舞台「散歩する侵略者」を観てきました。
ストーリーは、
日本かいに面した小さな港町・金輪町。
加瀬真治は、三日間の行方不明の後、別人格となって発見された。医師の診断は脳の障害だというが、どんなに調べても、脳にその症状は出ていない。不仲で別居状態だった夫の変化に戸惑う妻の鳴海を置いて、真治は毎日散歩に出かける。
同じ時期、田舎町に似合わない凄惨な事件が起きる。老婆が家族を惨殺し自殺をするという事件で、一人生き残った孫娘も神経衰弱状態だという。その現場は酷く、老婆は自分で内臓を取り出したらしい痕跡が見られ、警官たちもゾッとする状態だっあt。
その後、町に奇病が流行り出す。ある特定の概念を失い、それについて理解出来なくなるというもので、それは真治の症状とも似ていた。医師の車田は頭を悩ませるが、その原因は分からない。
隣国との軍事的な緊張が高まる中、その時代の空気と相まって、町は不穏な空気をかもし出していた。この町は同盟国の大規模な基地がある、戦略的に重要な土地だ。政治的な関心からこの町を取材していた桜井は、天野という少年に出会う。桜井は、自分を”宇宙人”と呼び、誰も信じないような事を話し出す。そして・・・。
後は舞台を観て下さいね。
先に映画を観てから、この舞台を観たのですが、申し訳ない、完璧に舞台の方が良いと思いました。やっぱり、これ、元々が舞台の作品なので、こちらの方が良いのは当たり前なのですが。
夫が宇宙人に支配された夫婦の話と、一家惨殺事件が起こった家の長女とその友人の話と、2ルートあるんです。この2つの話の持って行き方と、これがひとつにまとまる部分が、舞台の方が違和感が無いんです。舞台だと、最初に夫を保護してくれたのがフリーライターで、そのライターの友人が警察関係者であり、その上、憑依された夫の義理の兄にあたる人なので、ライターと夫の繋がりが完璧に出来ているんです。そして、宇宙人高校生の二人と出会うから、この宇宙人3人が出会うことになるんですよ。映画だと、ライターと宇宙人夫との関係は無いですよね。だから、本当に偶然に宇宙人3人が出会うまで待たなければならない。それって無理があるでしょ。
映画だと警察?厚生省?の秘密部隊が宇宙人を殺しに来るんですが、どうして解ったの?どこから来たの?って感じになるんですが、舞台では、それは無くて、宇宙人が母船を呼んで、地球を滅ぼすのも、それほど重要そうじゃなくて、自分たちの中に宇宙人が混ざって来たらどうなってしまうのか、概念を取られてしまうとどうなるのか、愛を知るとどうなるのかって事が描かれている方が重要なんです。だから、訴える事が分かり易いんですよ。無駄な戦闘とか、この内容には必要ないんですよね。
概念を取られると、それを考える事が出来なくなるんですが、”妹”という概念を取られた姉は、お姉ちゃんと呼ばれても、君の妹がと言われても、全く、それが認識出来ないんです。言葉は聞こえていても、その”妹”というものが理解出来ずに苦しむんです。でもね、認知症って、これと同じになる訳でしょ。宇宙人に取られなくても、いつか、加齢が私から概念を取り去るのかと思うと、遅かれ早かれ、一緒じゃんって思いました。分からなければ分からないで、それで流して行けばよい。他の事で代替えして、認識して行こうよ。妹が分からなければ、友人で良いんじゃないの?とっても深い友人として付き合って行けば良い事です。苦しまなくて良い。人間は、そうやって生きて行ける強い種族だと思いました。宇宙人になんて負けないもん!
やっぱり、イキウメ(劇団名)の舞台は、本当に面白い。前川さんのお話は面白いです。出来れば、小冊子で良いので、パンフを作って欲しいな。映画のプレスくらいで良いので、売って欲しいです。
私は、この舞台、超!超!お薦めしたいと思います。東京公演は終わっちゃったかも知れないけど、大阪と北九州であるので、もし、お時間があったら、ぜひぜひ、観てみて下さい。イキウメは必ず当日券を出すと思います。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「散歩する侵略者」(イキウメ)
https://setagaya-pt.jp/performances/201710sanposuru.html
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