第30回東京国際映画祭の６作目、「アラケット-ロビンギャの祈り」を観てきました。
ストーリーは、
湾行きを願うフイリンは貯金を失った結果、奇妙な仕事に手を出す。それはロヒンギャ移民に対する残虐行為に関わるビジネスだった。そんな彼女にとって一筋の光は、フイリンを昔の知り合いだと信じている若い病院スタッフのウェイだった。
というお話です。
マレーシアに住むフイリンは、お金を貯めて台湾に行って暮らすことを夢見ている。その夢を叶えるため、レストランで必死で働いていた。部屋をシェアしている友人ととても仲が良くて、お互いに励まし合っているのだが、友人は、彼氏と上手く行っておらず機嫌が悪い。
ある日、家に帰ると、部屋の様子が一変している。驚いたフイリンは、直ぐに隠してあったお金を探すが、全て盗まれていた。友人の仕業だと解ったフイリンは、友人を探すがおらず、友人の彼氏を探すと、全てを持って夜逃げをした後だった。
せっかく貯めたお金を取られてしまったフイリンは、台湾へ行くべく、手早く金を稼ぐために、ロビンギャの人々を使った人身売買に手を貸す事になる。闇の仕事だと解っていても、自分の夢の為には仕方が無いし、それ程、酷い仕事じゃないだろうと思い、仕事を続けていましたが、ロビンギャの人々に残虐な行為をしている所を見てしまう。
仕事を続けても良いのかと悩むフイリンに病院のスタッフのウェイが慰めてくれて、彼に惹かれ始めるのだが、ボスからの仕事が辛くなり・・・。後は、映画を観て下さいね。
ロビンギャ問題って、知っていましたか？私、何も知らなくて、この映画で初めて知りました。というか、映画を観ても解らなくて、後の監督とのＱ＆Ａで知りました。ロビンギャとは、ミャンマーとバングラデシュにまたがるある地域に住む人たちの事だそうです。ラカイン州というところで、仏教徒のアラカン人とイスラム教徒のロビンギャの間で衝突が起こっていて、ロビンギャの人々は追い出されて、マレーシアに渡ってきているらしいんです。アウンサン・スーチーが率いる国民民主連盟が見て見ぬふりをして、何もしないので、大きな問題になっています。
そんなロビンギャの人を食い物にして、商売をしている人々が居て、それが、この映画に出てくる人々なんです。確かに、難民の人達が、山ほど押し寄せてきて、そこら辺にフラフラしていたら、何か利用しちゃおうかなぁと思う悪い人が出てくるのは当たり前だと思うんです。そうなる前に、政府が解決しなくちゃいけない問題だと思うのですが、ダメなようですね。
主人公のフイリンは、今の生活では何も良くならないと思っていて、台湾に行けば、きっと良い生活が待っていると思っているんです。でも、このロビンギャの人々だって、ミャンマーからマレーシアにくれば、良い生活が待っていると思って渡ってきている訳でしょ。何処まで行っても、何処に逃げても、本人が考えて行動しない限り、何も変わらないんです。
フイリンは、彼らを見て、それに気が付いたんだろうか。解りませんが、今住んでいる街でも、自分の努力で変わる事が出来るはずなんですけど。立ち向かわなければ、何処に行ったって変わらないんです。だけど、台湾に行く事がきっかけで、立ち向かえるならば、環境を変える事も良いのかもしれません。だって、病院のスタッフのウェイは、酷い生活をしていたけど、母親の死をきっかけに、生活を変えて、新しい道を歩き始めたんですから。やろうと思えば出来るんです。ウェイは、酷い姿の自分しか母親に見せてやれなかったと嘆いていましたが、でも、天国から見て喜んでいると思います。
そんな問題を取り上げた作品でしたが、淡々と話しが進む為、私、とても眠くなってしまって、ウトウトしちゃいました。私には、ちょっと合わないテンポだったような気がしました。面白くない映画ではありませんが、辛かったです。
私は、まぁお薦めしても良いかなと思います。良い映画なのですが、私は眠くなってしまったので、大手を振ってお薦めは出来ないんですけど、でも、単館系の映画が好きで、アジア系の映画が好きな方なら、楽しんで、考えて頂ける映画だと思います。ぜひ、観てみて下さい。もう一度、映画祭で上映があると思います。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「アラケット-ロビンギャの祈り」
http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=1