第30回東京国際映画祭の15作目、「ザ・ホーム-父が死んだ」を観てきました。
ストーリーは、
父逝去の報せを受け、娘が嘆きながら数年ぶりの実家に向かう。父を介護していた従弟と口論し、そして近親者が続々と集うなか、遺体の扱いを巡って事態は迷走していく…。
というお話です。
父親が亡くなったとの知らせを受け、娘が何年かぶりで家に帰ってくる。遺体を引き取ろうとすると、遺言で献体が決まっていると言われ、娘は半狂乱になって叫び始める。父親の身体を切り刻むなんて許さないから家に連れて帰ると言う。
あまりの騒ぎっぷりに、仕方なく、大学病院に運ぶのを止めて、自宅に運び込む。そして遺言書道理に献体をするべきだと、周りの人間は娘を説得し始める。そして、大学側の法律担当も、書面で法律的に決まった事だから、今更、曲げることは出来ないと言って来る。それでも、折れない娘を、どうしたら納得させられるのか、親族は考え込む。
しかし、娘は父親に嫌われていて、まして何年も会っていなかったのに、何故、これ程に父親を放そうとしないのか。そこへ、娘の夫が現れて、夫婦二人だけで話し始める。そして・・・。後は、映画を観て下さいね。
このお話、凄くブラックなんですよ。言えないけど、ドス黒いとはこの事だと言いたくなるほどです。
まず、最初に、娘が大騒ぎで泣き叫ぶところから始まるのですが、私、父親とかの死に際して、泣き叫ぶような女って、絶対に信用出来ないと常々、思っているんです。本当に悲しい時って、声も詰まって、泣けないと思うんですよ。泣き叫んでいるって言うのは、人に見せる為のパフォーマンスだと思っているので、いきなり、こいつ、胡散臭いなって思ってしまいました。昔から泣き叫ぶのは泣き女という職業ですよね。
なのですが、あまりにも騒いで、父親が死ぬなら私が死んだ方が良かったと言いながら、側を離れようとしないし、何か言われれば、直ぐに言い返すなど、とにかく、凄い抵抗をするんです。別に、相続を独り占めしようということなら、別に、そんなに死体にこだわらなくても良いはずだし、死体に執着する意味が無いと解かり、もしかして、本当に悲しんでいるのかな?なんて、観ているこちらも思い始めます。
でもね、どう考えても、父親が娘を嫌っていた事実もあり、娘は7年以上だか、実家に顔を見せていなくて、父親の面倒はすべて従弟のマジドが見ていたんです。その上、周りの噂話を聞いていると、娘は、父の許さない相手と結婚して、顔の整形も繰り返し、酷い娘だった事が判るんです。噂だから、全ては本当では無いかも知れないけど、でも、全てが嘘ではないですよね。
まぁ、とにかく、酷い娘なのだと思うのですが、父親を献体したくないという理由が分からない。でも、様々な説得を試みて、献体に同意する事になるんですけれど、なんで、同意したかっていうのも、夫が来て、ある密談をして、それで明らかになります。周りの人達が知らない、本当にドス黒い顔が最後に見えてきて、ゾッとしたのは、私だけじゃないだろうと思います。
いやぁ、怖いよぉ~。泣き叫ぶ女は、絶対にドス黒い何かを含んでいますので、気を付けて下さいね。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。ハッキリ言って、ギャーギャー泣き叫ぶ女は、とってもウザくて、てめぇ、いい加減にしろっ!て言いたくなるけど、でも、最後のドス黒い言葉にビッと来て、ゾッとする、そんな感じでした。そんなに大きく動く内容では無いし、家の中だけで流れて行くお話なので、これ、舞台とかでも面白いんじゃないかなと思いました。日本公開は解りませんが、もし、機会があったら、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんでくださいね。
「ザ・ホーム-父が死んだ」
http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=13
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