「悪と仮面のルール」申し訳ないが酷評しか出てきません。酷いです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「悪と仮面のルール」を観てきました。

 

ストーリーは、

財閥・久喜家に生まれた文宏が10歳となった。文宏の実父は、文宏の出生の秘密を息子に告げる。それは文宏が純粋悪となることだけを望まれて生まれた存在で、さらに「悪」となるための教育として、14歳の誕生日に「お前に地獄を見せる」というものだった。その日までに1年を切ったある日、文宏は思いを寄せ合う久喜家の養女・香織が父の手によって汚されるという、地獄のごとき光景を目の当たりにしてしまう。香織を守るため文宏は父を殺害するが、その行為は、父が望んだ文宏が悪に近づくことでもあった。憎悪する父の面影を宿していくことを恐れた文宏は、香織の前から姿を消し、新谷弘一というまったくの別人として生まれ変わる。10数年後、新谷弘一として香織を陰から見守る生活を続けた文宏は、久喜家の本質とも言える「巨悪」に遭遇する。

というお話です。

 

 

久喜家は長く続く財閥一族。父親は警察や政府などにも顔が利くフィクサー的な人間らしい。文宏が10歳となった時、父親は彼に、「お前は”邪”とするべく産ませた子供だ」と告げる。久喜一族は、”邪”の血を受継ぐ一族であり、時々、”邪”として生きさせる人間を作るようだ。そして父親は、文宏が14歳になった時、”邪”として完璧にするために、「お前に地獄を見せる」と告げる。

 

文宏には、一緒に暮らす香織という少女がいた。彼女は、養護施設から養子として引き取られた少女で、文宏を教育する為の生贄となるために貰われてきたらしい。一緒に暮らすうちに、香織に惹かれ、香織も文宏に惹かれていく。そんな彼らを面白そうに見ている父親。ある日、文宏は、夜に香織が父親の部屋で服を脱がされているのを見てしまう。驚いた文宏は、自分が14歳になった時に絶望させられるというのは、香織に関しての事だと悟り、それまでに父親を殺さなければならないと考えだす。しかしそれは、父親の思う壺だった。

 

 

14歳を迎える前に父親を殺した文宏は、これで香織と一緒に生きていけると安心するのだが、香織は、父親に似て行く文宏に恐怖を感じてしまうようになり、このままでは香織が壊れてしまうと感じた文宏は、香織を久喜の家から離し、自分も久喜文宏から新谷弘一という人物に成り代わり、整形もして、全くの別人となって香織の前に現れる。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

この映画、酷かったです。よく公開しましたね。映画の途中で3人以上出て行ったし、終わって、席に座っていたら、前に座っていた男性が"クソだな。"と言っている声が聞こえました。


 

私も、納得がいかず、直ぐに原作を読みました。原作は面白いです。何でこんなに酷い事になったのか。原作では、人間の中にある悪というものが、一度でも解放されてしまったら、いつまでもそれに囚われてしまうと言うことを、「邪」というものを使って表しているのですが、この邪の意味が、映画では、全く伝わらないんです。

それと、主人公が邪に囚われる原因となる女性を囲んだエロが全く描かれていない。この作品、エロを抜いたら、人間、悪、欲、と言うものが伝わりません。脚本が悪いとしか言いようがありませんでした。


 

キャストは素晴らしい方々を集めているんですよ。玉木さんは美しいし、柄本さん、光石さん、中村達也さん、などなど、キャラクター的には最高なんです。ただ、一人、香織役は物足りなかったな。この役、清純そうに見えて、かなり魅力的でエロが溢れていないとダメなんです。彼女はエロさが足りないかな。それと香織というのは、弱い存在なんだけど、太陽の下に誇らしげに咲く花の様であって欲しかったのですが、どーも弱いだけに見えてしまい、ダメでしたね。

観ていて、はっきり言って、何をやっているのか全く解らず、伝わらないので、途中でみんな出て行ったんじゃないかな。だって、”邪”というのが、言葉で言うだけでは何も伝わらないですよね。文字で書くと、この”邪”だと分かるけど、言葉だけだと”蛇”かと思ってしまいます。

 

 

これ、原作を読まずに映画だけ観て、素晴らしいとか何とか批評をしている方は、映画を観ていないんじゃないかな。原作を読んで、映画を観ると(私は反対でしたが。)、映画で描き切れていないことがあまりにも多い事がたくさん分かるんです。確かに、原作通りに内容を進めているとは思いますよ。でもね、エロい部分を抜き、おどろおどろしい父親の長い解説を端折り、ただ原作通りの主人公の行動を描き、他者のセリフを入れているので、原作が本当に伝えたいことが全く描かれ切れていないんです。酷いでしょ。

 

内容としては、幼馴染の大好きな女性と結ばれたかったけど、結ばれると彼女が酷い目にあってしまうから、自分から遠ざけて、見守っていこうという映画です。もちろん、そこに行きつくまで、一族の問題とか、兄弟の問題とか、色々あるんですけど、原作だと細かく描かれているけど、映画だと、サラッと流されてしまうので、ここもダメだよねぇ。

 

 

映画でも原作でも、過去と現在を交互に描いていくのですが、過去の描き方も中途半端でした。父親を殺す描写も、本当は、凄い葛藤があって、何度もシュミレーションをして、証拠を消すようにして、考えて考えて行動に移しているのですが、簡単に殺してましたよね。それ、直ぐに見つかるからね。

 

なんだか、ゴメンナサイ。文句しか出ません。だって、酷かったんですもん。私だけがそう思っていると思ったら、劇場から何人も途中で出て行くし、終わって文句を言っている人も居たので、やっぱり私だけじゃなかったんだと思いました。邦画で有名俳優が出演していて、途中で出て行くって、初めて見ましたよ。単館系の映画だと、時々あるのですが、まず、一線で活躍している俳優が出ている邦画で途中で出て行く事って無いんです。初めて見て、驚きました。

 

 

という訳で、私は、この映画、お薦め出来ません。ハッキリ言って、面白く無いです。原作を読んで、全て解っていて、その上で、映像も観てみたいという事で、キャラクターを確認する為だけにみるなら良いと思いますが、まず、そんな人、いないでしょ。酷いと聞いて興味を持ったら、恐いもの見たさで行ってみてください。これだけ酷評しておけば、まだイイじゃんって思えるかもしれません。

最後に、何度も言いますが、原作は面白いです。中村文則さんの文章は読みやすいし、人間の奥底を覗くようなお話です。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

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