【演劇】「黒蜥蜴」究極の美を求めた黒蜥蜴は、美しい螺旋の海に沈んで行く。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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舞台「黒蜥蜴」を観てきました。

 

ストーリーは、

 

静かな夜。大阪中ノ島にあるKホテルのスイートルームで、緑川夫人と岩瀬早苗が談笑している。時間は午後8時をまわったあたり。早苗は世界的宝石商である岩瀬庄兵衛の愛娘。数日前から、誘拐を予告する脅迫状が届いていることに怯えた父・岩瀬は、日本一の名探偵・明智小五郎に警護を依頼し、大阪のKホテルに姿を隠していた。

 

緑川夫人は岩瀬の店の得意客で、Kホテルで偶然、隣室に泊まっていた。早苗は魅力的な緑川夫人にすっかり心を許しているが、実は彼女こそが誘拐を企む張本人、女賊・黒蜥蜴だった。黒蜥蜴は部下の雨宮潤一を使って早苗をまんまと誘拐したものの、明智が機敏な処置で奪い返した。

 

 

それから半月後、厳重な警備が敷かれた岩瀬邸から、早苗が忽然と姿を消した。明智が駆けつけたときはすでに遅く、黒蜥蜴が家政婦ひなの手引きで、再び早苗を誘拐したのだった。

 

しばらくすると黒蜥蜴から岩瀬宛に再び脅迫状が届く。そこには、早苗を返してほしければ岩瀬家の秘宝「エヂプトの星」を持参せよ、と書かれていた。指示された東京タワーの展望室で岩瀬と黒蜥蜴は落合、指示通り、岩瀬は「エヂプトの星」を黒蜥蜴に渡した。しかし早苗は戻らなかった。早苗の美しさに魅せられた黒蜥蜴は、次の行動に移っていた。

 

一方、そんな黒蜥蜴にひそかに恋焦がれている雨宮は、黒蜥蜴が明智に恋していることに気づき、嫉妬を感じていた。明智もまた、純粋な美に生きる黒蜥蜴に恋をしていた。世間の秩序の彼方に己の倫理と美意識を築きあげている彼女を、一番深く理解し愛しているが故に葛藤する明智。二人の好敵手の行く末は、美しく、儚く、そして・・・。

 

というお話です。

 

 

もう、何と言っても、中谷さんの演じる黒蜥蜴が美しかった・・・。ため息が出るほど美しかった。もう、だって、オーラが光っているんですもん。もちろん、それに対する明智=井上さんも美しかった。ちょっと、スケール感が違うけど、美しかった。このスケール感というのは、中谷さんが、全体的に小さくてバランスがあまりにも良いので、一般的な大きさの井上さんと対峙すると、大きさの違いがこんなにあるんだと気づかされました。闘っている場面だと、対当か、黒蜥蜴の方が上を行っているのに、ラストの方で、明智と抱き合うシーンでは、まるで明智に抱きしめられる美しい薔薇のように見えて、素晴らしかったです。中谷さん、迫力とオーラが凄いので、ずっと明智を黒い影で覆っていたのに、最後に彼に包まれて小さくなって行く感じが、何とも感動したなぁ。

 

黒蜥蜴の原作は江戸川乱歩なのですが、この舞台の脚本って、三島由紀夫だったんですね。三島フリークの私なのに、知りませんでした。だから”美輪明宏”さんが演じていらしたんですね。美輪さんの黒蜥蜴も見たかったなぁ。

 

 

舞台の演出も、とても美しいと思いました。ゴテゴテしている訳では無いのに、ドアと少ない装飾だけでホテルのスイートルームと判るように作られていたし、ドアの動きで、隣の部屋になったりと、その展開が上手いなぁと思いました。

 

舞台の右端に螺旋階段がポンッと置かれていて、それが舞台をどうしている訳では無いのですが、そこに、小さな黒っぽい役者が二人、張り付いているんです。それは、よく南国などで壁を蜥蜴がチョロチョロと伝って歩いている感じで、物語が展開している周りで、黒蜥蜴の影が覆っているぞっていうストレスを与えているんですよ。そういうちょっとした演出が、とても上手いんです。そういう部分があると、黒蜥蜴の方が、明智探偵を翻弄しているぞという感じに見えて、それが、江戸川乱歩の最後の最後で変わって行くという展開を表現するのに、とても効果的なんです。本当に上手いなぁと思いました。

 

 

私は、この舞台、超!超!超!お薦めしたいと思います。これは本当に美しいです。誰もが知っている江戸川乱歩の「黒蜥蜴」を、こんなにも美しく、こんなにも妖艶に描いていて、素晴らしいと思いました。もし、お時間がありましたら、ぜひ、観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

黒蜥蜴    http://www.umegei.com/kurotokage/