【演劇】「リチャード三世」もし彼の背が曲がっておらず、皆が彼を愛したならこうならなかったかも。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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舞台「リチャード三世」を観てきました。

 

ストーリーは、

 

舞台は、15世紀後半のイングランド。ランカスター家とヨーク家の王位争奪を中心とする貴族の戦い(薔薇戦争)は続いている。”歩いていると犬も吠えかかる。”ほど醜く、しかし野心家のリチャードは、忠臣バッキンガムとともに周囲の人間を次々と陥れ、残虐非道なたくらみに手を染めて行く。自らが殺したヘンリー六世の王子の妻・アンを手に入れ、友、先王の息子、王妃、実の兄と邪魔な人間を次々と葬り去ったリチャードは、ついにイングランド王国を手にするが・・・。

 

というお話です。

 

 

これ、有名なシェイクスピアの演劇ですね。「リチャード三世」は、とても遣り甲斐のある役とされていて、誰もがやってみたい役として世界で熱望されています。極悪も極悪。完璧な悪なので、演じるのは面白いでしょうねぇ。

 

今回の佐々木蔵之介さんのリチャード三世は、現代風にアレンジされていて、最初、舞台が開いた時、まるで「時計仕掛けのオレンジ」を観ているような感覚になりました。あの白いシャツに黒い帽子、それに杖が付いていて、スタンリー・キューブリックが描き出した暴力とエロの世界が浮かびました。私、”ブレードランナー”の次くらいに、この”時計仕掛けのオレンジ”が好きなんです。あの独特な世界観とデザイン性は、今も忘れられません。そんな雰囲気が、今回の舞台にはありました。

 

お話は、結構、走って行く感じなので、リチャード三世のお話を知らない方は、ちょっと辛かったかも知れません。私は、少し前に観た「ホロウ・クラウン 嘆きの王冠」という映画で、このシリーズを全て観ていたので、とても良く理解が出来ました。やはり演劇を観る上で、シェイクスピア作品の内容は知っていた方が楽しめると思うので、この「ホロウ・クラウン 嘆きの王冠」の7作品を観る事をお薦めいたします。これを観ると、ヘンリー四世からリチャード三世までの系図と成り行きが全て解かるので、今後、どのシェイクスピア作品を観ても楽しめるのではないかと思います。

 

それにしても、このリチャードですが、もし背中が曲がっておらず、障がいなどが無かったら、母親にも愛されて、良い子に育ったと思うのですが、父親は彼を愛していたけど、母親は、あまりリチャードを愛していなかったように見えました。そんな事もあり、リチャードは何としても兄弟を押しのけて、自分が上に立ち、愛を手に入れたかったのかなと思いました。だって、彼が沢山の謀をして、王冠を手にするのだけど、全然、嬉しそうではないんですもん。トップに立っても一人、誰も周りに付いてこないなんて、悲しいじゃないですか。一人でも寂しくはないけど、哀しみはあるよね。一人でいる事は好きだけど、でも、愛は欲しいんだと思うんです。哀しそうでした。

 

 

周りの全てに対して牙を剥いたリチャードでしたが、誰か一人くらい、愛すれば良かったのに。なんかね、愛して欲しかったようには見えたけど、自分が誰かを愛そうとする様子は見えなかったんです。大体、自分が相手を愛そうとしなければ、誰も心から愛してくれないよね。そんな傲慢だから、誰も付いてこなかったんだよ。

 

そうそう、今回の舞台、出演者は、ほとんど男性でした。女性役も男性がやっていて、ただ一人、話を書いている人物だけを女性が演じていました。面白かったです。手塚さんとか今井さんとか、女性役だったのですが、顔はそのままで、ただドレスを着ているだけなのだけど、妖艶な女性に見えるんです。ええ~って思うけど、でも、そこには怨みを孕んだマーガレットと、運命に翻弄されるアンが居て、イヤ、凄いなと思いました。

 

佐々木さんは、まるで大蛇のように、周りの人間を丸呑みして行くように排除していき、王座に君臨する、怖ろしいリチャードを良く表していました。今回は、王座に着いて終わりましたが、このリチャードも、一族と戦争に翻弄されて、結局、ランカスター公系列の王族に王位を取られてしまうんですけどね。ここで薔薇戦争は終わる訳です。

 

このシェイクスピア作品を理解する為には、薔薇戦争を知らないと難しいかも。赤薔薇はランカスター派、白薔薇はヨーク派となり、王位を赤が取るか白が取るかの戦争が何代にも渡り描かれます。このリチャード三世はヨーク公の末裔なので白薔薇ですね。

 

 

この舞台、内容はさることながら、舞台演出がとても面白く美しいので、ぜひ、機会があったら、観に行ってみて下さい。チケットが手に入るかなぁ。当日券があれば良いけど。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

リチャード三世   https://www.richard3-stage.com/

 

ホロウ・クラウン 嘆きの王冠は、まだ日本版DVDが販売されていないようですね。ポロポロと全国でまだ上映されているようです。