第30回東京国際映画祭の17作目、「シップ・イン・ア・ルーム」を観てきました。
ストーリーは、
カメラマンの男。偶然知り合った女と、その弟の3人で奇妙な共同生活が始まる。心を病んだ弟は部屋から外に出られず、男はある手段を思いつく…。
というお話です。
紛争地で写真を撮っていたカメラマンのフェリペは、精神的に疲れてしまい、意欲を無くしていました。スーパーのオープン記念の写真などの仕事をなんとなく続けていたある日、スーパーで倒れ、財布をスられた女性に出会います。
フェリペは、パウラが掏られた財布が中身を抜かれて捨ててあるのを見つけ、パウラに届けたのですが、何故か、とても邪険にされ、その上、1週間以内にこのアパートを出なければならなくなったので、良い不動産があったら紹介して欲しいと頼まれます。そして、パウラには部屋から出られない心を病んだ弟・イヴァンがいる事も知ります。
期限が来ても住むところが見つからなかったパウラ姉弟を、フェリペは家に呼び、住まわせます。部屋から出られないイヴァンに睡眠薬を飲ませ、段ボールに入れて運び入れました。イヴァンは、1年前に暴漢に襲われて以来、外が怖くなってしまったんです。
原因を知ったフェリペは、何か出来ないかと思い、イヴァンに外の写真を見せ始め・・・。後は、映画を観て下さいね。
うん、とっても優しい映画なんですけど、最初、スーパーの様子が写って、そこに殺到する人々が、あまりにも恐ろしくて、ブルガリアって、こんなに恐い国なのかしらと、ちょっと思いました。まぁ、きっと、スーパーのオープン記念で激安だったからなのかもしれませんが、バナナを先に取ったとかで取り合う姿に、ちょっと引きました。
フェリペは、あまり話さないし、暗くて怖そうに見えるので、家に住まわせてあげたり、イヴァンを癒してあげようとしたりするのが、ギャップに見えて、凄く優しい男なんだって思えてくるんです。これこそ、ギャップ萌えってやつですかね。嫌に、イイ奴に見えるんですよ。それに対して、パウラは、見た目は美しいのに、性格がキツくて、なんか怖いの。でも、段々とイヴァンと一緒に、フェリペに懐いて行くんです。
派手な映画では無いのですが、急がず、一歩づつ、傷ついた心を癒して行こうという姿が描かれていて、とても暖かい気持ちになる作品です。セリフが少なく、イマイチ、その思いが伝わりにくい部分もありますが、良い作品でした。
私は、この作品、お薦めしても良いかなと思います。実は、私は、あまり、超感動とはならなかったのですが、ジーンと思いが伝わってくるのは解りました。ちょっと難しい映画ですが、単館系が得意な方には伝わると思います。観る機会があったら、ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「シップ・イン・ア・ルーム」
http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=23