舞台「流山ブルーバード」を観てきました。
ストーリーは、
都心からほど近く、都会でも田舎でもない千葉県流山市のとある住宅街。
高橋満は、実家の魚屋で兄・国男と共に働いている。土木関係の会社で働く友人・安達健と今だに地元で飲んだりしているにも関わらず、健の妻・美咲と度々ラブホテルで常時を重ねたりもしている、怠惰で緩い満の日常。
ある日、満と健の友人で役者を目指して上京したはずの古川浩一が久しぶりに流山に帰郷し、満の家に泊まることになった。ちょうどそこに隣家の黒岩順子が訪ねてくるが、彼女の目的は魚屋へのクレームなので気まずい空気だけが生まれる。
その夜、満と健と浩一は馴染みのスナックで互いの近況報告をしながら、何度も乾杯を繰り返していた。スナックのママ・田畑典子は調子よく3人の話を盛り上げるが、店に居合わせたママの夫・幹夫は酔いに身を任せ、近所で起きている通り魔事件のことで不穏な言葉を口にする。
一方、近郊の雑木林には、ぼんやりと佇む伊藤和彦の姿があった。まだ知り合ったばかりだという野宮直樹と、噛み合っているようで噛み合っていない、不毛な会話を交わす2人。
ギリギリのところで保たれていたように見える、脆くも不安定な日常。それぞれの幸せ、それぞれの行方は・・・。
というお話です。
このお話、何だか、すっごく良かったんですけど。お兄ちゃんの最後の言葉にハッとさせられ、涙が出そうになっちゃいました。
お兄ちゃんの国男は、ずーっと魚屋で、結婚もせず、同じ生活を続けてきた人だと思うんです。周りの人達は、何が面白くて生きているんだろうって心配するんだけど、彼は、ちゃんと自分が今いる場所を理解して、そこで精一杯出来ることをしているんです。もちろん、不満もあるだろうし、嫌な事もあるけど、でも、人に迷惑をかけず、自分の道を歩いている。
反対に、弟の満は、不満を一杯に抱えていて、こんな生活から抜け出したいとずっと思っているんです。で、親友の奥さんと不倫をしたりして、口では、イイ事を言うんです。好きだとか、一緒に居たいとか、挙句の果てに、一緒にどこか逃げて暮らそうなんて言っちゃうんです。でも、口だけ。本心じゃないんです。良くいる”チャラ男”ってヤツですよ。
そんな兄弟が住む家に、東京でバイトをしながら役者を目指している古川がやってきて、泊めて貰うんです。これも酷くて、満が、実家に帰りたくないという古川に俺の家に泊まれば良いと言って呼び寄せたのに、満は全く忘れているんですよ。古川も唖然としてたけど、まぁ、泊まることになって、そんな古川が、兄弟と、満の親友の健を、ちょっと離れた位置から冷静に観ているんです。それが良かったんですよねぇ。
健は、土木関係の会社に勤めていて、若い頃に奥さんと結婚したんです。既に結婚5年で、奥さんは、ちょっと倦怠期っぽいのかな。退屈になったらしく、満と不倫をしているんです。満は自分の親友の奥さんなのに、平気で不倫をしているって、ちょっと壊れているでしょ。本当の友達だったら、そんな事しないよねぇ。最低でした。
何かね、出てくる主婦が、退屈だから不倫をしたり、風俗で働いたりしているって事をいうところがあるのですが、周りを見回せば、いくらでもやる事はあるし、面白いことはあると思うんだけど、自分というものを認識出来ていないんだろうと思うんです。
満の事も、主婦の事も、全部、お兄ちゃんの一言「お前は上ばかり見ていて、足元を全く見ていない。」という一言に尽きるんですよ。全てが、この言葉に込められていると思いました。たまには上も見た方が良いけど、自分の足元が見れない奴は、上に登る事は出来ません。だって、足場が無かったら登れないでしょ。地盤を固めて、しっかりした上に、登って行けるハシゴは掛けられるんです。足元を見ましょうね。
そんな事を訴えている演劇でした。この演劇、私は、超!超!超!お薦めしたいと思います。これは面白かったなぁ。もちろん、役者の方々も良かったんです。この役者が揃ったからこそ、この脚本が生きたのだと思います。本当に感動でした。猿時さんが、今回は”お尻”を出してくれなかったのは、ちょっと寂しかったけどね。(笑)ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
P.S : 流山って千葉なんですね。ブルーバードは、”青い鳥”の事です。青い鳥、この舞台を観ると、きっと見つかりますよ。
「流山ブルーバード」 http://mo-plays.com/bluebird/
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