舞台「ヘッダ・ガブラー」を観てきました。
ストーリーは、
高名なガブラー将軍の娘ヘッダは、社交界でいつも男たちに崇められる存在だった。その父が世を去り、ヘッダは将来を嘱望される学者イェルゲン・テスマンと結婚する。半年に及ぶ長い新婚旅行から帰った2人が落ち着いたのは、ヘッダの強い希望でイェルゲンに購入させた新居だ。イェルゲンの叔母ミス・テスマンとメイドのベルテが二人を迎えるが、ヘッダは新居への不満や、早くもこの結婚に退屈している様子を隠そうともしない。
そこへ、ヘッダの学生時代の後輩エルヴステード夫人が訪ねてくる。彼女は田舎の名士の後妻となっていたが、義理の子供たちの家庭教師だったエイレルト・レェーヴボルクを探しに町に出てきたという。学者としてイェルゲンのライバルであったレェーヴボルクはヘッダの元恋人であり、ヘッダの方から一方的に関係を絶ち切ったという過去があった。
一時は自堕落な生活を送っていたレェーヴボルクだが、エルヴステード夫人との出会いから再起し、彼女の協力も得て新しい論文を執筆するまでに復活していたのだ。そこへ夫婦が懇意にしているブラック判事が現れ、イェルゲンが望んでいた大学教授のポストに、レェーヴボルクも有力候補として名前が挙がっている事を知らされる。ヘッダの心は大きくざわつき始め・・・。
というお話です。
イプセンの戯曲なのですが、なんたって、この主役のヘッダが魅力的なんです。凄い我儘で、俗に言う悪女なのですが、本当は情熱的で愛に生きているんですけど、それを表に出さず、ガブラー将軍の娘であるというプライドを決して崩さないんです。素直になれたら、好きな人と一緒にいることが出来たかも知れないし、そのプライドが無ければ、幸せな女性としての生活を手に入れられたかもしれないのですが、それがどうしても出来ない女性なんです。
ヘッダが、もし、美しい女性じゃなかったら、その状況も変わっていたかも知れませんが、誰が見ても美しい容姿をしていて、魅力的な身のこなしや、明晰な頭脳を持っていて、誰もが羨むような女性なんです。だから、彼女は、その仮面を取る事が出来なかったのでしょうね。
この時代、女性が外に出て働くとか、男性と肩を並べて議論をするなど以ての外と言われていたようで、女性は結婚したら男性の付属品のような扱いだったようです。そんな中で、ヘッダは、強く、言いたい事を言える、珍しい存在だったのではないかなと思いました。それは、彼女の家が、名家であったことと、その美しさがあったからなのかなと思います。
みんなから崇められ、ヘッダは普通の女性とは違うんだよって思われていて、その本当の気持ちを解放出来なかったのでしょうね。本当は、ヘッダも、普通の幸せが欲しかったのかなと思います。でも、彼女の生き方は、それを許さなかった。この結末も、仕方の無い事だったと思います。
この舞台の寺島さん、美しくて強くて、本当にカッコ良かったなぁ。本当に魅力的で、誰もが彼女に文句を言えない雰囲気が良く判りました。それに対して、水野さんの役は、夫に左右される人生が嫌になって、好きな男を追ってきたけど、でも全てを捨てる事は出来ないような、弱い女性で、この対比が面白いと思いました。
イェルゲンが小日向さんで、レェーヴボルクが池田さんが演じていたのですが、こちらも、穏やかなイェルゲンの人柄に対して、荒々しくて行き当たりばったりっぽいレェーヴボルクの対比が良く出ていました。
この舞台を観ていて、激しく美しく咲く花は、あっという間に弾けて枯れてしまうけど、大人しく、静かに咲いている花は、長い時間、咲いているんですよね。そんな事を思いました。
私は、この舞台、超!お薦めしたいと思います。このお話、好きでした。そして寺島さんが美しくて、とっても感動してしまいました。まだ、上演しているので、ぜひ、観に行って見て下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ヘッダ・ガブラー」 http://www.siscompany.com/hedda/gai.htm
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