「スリー・ビルボード」の試写会に行ってきました。
ストーリーは、
米ミズーリ州の片田舎の町で、何者かに娘を殺された主婦のミルドレッドが、犯人を逮捕できない警察に業を煮やし、解決しない事件への抗議のために町はずれに巨大な広告看板を設置する。それを快く思わない警察や住民とミルドレッドの間には埋まらない溝が生まれ、いさかいが絶えなくなる。そして事態は思わぬ方向へと転がっていく。
というお話です。
ミズーリ州の田舎町で、若い女性がレイプされ殺されるという事件が起きました。事件から7ヶ月経っても何の進展も見られない事に業を煮やした母親のミルドレッドは、町の街道に立つ3枚の広告看板に目を付けます。
広告会社に出向いて、あの看板にメッセージを出したいと言って1ヶ月の料金を支払い、3枚の看板に書く文章を見せる。広告会社のレッド・ウェルビーは、この文章はマズいのではないかとミルドレッドに話すのだが、彼女はそのまま書いてくれと頼んでいく。
数日後、3枚の看板に掲げられた言葉は、ウィロビー警察署長に早く犯人逮捕をしろというメッセージだった。警察も怠慢な訳では無いのだが、ウィロビー警察署長はガンに侵されて余命宣告をされている状態で、本人が動いて捜査する事が出来ず、部下たちも、事件に関しての証拠品が少なく、目撃情報も無いので、捜査が行き詰まっていたのだ。しかし、ミルドレッドに対して、そんな言い訳が通る訳も無く、本当は事件の犯人捜しが目的なのに、何故か、被害者の母親と警察の対立が深まって行く。
そんな状況に町の人々も巻き込まれ、ある者はミルドレッドの味方をし、ある者は警察の味方をしてミルドレッドに嫌がらせをし始める。ウィロビーは、そんな状況を止める為、ミルドレッドに話をしに行くのだが、彼女を説得する事は出来ず、警察官のディクソンは怒りに任せて看板屋のレッドに暴行を働いてしまう。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
この映画、凄かった。もう、最後の最後まで息が付けず、心に突き刺さるような印象を残して終わると言う、何とも凄いとしか言いようが無い映画でした。だって、誰も悪くないんですよ。ミルドレッドの娘をレイプして殺した犯人が悪いんです。他の人達は、誰も悪くないの。誰もが、事件は悲劇だと思っているし、犯人は許せないと思っているんです。だけどね、いつまでも犯人が捕まらないから、その怒りの矛先が、段々と変わって来てしまうという、これ、良くある話だよなぁと考えてしまいました。
例えば、最近のニュースで小室さんが不倫をしたという記事が出て、騒ぎになったでしょ。だけど、何故か介護の大変さと、文春というマスゴミの吊るし上げになってしまっている。根本は、小室さんの不倫報道なのに、それが間違いだと判った時点で文春が不倫じゃありませんでしたと謝って収めれば良いのに、違う方向へ走り出している。おかしいですよね。奥さんの事をあんなに赤裸々に話してというマスゴミのコメンテーターが居たけど、あれくらい言わないとあんた達がいつまでもグダグダ言うから、その世界を良く判っている小室さんが言いたくない事まで全部話して終わらせようとしたんでしょ。本当にゴミだなと思いました。でも、こんな風に論点が変わってしまう。
この映画は、そんな状況をとても上手く描いていて、それが酷い事に発展していく様を良く表しているんです。そんな中でも、余命が少ないウィロビー警察署長は良く出来た人で、全てが見えていて、収めて行こうとするんだけど、身体が持たないんですよねぇ。本当にガンの末期症状が出てしまい、可愛そうな状況になって行きます。
殺された娘の母親のミルドレッドの気持ちも解るんだけど、どーも好きになれませんでした。もう少し、やり方があったんじゃないかと思うんです。元々、激しい性格のようでしたが、誰か相談をする人を作って、吐き出し方を考えるべきだったのではないかと思いました。でも、看板は良いアイデアかも知れません。あれがあれば、誰もが事件を忘れる事は無いでしょ。でも、警察署長の名前を入れるとかは間違っていると思うなぁ。事件の事を訴えるべきだとは思うけど、個人攻撃しても何も始まりませんから。
役者の方々が、超!上手いんです。まず、ミルドレッド役のフランシス・マクドーマンドさん、美しい人ではないのですが、どこか目を離せない印象を残す方で、娘が事件にあったのは、自分のせいでもあったのかも知れないと自分を責めながらも、その怒りを外に吐き出さずにはいられない母親を上手く表現していました。
ウィロビーのウッディ・ハレルソン、優しくて強くて、だけど壊れそうな役を上手く演じていました。彼が、最終的には、全ての人間の心を癒していくんです。派手な役ではありませんが、最後の最後まで、その印象が残る演技でした。
そしてお気に入りがサム・ロックウェル演じるディクソン。嫌な奴で、この映画の要ともなるような人物ですが、その心の移り変わりが表現されていて、素晴らしいと思いました。本当は、凄く良い警察官になれる人物なのに、カッコつけてヘラヘラしちゃう感じなんです。でも、凄かったですよ。
最後に、私のお気に入りのレッド役のケイレブ・ランドリー・ジョーンズさん。彼、”アンチヴァイラル”という映画でスゴイ役をやっていて、良かったんですよねぇ。今作でも、弱弱しそうに見えながらも、意思を貫く責任者を良く演じていました。もっと活躍して欲しい方です。
この映画、アカデミー賞、取って欲しいけど、”シェイプ・オブ・ウォーター”が強そうですね。観ていないから何とも言えませんが、ま、楽しみです。この作品、とても良いので、食い込んで行って欲しいなぁ。
この映画、素晴らしかったので、いつまでも感想が書いていられるんですけど、この辺りで止めておきますね。私、観終わった時に、声も出ないほど感動してしまったので、超!超!超!お薦めしたいと思います。でもね、万人が観て楽しめる映画とは言えません。ヒューマンドラマなので、派手で楽しめる映画では無い事を解って観に行ってください。だから、デート向けの映画では無いと思います。でも、ぜひ観に行ってみて欲しい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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