【演劇】「ヘッダ・ガブラー」真っ赤に咲くダリアのようなヘッダは自分の言葉に押し潰されて行く。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

舞台「ヘッダ・ガブラー」を観てきました。

 

ストーリーは、

 

高名なガブラー将軍の娘ヘッダは、社交界でいつも男たちに崇められる存在だった。その父が世を去り、ヘッダは将来を嘱望される学者イェルゲン・テスマンと結婚する。半年に及ぶ長い新婚旅行から帰った2人が落ち着いたのは、ヘッダの強い希望でイェルゲンに購入させた新居だ。イェルゲンの叔母ミス・テスマンとメイドのベルテが二人を迎えるが、ヘッダは新居への不満や、早くもこの結婚に退屈している様子を隠そうともしない。

 

そこへ、ヘッダの学生時代の後輩エルヴステード夫人が訪ねてくる。彼女は田舎の名士の後妻となっていたが、義理の子供たちの家庭教師だったエイレルト・レェーヴボルクを探しに町に出てきたという。学者としてイェルゲンのライバルであったレェーヴボルクはヘッダの元恋人であり、ヘッダの方から一方的に関係を絶ち切ったという過去があった。

 

一時は自堕落な生活を送っていたレェーヴボルクだが、エルヴステード夫人との出会いから再起し、彼女の協力も得て新しい論文を執筆するまでに復活していたのだ。そこへ夫婦が懇意にしているブラック判事が現れ、イェルゲンが望んでいた大学教授のポストに、レェーヴボルクも有力候補として名前が挙がっている事を知らされる。ヘッダの心は大きくざわつき始め・・・。

 

というお話です。

 

 

イプセンの戯曲なのですが、なんたって、この主役のヘッダが魅力的なんです。凄い我儘で、俗に言う悪女なのですが、本当は情熱的で愛に生きているんですけど、それを表に出さず、ガブラー将軍の娘であるというプライドを決して崩さないんです。素直になれたら、好きな人と一緒にいることが出来たかも知れないし、そのプライドが無ければ、幸せな女性としての生活を手に入れられたかもしれないのですが、それがどうしても出来ない女性なんです。

 

ヘッダが、もし、美しい女性じゃなかったら、その状況も変わっていたかも知れませんが、誰が見ても美しい容姿をしていて、魅力的な身のこなしや、明晰な頭脳を持っていて、誰もが羨むような女性なんです。だから、彼女は、その仮面を取る事が出来なかったのでしょうね。

 

この時代、女性が外に出て働くとか、男性と肩を並べて議論をするなど以ての外と言われていたようで、女性は結婚したら男性の付属品のような扱いだったようです。そんな中で、ヘッダは、強く、言いたい事を言える、珍しい存在だったのではないかなと思いました。それは、彼女の家が、名家であったことと、その美しさがあったからなのかなと思います。

 

みんなから崇められ、ヘッダは普通の女性とは違うんだよって思われていて、その本当の気持ちを解放出来なかったのでしょうね。本当は、ヘッダも、普通の幸せが欲しかったのかなと思います。でも、彼女の生き方は、それを許さなかった。この結末も、仕方の無い事だったと思います。

 

 

この舞台の寺島さん、美しくて強くて、本当にカッコ良かったなぁ。本当に魅力的で、誰もが彼女に文句を言えない雰囲気が良く判りました。それに対して、水野さんの役は、夫に左右される人生が嫌になって、好きな男を追ってきたけど、でも全てを捨てる事は出来ないような、弱い女性で、この対比が面白いと思いました。

 

イェルゲンが小日向さんで、レェーヴボルクが池田さんが演じていたのですが、こちらも、穏やかなイェルゲンの人柄に対して、荒々しくて行き当たりばったりっぽいレェーヴボルクの対比が良く出ていました。

 

この舞台を観ていて、激しく美しく咲く花は、あっという間に弾けて枯れてしまうけど、大人しく、静かに咲いている花は、長い時間、咲いているんですよね。そんな事を思いました。

 

私は、この舞台、超!お薦めしたいと思います。このお話、好きでした。そして寺島さんが美しくて、とっても感動してしまいました。まだ、上演しているので、ぜひ、観に行って見て下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ヘッダ・ガブラー」  http://www.siscompany.com/hedda/gai.htm