第30回東京国際映画祭の27作目、「メイド・イン・ホンコン(デジタル・リマスター版」を観てきました。これ、古い映画で、あらすじを読んだら、全てのお話が書いてあって、ネタバレです。ネタバレでも良い方のみ、読んでくださいね。
ストーリーは、
1997年、香港。下町の低所得者用公団に住む少年(サム・リー)は、父親が家出後、母親(ドリス・チョウ)とふたり暮らし。中学卒業後は知的障害のロン(ウェンバース・リー)を弟分に、借金の取り立ての手伝いをして生活していた。ある日、取り立て先で彼はすらりとした足の少女ペン(ネイキー・イム)と出会う。朝。ロンは飛び降り自殺した女子高生を目撃し、血に染まった2通の遺書を拾う。直後、白い制服の高校生にたたきのめされたロンは入院し、病院に迎えに行ったチャウは看護婦からロンが持っていた遺書2通を渡される。持ち帰ったその日から、毎晩死んだ少女サンの夢を見ては夢精してしまうチャウ。そんなある日、ペンが突然チャウをたずねてくる。ペンはチャウに憧れてしまったのだ。
ふたりはロンを連れてサンの遺書を宛先の相手に渡しに行く。ひとり目の女子校の体育教師はそれを見ずに破り捨てた。もう1通は両親に宛てたものだったが、家人に見つかって3人は逃げた。すると、ペンが胸を押さえて倒れる。彼女は重い腎臓病に冒されていたのだ。チャウは友人のクンが民生委員の美人のリーさんのすすめで臓器提供者になってパンフレットをくれたことを思い出して、申込書を取り出す。ペンを愛しはじめたチャウは、彼女に腎臓をあげようと思った。そんなペンの家にタチの悪い借金取りのデブのチャンが現われ、彼女の母親に借金のカタに娘をよこせと迫る。チャウはデブを追い払い、ペンを助けたい一心で自分の母親の貯金の5千ドルを盗んでしまった。
母親は家を出て帰らなかった。ペンは入院した。チャウはロンと彼女を高台の墓地に連れ出し、3人はサンの墓を探した。ペンは「私が死ぬとき抱いてね」とチャウにささやき、ふたりは初めてキスする。ペンの父親の借金と彼女の手術費用を稼ぐため、チャウはかねてボスのウィンに命じられていた大陸から来た商売敵の殺しの仕事を引き受けた。だが、殺しは失敗。失意のチャウをスケボーに乗った少年が襲い、ドライヴァーで腹を何度も刺す。デブのチャンの差し金だった。瀕死のチャウの腎臓を娘に下さいとペンの母親は懇願するが、チャウは奇跡的に持ち直した。
数カ月後。退院したチャウはペンとロンが死んだことを知る。ロンはウィンに麻薬運びをさせられ、無残に殺されたのだ。復讐を誓ったチャウは再び銃を手にして、ウィンと自分を殺そうとしたチャンを撃った。数日後。サンの遺書が両親に届く。遺書にはペンとチャウのそれぞれの最後の言葉も書き添えられていた。
というお話です。
これ、1997年の作品で、あらすじにネタバレも全て書いてありますね。今、観終わって、これ、全部だったんだと初めて知りました。(笑)
良い映画でしたよ。
香港のギャング事情というのか、ゴッついヤクザ的な人達が仕切っていると言うのとは違い、チンピラがお金を稼ぐために薬を売っていて、学生も使ってやっていると言う感じでした。でも、制服着た高校生が、包丁で人の手首を落としたり、殺人をしたりと、凄いハードな出来事があり、ちょっと驚いたかな。
返還前の香港って、こんな雰囲気で、こんな感じだったんですね。これを観ると、随分と自由で、言いたいことが言えて、荒れていると言えば荒れているけど、でも、生も死も自分で選べて、良い時代だったんだなと思いました。だって、チャウの父親は愛人と新しい生活を始めて、母親はチャウを捨てて、自分一人の人生を探しに出て行ってしまったし、家族で縛り付けるような共産主義っぽい事が無かったって言う事でしょ。中国の統治下になっちゃったら、全部、統制統制だろうから、こんな自由は無くなったんでしょうね。
主演のサム・リーさん、若い頃って、若い頃の永瀬正敏さんと森山未來さんと柄本佑さんを足して割ったような感じだったんですね。カッコ良かったなぁ。私、「ピンポン」のサム・リーさんは知っていたけど、こんな若くて、カッコ良かったって、知りませんでした。うーん、タイプです。この役、チャラそうに見えるけど、結構、頑張る青年なんですよ。弱い子を助けてあげるしね。
ペンとの恋は、この結末で、きっと正解だったんでしょう。自由な時を生きて、苦しい思いをせずに、次の世界で一緒にいられるんだから、良かったんですよ。それにしても、ペンの母親、酷かったな。まぁ、母親なら仕方ないかも知れないけど、まだ、生きているのに、死んだら腎臓を取る手続きをしろって、酷くないですか。いくら何でも、まだ死んでないんだぞって言いたくなっちゃった。
そうそう、この時代、ポケベルだったんですね。なんか、懐かしくなっちゃいました。番号を組み合わせて会話をしていたことを思い出します。その後、直ぐにPHSが発売されて、携帯になり、スマホになった。時代を感じます。
私、あまり古い映画は観ないのですが、この映画は観てみて良かったと思いました。昔の雰囲気はあるのですが、内容がとっても良かったです。香港は、今は中国になってしまったけど、イギリス統治下のこんな良い時代もあったのだと言う事を知りました。良かったです。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。デジタル・リマスター版がでて、美しい映像が蘇ったそうです。昔の映像を知らないから、どんなふうに綺麗になったのかは分かりませんが、とても美しかったし、楽しめました。ぜひ観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「メイド・イン・ホンコン」(デジタル・リマスター版)
http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=149
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