舞台「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」を観てきました。
ストーリーは、
表か裏か。コインゲームの賭けをしながら二人の男がぶらぶらと旅をしている。彼らの名前は、ローゼンクランツとギルデンスターン。デンマーク国王クローディアスから直々に火急の要件で呼び出されたのだ。そのわりにまったく急ぐ様子のない二人は、途中で出会った旅役者一座を相手に、なおコインゲームに興じている。
宮廷エルシノア城に着いてみると、国王から下された命令は王子ハムレットの様子を探ることだった。二人はハムレットの学友であり、最近すっかり正気を失ったように見える王子の真意がどこにあるのかを探り出してほしいという重要な任務だ。
役割の重さに腰が引けている彼らは、何をどうすればよいのかわからない。どこから来てどこへ行くのかも、もはやわからなくなっている。
肝心のハムレットには会うことが出来たものの、二人は手をこまねいているだけで事態はまったく進展しない。
やがて国王からの手紙をイングランド王に届けることになった彼らは、船に乗って旅立つが、いつの間にか手紙はハムレットによってすり替えられていた。
「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」という報告だけで片付けられてしまう彼らの運命は、突如として目の前に迫っている。
というお話です。
このお話、辛辣だなぁと思いました。皆さん、ハムレットのお話は、大体、お分かりになると思いますが、ハムレットは、王である自分の父親を叔父に殺され、その叔父が自分の母親と結婚して、次の王に就いてしまいます。ある夜、父親の亡霊がハムレットの前に現れて、自分は殺されて妻も取られたと言う事を話し、復讐をしろとハムレットに命じるんです。叔父の方も、殺したことに気が付いているのではないかと警戒しており、ハムレットを探っています。ハムレットは、復讐を遂げるのに、まず相手を油断させようと狂ったような真似をして、叔父に近づくチャンスを作ります。狂った様子のハムレットに、この舞台の主人公である「ローゼンクランツとギルデンスターン」を近づけ、見張って、逐一報告をするように申し伝えるんです。
ローゼンクランツとギルデンスターンは、面倒な仕事だなぁと思いながらも、王の言いつけだから仕方ないと引き受けはするのですが、全くヤル気がありません。彼らは、元々、ハムレットの学友なのに、王に見張れって言われているんだと言う事を言いません。友達なのにね。もし、彼らが、ハムレットに、王から見張れと言われている事や、何かあるのなら協力するからと話していれば、こんな無様な結末にならなかったハズなんです。
何の考えも無く、何の意志も無く、只、言われたままをやる彼らって、ちょっとサラリーマン的ですよね。上司からの命令だから、友達を裏切る事だって、平気で出来てしまう。友達に忠告してあげる事だって出来るのに、それをしない。それって、ロボットと同じような気がして、残念に思いました。
これ、本当に良い脚本ですね。主人公ではなく、周りにいた人間にスポットを当てて、人間のバカさ加減を描いている。最後に来て、何を考えても後の祭りで、やっぱり、その事件が起こっている時に、一緒に考えて、対処出来る人間でないと、只の雑魚、無駄死にする人間になってしまうんです。もし、ハムレットの味方になってくれていたら、オフィーリアが死ぬことも無く、レアティーズとハムレットが刺し違える事も無かったかもしれない。そう思うと、本当に残念な奴らです。
そんな二人を、生田さんと菅田さんが演じていました。生田さんは何度も舞台に立たれているので、上手いとは思っていましたが、菅田さんの舞台、初めて観たのですが、上手いですね。蜷川さんの「ロミオとジュリエット」を演じていたと聞き、あー、じゃぁ、叩きこまれたんだろうなぁと感動しました。映画やTVでも上手いけど、舞台でも上手いですね。驚きました。
ハムレットを林遣都さんが演じていて、ハムレットも主演で演れば良いのになぁと思いました。顔が綺麗だから似合いますよね。藤原さんとは違うハムレットが観れそうで、何となく、期待してしまいました。
私は、この舞台、超!超!お薦めしたいのですが、あまりの人気で、立見席も一杯なようなので、チケットは手に入らないかなぁ。良かったですよ。ただ一つ、普段、演劇を観ているような方ではないタイプの女性も多く、ちょっと慣れていないのかなぁと思い、迷惑な事もありました。ま、でも、良い舞台なので、チャンスがあったら、ぜひ観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ
http://www.siscompany.com/rosen/gai.htm
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