ちょっと、ん?と思ったけど、まぁ、ゲイだけど女性も行けるバイだったって事でね・・・。
ゲイで、恋人と別れたばかりのパオロ。せめて子供が居れば生きて行けると思ったのかも知れないけど、ゲイだから子供は持てないと思っているんです。確かに、日本は養子を貰う事って凄く大変だから、無理かも知れないけど、そういうコーディネーターに頼んで、育てられないという親から養子として貰う分には出来るんじゃないかな。
日本の養子制度って、酷く厳しいんですよ。とにかく、若くないと貰えないの。だから、40代とか50代で経済的に余裕が出てきたから、養子を貰って、育ててあげる事が出来るかなと思ってもダメなんです。おかしいよね。施設で育っているよりも、少しでも人と関われるように養子制度を広げた方が良いと思うけど、やっぱり変態さんがいるからダメなのかしら。それなら月に1週間だけとかから初めて、大丈夫なら一緒に暮らすとか、そんなのはダメなの?
このパオロが思うように、人って、一人だと沈んで行ってしまうことが多いと思うんです。でも、誰かいれば、誰かを育てなければという目標が出来れば、未来が見えてくる人もいると思うんです。そういうコミュニティとかがあれば、もっと、孤独な人が減って、活力が出てくるんじゃないかなぁ。社会も、沢山の人の活力があってこそ、盛り上がっていくものでしょ。
それにしても、このミア、酷い女性でした。まぁ、それなりに理由もあるんだけど、でもね、母親が言っているように、もうイイ年なんだから、少し考えて行動しろよって私も言いたい。それじゃ、子供が生まれて来ても、マトモに育てられないよ。まぁ、ちょっと酷かったです。で、産んだら、ハイ、さようならって感じで消えちゃって、酷過ぎるでしょ。
でも、パオロにとっては、生きる理由が出来て、本当に良かったと思います。子供を育てる事で、彼は、これからも未来を見つめて、強く生きて行けるのかなって思えました。彼の最後の涙は感動でした。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。でも、日本公開は、難しいかなぁ。良い映画ではありますが、万人受けはしないと思うし、途中で眠くなるんですよ。ダラダラとミアとパオロでウロウロするからねぇ。その分、もっと短く出来たかもしれないのにね。まぁ、そうすると、映画としては短くなりすぎるかも知れないけど。もし、観る機会があったら、ぜひ観てみて下さい。
ぜひ、楽しんでくださいね。
イタリア映画祭 2018 http://www.asahi.com/italia/2018/