【TIFF2017】「泉の少女ナーメ」(コンペティション部門)癒しの泉があったら行ってみたい。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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第30回東京国際映画祭の10作目、「泉の少女ナーメ」を観てきました。

 

ストーリーは、

ジョージアの山岳地帯にて、村に伝わる癒しの泉を守る一家。息子たちは独立し、父は娘のナーメに後を託すが、ある日泉の異変に気付く。ファンタジーと現実社会が溶け合い、幽玄で繊細な映像美が心を揺さぶる現代の寓話。

というお話です。

 

 

ジョージアの山岳地帯にある村に住む家族。4人兄妹たちですが、息子たちは、それぞれイスラム教になったり、キリスト教になったり、現代に即した生活に染まって行きます。ただ一人、娘のナーメは、母親の跡を継ぎ、巫女的な役目を相続し、森にある泉で、人々を癒し続けるように父親に教えられます。

 

ナーメは、メラブという男性と出会い、お互いに惹かれ合い、共感していきます。そんな時に、村に水力発電所が建てられる事になり、静かで神秘的だった世界は、段々と現実味を帯びて来てしまいます。

 

 

ある日、泉が濁りはじめ、その美しさに変化が現れます。水力発電所の建設が原因なのか、それとも他の要因があるのか、解りませんが、今の時代に、泉で身体が癒されるなど幻想なのかもしれません。そして、湧き水までもが消え始めて・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

この映画、映像にこだわっていて、本当に美しい自然が映像に収められていて、観ているだけでも気持ち良くなる映画でした。内容は、古い言い伝えなど、古来からの良い教えを受継ぎ、自然に沿った生き方をしていた人々の村に、現代の波が押し寄せてきて、時代に抗えない人々は、ただ、消え去って行くしかないのだろうかという問いかけの内容でした。

 

 

私も、仕事がら、どんな場所にも近代化、現実的なものを推し進めていく立場なのですが、私個人としては、出来れば、自然を残して、空気の良い場所で生活をしたいと思いますよ。妖怪でも出てきそうな場所の方が楽しいですもん。でもね、誰もが便利で安全な社会を望むんです。ああして欲しい、こうして欲しいと言われてしまえば、動かざるを得ません。電気が必要なら発電所、道路が必要なら道路工事、森を切り開き、泉を埋めて行くしかない。テレビが見れるのだって、水洗トイレが使えるのだって、全て、上下水道が通り、電線が張られなければ出来ないんですから。

 

 

そんな社会に抗うのがナーメたちなのだと思います。私だって、出来ればナーメたちを応援したいですよ。そりゃ、美しい泉に浸かっていたら痛みが取れるとか、汚染が一切無いのなら、その水が飲めるとかね。その方がよっぽど、人間にとって、幸せなのだと思います。でもね、人間って、一人で生きている訳じゃないから、私は良いと思っても、嫌な人も居るんです。今時、トイレだって、和式はイヤで洋式しか入らない人っているでしょ。自然の中で生きていた時は、その辺の草むらで座ってたんですから。足腰が悪くてしゃがめなくなったのは現代病の一つなのかも知れません。

 

 

そんな時代に生きている私たちに、本当にそれで良いの?って問い掛けてくれているような映画でした。私、今のままでは、きっと、人間が酷い状態になって行くだろうなぁと思っているのですが、あまり社会的には認識されていないのかな。寿命は延びても、介護が必要な人は今よりも増えるかも知れません。人間が弱くなっているのでね。自然に見放された私たちは、自分たちで何とかするしかないんです。考えなくっちゃね。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。静かで、ちょっと解り難いけど、ちょっと解り始めると、スーっと入ってくる映画です。単館系が得意な人の方が良いと思います。ぜひ、観てみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「泉の少女ナーメ」http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=21