【TIFF2017】「さようなら、ニック」(コンペティション部門)キャリアと子育てどちらが良い? | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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第30回東京国際映画祭の7作目、「さようなら、ニック」を観てきました。

 

ストーリーは、

モデルからデザイナーに転身を図ろうとするジェイド。初のファッションショーの準備に余念がない。しかしスポンサーでもある夫ニックが姿を消してしまい、逆にニックの前妻マリアが家にやってきて一緒に暮らす羽目になる。ジェイドとマリアは何かと反目しあうが。

というお話です。

 

 

モデルからデザイナーに転身しようとしているジェイド。初めてのショーを開催するという、その立て込んでいる時に、夫のニックが浮気をし、家に帰ってこなくなる。浮気の相手は若いモデル。ジェイドも、若い頃にニックと出会い、その頃、結婚していたジェイドを略奪婚したという過去があるのだ。ジェイドは、若いモデルに会いに行くが、彼女はニックを愛しているからとジェイドの話を取り合おうともしない。

 

当り処の無いジェイドは、イライラが募るばかり。家に帰ると、一人のハズの家の中に人の気配がするので、ニックが帰ってきたのかと喜ぶと、そこにはニックの前妻・マリアが立っていた。何で今更、マリアが訪ねてくるのかと思ったら、そのマンションの権利をマリアが半分持っていると言う。ニックとの離婚する時の契約でそうしたらしい。

 

 

突然、マリアと住む事になったジェイドは爆発寸前。ショーの準備も進まず、同僚のウィットも困っている。ジェイドとマリアは、完璧に合わない性格で、趣味も何もかも違う。ジェイドは、モデルの仕事をし、キャリアを重ね、モデルを卒業する年齢になり、これから羽ばたこうという実業家。一方、マリアは、大学を出て学位はあるものの、子育てを優先して、キャリアは一つも無いが、良い母親である。こんな二人がひとつ屋根に暮らせる訳が無い。

 

ジェイドは、弁護士と不動産屋に頼み、マンションを売るように手配をして、マリアと交渉するのだが、マリアは売らないというばかり。そして、マリアは娘と孫息子を夏休みに呼びよせて、一緒に暮らし始める。ジェイドは、マリアの娘の才能を見て、新しい事業が出来るのではないかと模索し始め、そして・・・。後は、映画を観て下さいね。

 

 

この映画、ここまで観てきたコンペティション部門の中では、一番好きな作品でした。とっても楽しくて、私がピッタリ共感出来る内容で、面白かったです。

 

ジェイドは、キャリアを重ね、子供を持たなかった女性。持たなかったんじゃなくて、持つ機会を逸してしまったのかな。それに対して、マリアは、ニックと結婚していた時に、直ぐに子供を二人作り、育ててきた女性。本当に考え方が違うんです。でもね、元は、どちらも普通の同じような女性だったと思うけど、状況で、そうならざるを得なかったのだと思いました。

 

 

ジェイドは、ニックは子供が好きだったと話し、少し寂しそうな顔をします。きっと子供が作れれば良かったと思っていたんじゃないかな。マリアは、仕事を探してもキャリアが無いので、全く採用されず、子供に人生を捧げてしまった事を実感します。何か出来ることをと、文学の研究会の様なものを開きますが、孫の世話によって、それも途中で中断してしまいます。この二人を見ていて、本当に無い物強請りになっちゃうんだよなぁと共感しました。

 

 

私も、このジェイドと一緒で、今の夫には、前妻との間に息子が二人います。私は、前夫との間に子供を作らなかったので、連れ子はいませんでした。再婚同士で、子供たちも一人立ちしていたので、何の問題も無く再婚しました。私は仕事を選び、結婚しても別居婚状態ですが、とりあえずは上手く行っています。でも、ジェイドと一緒で、私も子供を産んでおけば良かったと何度も思います。たとえ仕事がおろそかになろうとも、子供の為ならと今は思うのですが、必死でキャリアを重ねている時には、子供は邪魔だと思っていたのでしょうね。無理して作ろうと思えば出来たんですから。今、仕事が軌道に乗り、余裕が出来てくると、後悔するんです。あの頃、産んで、直ぐにシッターさんを頼めば、仕事が出来たのにと。でも、その頃は、余裕も、時間も無かったのだから、出来る訳が無かったのにね。そんな事を思いながら、この映画を楽しみました。

 

 

ジェイドはマリアを嫌いながらも、自分が出来なかった、ニックの子供を産み育てた女性ということで、どこかで拒めていないんです。マリアは、一人で事業を始めて、バリバリ仕事をしているジェイドを嫌いながらも、自分がやれなかったことをやり、成功させている彼女を嫉妬しながらも、尊敬していたのではないかと思いました。女って、嫉妬と尊敬って対だと思うんです。凄い女、綺麗な女と尊敬しながら、嫉妬している、それって日常茶飯事だと思いませんか?私、そうですもん。

 

どちらの女性も、ニックという男性で繋がっていて、このニックが、何ともとぼけている男なんです。まぁ、だから女にモテるんでしょうけどね。どこか憎めない男で、途中までは全く出てこないんだけど、後半に出てきてかき回してくれます。面白いですよぉ。

 

 

ああー、面白かったから、長くなっちゃった。ゴメンナサイ。私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。これ、マジで面白くて、日本の女性にぜひ観て欲しいなぁ。これ、30代~50代の女性に”ワカるぅ~!”って行って貰えそうなの。それに、仕事を選んでも、子供を選んでも、どちらも正解なんだよって教えてくれているようで、嬉しくなるんです。もちろん、どちらも出来ればそれに越したことはないけど、完璧にやろうとすると、どうしてもどちらかが疎かになるでしょ。それも、完璧じゃなくてもいいんだよ~って言ってくれているようで好きでした。ぜひ、観に行ってみて下さい。もう一度、上映します。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「さようなら、ニック」

http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=7