【演劇】「アンチゴーヌ」人それぞれの立場があり、それを曲げられない事も時にはある。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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舞台「アンチゴーヌ」を観てきました。

 

ストーリーは、

 

古代ギリシャ・テーバイの王オイディプスは、長男エテオークル、次男ポリニス、長女イスメーヌ、次女アンチゴーヌという4人の子を残して死んだ。エテオークルとポリニスは、交替でテーバイの王位に就くはずだったが、エテオークルはそれを拒否し、外国勢を見方につけたポリニスとの間で戦争となり、2人は刺し違えてこの世を去る。

 

その後、王位に就いたクレオン(エテオークルたちの叔父)は、亡くなった兄弟のうち、エテオークルを厚く弔い、国家への反逆者であるとして、ポリニスの遺体を野に曝して埋葬を禁じ、背く者があれば死刑にするよう命じた。

 

しかし、オイディプスの末娘アンチゴーヌは、宮殿を抜け出し、ポリニスの遺体に弔いの土をかけて、捕らえられてしまう。クレオンの前に引き出されるアンチゴーヌ。クレオンは一人息子エモンの婚約者で、姪である彼女の命を助ける為、土をかけた事実を揉み消す代わりにポリオニスを弔うことを止めさせようとする。だが、アンチゴーヌは自分を死刑にするようクレオンに迫る。懊悩の末、クレオンは国の秩序のために苦渋の決断を下す。

 

姉イスメーヌに今生の別れを告げたアンチゴーヌに、生き埋めの刑執行の刻が近づく。洞窟に入れられたアンチゴーヌ。そして入口をふさぐ最後の意思が置かれようとしたとき、墓の中からアンチゴーヌではない声が聞こえてくる。エモンがいつの間にか穴に入っていたのだ。アンチゴーヌと永遠の眠りに就くエモン。そしてエモンの死を知った王妃ユリディスも自害し、この世を去るのだった。

 

というお話です。

 

 

素晴らしい舞台でした。休みなく、一気に駆け抜けるような舞台は、本当に濃密で、その抗えない現実を、観る人々に突き付けるような、そんな舞台でした。

 

やっぱり、蒼井さん、上手いなぁ。生瀬さんと二人で退治するシーンが長いのですが、もう、お互いに引かないので、本当にバチバチッという音が聞こえてくるような、激しい戦いが素晴らしかったです。生瀬さんもスゲー!ってため息が出てしまうほどの演技でした。もー、上手い人の舞台って、こんなにも迫力があって面白いのかと、改めて感動いたしました。

 

アンチゴーヌは、ただ、兄の遺体を安らかに葬ってやりたいだけなのですが、王であるクレオンは、見せしめの為に彼女の兄・ポリニスの遺体を晒している訳ですから、葬ろうとするアンチゴーヌを許すわけにいかないんです。どちらの立場も間違っていないのですが、でも、譲る訳にもいかないんですよね。クレオンは国民に、王族でも王に対して謀反を起こせば許される事は無いという確固たる考えを表す為に、ポリニスを見せしめにしているんです。そうでなければ、国民も簡単に謀反を起こそうという考えを持ってしまう。

 

 

強い王を表す為には、大切な事なのですが、アンチゴーヌには、そんな事は関係ない。自分の家族である兄を弔いたいという、ただそれだけなんです。でも、家族なら当たり前ですよね。どんなに酷い兄でも、自分の家族なんですから。せめて、死んだ後は、静かに眠らせてやりたいと思うのが人情だと思います。だけど、大きな政治の中では、そんな一般的な人情を捨てなければならない。それがアンチゴーヌには出来なかったんです。

 

どちらも正しくて、どちらも間違っているという、立場によって、こんなにも考え方は変わってしまうのだと言う事を表していて、とても考えさせられました。でも、もう少し、何とかならなかったのかなと思ってしまう次第です。

 

今回、舞台がとても面白い形でした。大きな劇場の真ん中に十字型に置かれた舞台。その4方の開いた部分に客席がありました。本当に直ぐそこで演じて下さっていて、その息遣いが聞こえてくるほどでした。だから、観ているこちらも、息を突くのが苦しくなるほどでしたよ。

 

 

私は、この舞台、超!超!お薦めしたいと思います。これは、素晴らしい舞台だと思います。まだ、上演されているので、もし、チケットが手に入るようでしたら観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

アンチゴーヌ    http://www.parco-play.com/web/play/antigone/