「女は二度決断する」この決断を良しとするか悪とするか、それは人それぞれの考え方によると思う。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「女は二度決断する」を観てきました。

 

ストーリーは、

トルコ移民のヌーリと結婚したカティヤは幸せな家庭を築いていたが、ある日、白昼に起こった爆発事件に巻き込まれ、ヌーリと息子のロッコが犠牲になってしまう。警察は当初、トルコ人同士の抗争を疑っていたが、やがて人種差別主義者のドイツ人によるテロであることが判明。愛する家族を奪われたカティヤは、憎しみと絶望を抱えてさまようが・・・。

というお話です。

 

 

ドイツ・ハンブルグに住むカティヤと夫・ヌーリと息子のロッコ。ヌーリはトルコ移民で、以前はドラッグの売人をしていて逮捕され、収監されていましたが、出所時にカティヤと結婚し、ドラッグなど裏の仕事とは縁を切りました。出所後、外国人相手のコンサルタント会社を設立し、息子のロッコも産まれ、幸せな生活を送っていました。

 

ある日、カティヤが友人と出かける為に、夫の会社に息子を預けて、車で出かけて行きます。その途中、会社を出ると、その前に、新品の自転車を鍵もかけずに置いて行く女性を見つけ、声を掛けますが、彼女は直ぐに戻るからと言って、そのまま消えてしまいます。カティヤは気にせず、そのまま出かけてしまい、夕方、夫の会社に戻ると、沢山の警察官と消防車が居る事に気が付きます。話を聞くと、夫の会社の前で爆発事故があり、夫と息子が亡くなった事を知ります。

 

 

半狂乱になり、放心状態になってしまうカティヤ。警察からの事情聴取を受けて、その日に気が付いたことを全て話し、自転車の女の事も警察に話します。夫も息子も亡くなり、精神的に極限に達し、ドラッグを手に入れて気持ちを紛らわすカティヤ。警察は、ヌーリが誰かに狙われていたのではないかと考え、自宅捜査をすると、カティヤが使っていたドラッグが見つかり、警察に連れて行かれますが送検は免れます。

 

爆破犯人と見られる人物が逮捕され、ネオナチの若い夫婦だと言うことが判ります。しかし決定的な証拠が無く、ネオナチ仲間がアリバイをでっち上げて証言してしまい、その上、カティヤの証言は、ドラッグを使っていたという事がネックになり、信頼性を疑われてしまいます。裁判所は、疑わしきは罰せずの法則に基づき、一審は無罪となってしまいます。

 

 

目の前に犯人が居るのに、手を出す事が出来ないカティヤ。苦しんだ彼女がとった行動とは・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

この映画、衝撃的でした。最後の最後で、この結末を選んだ彼女を、どう判断して良いのか、今、書いていても、判断がつきません。この裁判で無罪となったところからが、この映画の山場で、一転二転して、早い展開をします。結構、この裁判までは、長くてジレジレした感じが続くのですが、裁判が終わった部分から、カティヤの気持ちと行動が動くので、驚くと思います。

 

 

自分の愛する夫と息子を奪われたら、私だって、相手を絶対に許さないと思うし、殺したいと思うと思います。だけど、社会の中で生きていれば、簡単にはそれが出来ないんです。裁判というモノがあるし、沢山の人間の声を聞きながら審判が下ります。このカティヤも、詰めが甘くて、普通ならカティヤの方が有利なのですが、夫がドラッグの売人をしていた過去があり、カティヤが現在もドラッグを使っていたとなると、証言の信憑性は、必ず疑われてしまいますよね。被害者だからと言って、全てが受け入れられる訳では無いんです。裁判では平等性が重視されるので、どちらの事情も取り入れられてしまう。そうなると、簡単に使ってしまったドラッグが、その裁判を左右することになってしまう。甘いなぁと思いました。一度、ドラッグなどに頼ってしまうと、いざとなると簡単に手を出してしまうのでしょうね。これはダメだと思いました。

 

 

相手のネオナチの夫婦ですが、ヌーリ個人に恨みがあった訳では無く、外国からの移民と言う事で、標的にされたようでした。ネオナチは、ヒトラー崇拝なので、純血種のアーリア人以外はゴミだと考えているのか許していないようなんです。ドイツ国内では、実際に大きな連続テロ事件が起こっていたようで、そのテロ事件は10年以上も犯人が逮捕されず、ドイツ警察戦後最大の失態と言われているようです。そんな実際の出来事を元に、このストーリーが作られたようでした。

 

今、現在はどうなんですかね。ナチスが酷い思想だと言う事は、歴史が証明しているのに、どうしてまたそれを崇拝するのかが、私には理解が出来ないのですが、彼らにはそれなりの言い分があるのかしら。どう考えても、理解が出来ませんでした。いくら、自分達の主張が有ろうとも、人を殺していい事にはならないですよね。

 

 

ハッキリ言って、私、このラストはあり得ないだろうなぁというモノでした。沢山の映画を観ていますが、これは、一番、やらない選択肢だったと思います。観終わった後、やるなぁと感心しました。確かに、素直に観て行けばこうなるんですけど、これ、映画でやるのって、勇気がいると思うんですよ。大したもんだと、感服しました。いや、この主人公に対してではなく、作った人にですよ。映画の王道からは、少し外れる終わり方だったので、私は、素晴らしいと思ったんです。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。良く出来ている良い映画なのですが、裁判で無罪になったりと、ちょっとスッキリしない内容なので、観終わった後に気持ち良く出てきたい人には、ちょっと薦めて良いのか悩みますが、でも、私は、ある面、スッキリしました。間違っているかも知れないけど、でも自分が選択出来る結末として、カティヤが選んだ決断は、私は拍手を送りたいと思いました。ちょっと判断が分かれる内容ですが、面白くて考えさせられる内容なので、ぜひ、観に行って欲しいと思います。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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