「殺人者の記憶法」を観てきました。
ストーリーは、
かつて連続殺人を犯した獣医のビョンスは、いまはアルツハイマー病に侵され、記憶がおぼろげになっていく日々を送っていた。あやふやになる記憶への対処のため毎日の出来事を録音する習慣がついていたビョンスは、ある日、偶然出会った男テジュの目つきに、テジュが自分と同じ殺人犯であるという確信を抱く。やがてテジュはビョンスのひとり娘ウンヒのそばをうろつくようになり、ビョンスはひとりでテジュを捕らえようとするのだが・・・。
というお話です。
獣医のビョンスは、娘のウンヒと暮している。娘をとても可愛がっているが、最近、頭痛が酷く、病院に行ってみて貰うと、アルツハイマー病を発病していると言われ、段々と色々な事が分からなくなって行くと説明を受ける。確かに、ぽっかり1日分が記憶から抜けてしまっていたりと、娘に迷惑をかけるばかりになってしまう。
実は、ビョンスは、昔、連続殺人鬼であり、自分の物差しで悪だと認識した人間を殺し、竹林に埋めていた。最後の殺人からは、もう何年も殺しておらず、静かに暮らしていた。アルツハイマーになったことで、その忌まわしい記憶も段々と消えていくのかと考えていた。
その頃、ビョンスの町では、連続殺人が起きていた。若い女性が殺されて、全裸で捨てられるという事件が何件か起きていた。ある日、ビョンスは、自分の持っている竹林を散策し、家に帰る途中で前の車に追突してしまう。直ぐに謝ろうと前の車に近寄ると、車のトランクが開いており、そこには血が流れていた。驚いたビョンスは、運転手に会い、保険で直すので連絡をくださいと話し、名刺を渡すのだが、相手は気にするなと名前も何も告げずに去ってしまう。
ビョンスは、自分と同じ殺人鬼の目付きだったと思い、事故相手を探し始める。すると、相手は警察官であり、評判の良い青年だった。ビョンスは気になり調べ始めるが、相手のテジュもビョンスを調べ始める。テジュは連続殺人鬼だが警察なので、全ての証拠を消して疑いの目を向けられないようにしていたのだが、自分と同じ特性を持つビョンスに気が付き、包囲網を固めて行く。
テジュに娘も何もかも知られてしまい、挙句の果て、アルツハイマーで忘れているだけで、本当はビョンスが連続殺人鬼だと思い込ませようという細工までされて、ビョンスは追い詰められていく。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、面白かったです。殺人鬼がアルツハイマーで記憶を無くして行くって、なんて都合が良くて、ムカつくんだろう。人を殺しておいて、何もかも忘れて、幸せに死んで行くなんて、そんな事ダメだよね。死ぬまで殺した人の怨みを買い、良心の呵責を負っていて欲しい。
でも、このビョンスは、悪い人だけを殺していたと言うんです。浮気した妻と相手、子供を虐待していた親、犯罪者など、悪い奴らを殺していたという主張なんですが、それが悪い事なのかっていう判断は、ビョンス個人の判断でしょ。万人が悪い奴だと思う奴なのかしら。ここら辺は、この映画の良い所なんですよ。確かに、ビョンス目線で殺す相手が悪い事をしている姿を描いているのですが、その相手にも言い分があるでしょ。ビョンスに言い分があるように、他の人にだって、悪い事をする言い分があるんです。だから、やっぱり、直ぐに殺していいとはならないと思うな。
ビョンスの敵としてテジュが出てきますが、この男、マジでキレイな顔をして、真面目な人間として警察でも良く思われているのですが、超極悪なんです。まぁ、酷過ぎるって言うくらい酷い殺し方をして行くんです。でも、こんなに荒っぽい殺し方をしていて、どうして捕まらないんだろうと不思議になりました。いくら警察で、証拠を片っ端から消していると言っても、誰か疑うんじゃないかしら。警察は身内に甘いから、こういう事も多いのかなぁ。
アルツハイマー病になり、記憶が曖昧になって行くビョンスが良く描かれていました。一瞬で違う人になったように、普通の叔父さんに変貌するんです。さっきまで、凄く鋭い目で敵を追っていたのに、頭が痛い~って押さえて直ぐに、全く違う顔で起き上って、あなた誰でしたっけ、とか話してしまうんです。アルツハイマー病って、こんな風になっちゃうんですね。これは家族は辛いだろうなぁと思いました。それに、何か思い込むと、娘も解らなくなって、首を絞めてしまったり、本当に恐ろしいと思いました。
それにしても、最期の戦いは凄かったです。それに、テジュには、恐ろしい秘密があって、ちょっと驚きました。最後の最後で解ることが幾つもあるので、楽しめると思いますよ。そうそう、警察署長さんが私が好きな俳優さんでした。この人、良く出ていて、イイ演技なんですよねぇ。韓国のバイプレーヤーなのかしら。好きです。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。超と付けないのは、好き嫌いがあるかなぁということと、ちょっと残酷な場面があるのでです。でも、この最初から最後までの緊張感は素晴らしいですよ。これ程、どうなるのかドキドキハラハラする映画って、最近、珍しいかも知れません。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
殺人者の記憶法 (新しい韓国の文学)
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