舞台「きらめく星座」を観てきました。
ストーリーは、
昭和15年の秋。まもなく整理の対象になっている浅草にある小さなレコード店・オデオン堂。
そこに暮らすのは店主の小笠原信吉と後妻のふじ、長女のみさを、
そして広告文案家の竹田と夜学に通う学生の森本も同居している。
太平洋戦争前夜の軍国主義一色の時代に、無類の音楽好きが集まったオデオン堂。
ある日、長男の正一が脱走兵として「非国民の家」となるも、
みさをが「軍国乙女」となってから一転「美談の家」となる。
戦地で右腕を失ってもなお、骨の髄まで軍国主義の塊である婿・源次郎。
そして逃げ回る正一を追いかける憲兵伍長の権藤を巻き込んでの大騒ぎとなるが...。
というお話です。
こまつ座の120回記念公演で、文化庁芸術祭参加公演でした。井上ひさしさん作の「きらめく星座」なのですが、この作品、とても愛されているようで、3年前にも上演し、今回、同じ顔触れの俳優さんを集めて、再演だったようです。
戦争中のお話だけど、そこに爆撃や銃の音や、飛行機の音はほとんど聞こえず、兵隊は居ても、そこで戦闘が起こる事はありません。なので、兵隊が居ない時は、本当に普通の家庭なんです。アメリカのものはダメと言われながらも、ジャズが時々聞こえたり、古い歌謡曲が流れるレコード店を舞台に、戦争から逃げ出した長男と、その長男の罪を隠すべく、年の離れた負傷兵と結婚して「軍国乙女」として有名になる妹を中心に、家族が団結して、どんどん厳しくなって行く戦争の中を生きて行くというお話なんです。
この時代、全てにおいて、色々な規制が生まれてしまい、息苦しかったんでしょうね。好きな音楽が聞けないなんて、その方が戦意喪失すると思うんだけど、そういう考えには至らなかったんだろうなぁ。悲しい現実ですね。
私、この舞台で、初めて「軍国乙女」という言葉を知りました。国の為に戦って負傷した兵隊さんに、誰でも構わずに励ます手紙を送ると、こう呼ばれるって事らしい。普通の考えで行くと、全く面識も無い人に励ましの手紙を送るって、何かおかしい気持ちがするけど、そういう時代だったんだろうなぁ。でね、その何百通も出した手紙の返信の中から、良さそうな人を見繕って、会っても居ないのに結婚するんですよ。あり得ないでしょ。せめて、何人か会ってみて、付き合ってみて、相性の良い人と結婚するなら解るけど、いやぁ、驚きました。でも、それで、結構幸せそうに暮らしている所が、驚いちゃうよね。
やっぱり、戦争時代の常識は、私には驚くことばかりでしたが、それが当たり前と教えられていたら、私だって、こうなっていたのかも知れません。
ささやかな幸せを大切に生きていた、浅草のオデオン堂レコード店の人々も、戦火が酷くなり、店も閉めて、それぞれに新しい幸せを求めて旅立って行くのですが、未来を知っている私たちは、彼らが向かう場所が、今後、悲劇に見舞われる事を知っているので、何とも言えない哀しい気持ちになるんです。只、普通に生きている、普通の人々が、戦争の為に、どんな犠牲を払わなければならなくなるのか、それが、この舞台には詰まっていました。辛いお話です。でもね、この舞台を観ると、本当に戦争はダメだと心に刻まれるんです。本当にダメだよ。
こまつ座なので、皆さん、ベテランで素晴らしく上手いのですが、秋山菜津子さんが、本当に美しくて、楽しくて、歌が上手くて、魅力的でした。そして、田代さんが長男役で出ているのですが、義理の弟役(年齢は凄く上です。)の山西さんと顔を近づけて見つめ合う場面があり、ちょっと申し訳ないけど、あまりの頭の大きさの違いに笑ってしまいました。田代さん、頭小さいっ!山西さん、大きいっ!頭の大きさって、本当に違うんだって思っちゃいました。なんつーか、バスケットボールと野球ボールくらい違ったかも。(笑)ゴメンナサイ、別に意地悪を言っている訳では無いんです。思った事を素直に言っちゃったんです。失礼な事を書いてゴメンナサイっ!
私は、この舞台、超!お薦めしたいと思います。やっぱり、舞台を沢山観て、極めて行くと、こまつ座の舞台は観るべきものだと思います。上手いもん。時代を知らなくとも、人や音楽を知らなくても、心に突き刺さってくる、訴える言葉が聞こえてくるんです。ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「きらめく星座」
http://www.komatsuza.co.jp/program/index.html#286
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