第30回東京国際映画祭の2作目、「ペット安楽死請負人」を観てきました。
ストーリーは、
向きは自動車修理工だが、裏では動物の安楽死を請け負う男。無責任な依頼主に苦言を呈しつつ、仕事を冷静にこなす。しかしある犬を生かした時、事態は一変する・・・。
というお話です。
表向きは自動車修理工場を経営しているヴェイヨ。裏では、ペットの安楽死を請け負う仕事をしており、ペットを飼えなくなった飼い主たちが、ペットをつれてやってくる。今日も、狭いアパートで一人住まいの女が、飼っていた猫を連れてきて、安楽死させて欲しいという。小さい動物はガスで、大きい犬などの動物は銃で撃って殺し、森に埋めるという事をしていました。
ヴェイヨには病院に入っている父親がいます。父親は痛みが酷く、苦しみ続けているのですが、死は訪れないようです。そんな父親を見てくれている看護師と知り合い、仲良くなったヴェイヨ。看護師は、甥っ子が飼っていたモルモットを殺して欲しいとヴェイヨのところに持ってきます。彼女もヴェイヨを気に入り、2人は良い関係に・・・。
それとは別に、ヴェイヨの友人の自動車修理工場に勤めている男が、ヴェイヨのところに犬を殺して欲しいと連れてきます。黒い大きな雑種犬のメスでした。ヴェイヨはその犬を殺すのを止めて自分で飼い始めます。男は勤め先のタイヤを横流しして金を儲けており、それが見つかって工場をクビになります。そんな彼の犬を殺さなかったヴェイヨは、彼に見つかり、犬を殺してくれと頼んだのに殺さないんだったら、譲ったとして金を払えと脅迫されます。仕方なく、金を払うと言うヴェイヨでしたが、その目の前で、男は犬にガソリンをかけて、焼き殺してしまいます。怒ったヴェイヨは・・・。後は、映画を観て下さいね。
ペット版マッドマックスと監督は呼んでいたようですが、このヴェイヨ、ダークヒーローなんです。70’~80’年代のが好きで、ダーティーハリーが好きという監督は、どうしてもダークヒーローが描きたかったようで、そして主演のマッティ・オンニスマーさんと映画がやりたかったという事で、この脚本を書いたようです。うーん、動物好きの私は、マジで彼みたいなダークヒーローがいてくれたらなぁと思ってしまいました。
もちろん、殺さないで済んで、誰かに愛情を与えられて飼って貰えるのが一番だけど、虐待されながら酷い状態で生き長らえるくらいなら、安楽死も必要だと思うんです。そしてもちろん、そんな事をした奴には報復でしょね。同じ苦しみを味わうがいい!んなろー!とヴェイヨと一緒に怒っていた私でした。
でもね、この映画、ペットの事を描いているだけじゃないんです。人間もベッドの上で苦しみながら生かされる事ってどうなんだろうという事も描かれているんです。家族としては、出来るだけ生きていて欲しいと望んでしまうところもあるのですが、あまりにも苦しむ姿は見たくないでしょ。辛いですよね。ヴェイヨもお父さんを嫌っていながらも、苦しむ姿を見たくなかったようでした。殺してあげたいけど、出来ないんですよ。そして、苦しみがあるのは、カルマ=業があるから、それが終わるまでは死ねないんだと言うんです。でも、無駄に苦しませるのはどうなんだろう。
とても考えさせられる映画でした。やっぱり無垢な動物に対して、虐待したり、要らなくなったから捨てるなどという選択をしたり、そんな人間の勝手で生き死にを左右される彼らを誰かが守ってやらなければいけませんよね。私は、いつまでも守る方に周りたいと思っています。酷い事をした奴に報復したいけど、今の日本の法律では、それは出来なさそうだから、せめてニュースなどで取り上げて欲しいな。
この映画、日本公開されるかは、まだわかりませんが、もう一度、国際映画祭で上映があると思うので、もしお時間があったら、ぜひ観てみて下さい。考えさせられると思います。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「ペット安楽死請負人」http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=5
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