第30回東京国際映画祭の9作目、「スヴェタ」を観てきました。
ストーリーは、
ろうあ者が勤務する工場で働くスヴェタは、突然リストラの対象とされてしまう。家のローンに苦しむ彼女は神をも恐れぬ行動に出る…。
というお話です。
スヴェタは、ろうあ者であり、夫と2人の子供を持つ主婦であり、縫製工場で働いている。家族も耳が聞こえず、会話は手話。縫製工場も、ろうあ者が働く工場で、皆、手話で会話をしている。スヴェタは、家族で住むアパートを購入するため、両親の自宅を抵当に入れ、ローンを組んだのですが、収入が追い付かず、ローンの支払いが滞ってしまい、銀行から、直ぐにでも利息分を払わない限り、アパートを差し押さえると勧告されてしまいます。夫に相談するも、ローンを決めたのは君だろうといわれてしまい、不安が増すばかり。
その上、縫製工場も収益の悪化が原因で、リストラをすると言い、スヴェタもリストラの対象にされてしまいます。このままではローンが払えず、アパートは取られてしまいます。焦ったスヴェタは、考えを巡らし、夫のボケてしまっている祖母を殺して、祖母が住んでいるアパートを相続し、それを賃貸にすれば、ローンが払えると思い、夫に祖母を殺して欲しいと話します。もちろん、夫は拒みますが、このまま、住むところも無くなってしまっては、親子4人が路頭に迷ってしまいます。
意を決したスヴェタと夫は、祖母殺しを実行すべく、動き出すのですが・・・。後は、映画を観て下さいね。
このスヴェタさん、パワフルなんです。ろうあ者で社会的には弱者なのだろうけど、そんなことに負けず、自分の望むものは必ず手に入れてやるって感じなんです。だから、夫もタジタジでした。ステキなご主人だし、子供も可愛いんだけど、お母さん、怖いよって感じ。でも、母親って、家族を守る為には鬼にでもなるんですよね。母親だからこその強い心なのだと思いました。
映画の中には、ほとんどセリフが無くて、音楽もほとんどありません。あるのは生活音と、手話の身振り手振りの音だけ。凄く不思議な映画でした。今までに見た事が無い様な映像が観れて、とても面白かったです。
それにしても、自分のアパートのローンを返す為に祖母を殺すって、どーいう事っ!って思っちゃいました。最初は、もちろん冗談でしょって思ったんだけど、そうじゃないんですよ、これが。真剣に話しているんです。だから、最初は笑っちゃうんですけど、段々と、本当にやるつもりだったんだって思って、怖くなるんです。
でもね、家族を守る為ならなんだってやるっていうスヴェタの気持ち、わからないでもないんです。たかが家の為にって思うけど、スヴェタにとっては、それが家族を守る砦、家族を繋ぐ絆に思えたのではないかと思いました。だからこそ、何が何でもアパートを維持してやるって思ったのかなって。ちょっと怖いけど、そう思ってしまったのだから、仕方ないですね。
観ていると、言葉が無くて、手話で会話をしているのが、不思議じゃなくなって行くんです。面白かったですよ。今までは、ほとんど言葉に頼る事が当たり前だったので、驚きました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。ちょっと地味な作品ですが、今までにない感覚が味わえる映画なので、珍しいと思います。もし、お時間があったら、ぜひ、観てみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
P.S : 映画を観ていて、やっぱり手話が出来ると良いなぁとつくづく思いました。国によって違うとは思うけど、ある程度は通じるでしょ。言語を勉強するより、手話で交流がしたいと思いました。
「スヴェタ」http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=27
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