【演劇】「トロイ戦争は起こらない」戦争は戦争を知らない者が起こしてしまう、とても残酷な選択。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

舞台「トロイ戦争は起こらない」を観てきました。

 

ストーリーは、

幕前に、

神々の臨席する結婚式に招かれなかった争いの女神エリスは、憤慨して「いちばん美しい女神へ」と記した黄金のリンゴを宴の席へ投げ入れた。ビーナスを含む3人の女神が美を競う事になり、ゼウスはその審判をトロイの王子パリスに任せた。

 

ビーナスはパリスをスパルタ王メネラスの妃エレーヌに会わせる。彼女は白鳥に姿を変えたゼウスと人間の女レダとの間に生まれた絶世の美女だった。

 

パリスはビーナスを最も美しい女神と定め、褒美にエレーヌを得てトロイへの地へ帰ってきた。メネラスは妻の引き渡しを求め、オデュッセウスとともにトロイへ赴く。

 

ここからが舞台です。

 

 

今日、トロイの勇将エクトールが戦争から凱旋してきたところだ。城内では男たちが全員エレーヌの美しさに魅惑され、たとえ戦争になろうとも彼女を返すつもりはない。ギリシャの使者をどう迎えるのか。戦争になるのかならないのか。金箔した情勢のなかで舞台の幕が開く。

 

ようやく平和が訪れたトロイの国。長きにわたる戦争を終焉に導いた英雄、トロイの王子・エクトールは、妻であるアンドロマックの元へ帰還し平安を喜ぶ。しかし、エクトールの弟・パリスは、ギリシャの王妃であるエレーヌに魅了され、彼女を誘拐してきてしまった。

エレーヌを帰すか、ギリシャ軍と戦うか、再び回線を迫られるトロイに、ギリシャの知将・オデュッセウスが上陸し・・・。

 

というお話です。

 

 

戦争の前線で戦ったトロイの王子・エクトールは、戦争の残酷さを目一杯味わっているので、もう戦争など起こしたくないと思っているのに、戦争に行かなかったパリスや、王、そして国民たちは、ただ、美しいエレーヌを崇拝し、彼女を帰すくらいなら戦争をするという判断をするんです。この話、戦争の現実を訴えている作品でした。それこそ、何処かのドラマじゃないけど、戦争は会議室で起こっているんじゃない、現場で起こっているんだと叫びたくなるような内容でしょ。そう、いつの時代も、戦争を起こすのは、会議室でふんぞり返っている人達で、前線で戦う人達は、誰も戦争がしたいなんて思っていないんです。マジでてめえら、いい加減にしろって感じでした。

 

パリスは、涼しい顔をして、水浴びをしていたエレーヌを連れて来ただけだと言い、エレーヌはギリシャに帰りたくなかったからとか言っちゃって、もう、酷いんですよ。王様や、その側近たちは、美しいエレーヌをいつまでも見ていたいから帰しちゃいけないと大騒ぎして、最悪でした。何なんだよ、その詩人のオッサンは!あんたらの気分で戦争をされたんじゃ、若者たちはどーすりゃイイんだよっ!

 

私、このエレーヌって、今の北朝鮮の核爆弾のような気がしました。他の国が持っている核爆弾、自分の国も持ちたいから、他の国に認めさせるぞーって大騒ぎして、周りをけん制しているんでしょ。周りは、それを取り上げようとするんだけど、全く応じようとしない。会議室に居る奴らは、核爆弾を手に入れていれば周りも手出しをしてこないし、自分たちは大丈夫と思っているだろうけど、結局、現場で戦争をさせられるのは若者たちだからなのよね。現場の人間は犬死です。

 

現場では、凄く緊迫しているんだろうけど、この舞台でも、戦争を知っているエクトールやその妻は、凄く緊迫していて、何とか戦争を回避しようとするんです。そりゃ、そうですよ。ギリシャと戦争をしたら、今、帰ってきたばかりのトルコの戦士たちが、また直ぐに戦わなければならず、もう、無理だと解っているからだと思うんです。エクトールの妻・アンドロマックは、子供がお腹にいるのに、またエクトールが戦争に行ってしまい、帰ってこれるのか心配しなければならないのか、もしかして死んでしまうかもと思い、段々とおかしくなってしまうんです。そりゃ、そうですよね。その気持ち、解りますよ。子供の父親が居なくなってしまうかもなんて、そりゃ、おかしくなりますよ。

 

 

そんな現場を解っている人々の言う事など全く聞かず、ギリシャにエレーヌは帰さず、戦争をしようとする王やパリス、長老たちは、その後に自分たちが全滅させられるなんて思っても見ないんです。アホですね。だって、この後、「トロイの木馬」になる訳でしょ。あんたら、全滅だよって教えてやりたいよ。アホなパリス。こういう男、大っ嫌いよっ!

 

鈴木さんのエクトール、カッコ良かったです。特にオデュッセウスと対峙しての長い攻防の部分、良かったです。この演劇、本当にセリフが長くて、驚きました。あの長台詞、全部覚えているなんて驚きです。簡単な口語的なセリフなら解るけど、あの難しいセリフ、良く覚えましたね。凄かったです。

 

一路さんのエレーヌ、マジでムカつく女でした。美しいのは解るけど、もっと周りの事を考えようよ。本当に自分の事しか考えていないバカ女に見えました。まぁ、ゼウスの娘だから、傲慢なのは当たり前なのかな。アンドロマックは可哀想な哀れな妻でした。何を言っても夫以外は誰も話を聞いてくれず、カッサンドルに預言をされて慌てるばかり。仕方ないけど、可哀想な役でした。そうそう、トロイの王子・トロイリュス役で、福山くんが出演していました。この子、「予告犯」の時に良い演技していたんですよ。外国人役だったんだけど、顔は美しいし、これから楽しみだなって思っていたんです。ぜひ、もっと舞台に出て、演技を磨いて下さい。

 

演出は栗山さんで、ごちゃごちゃしておらず、壮大な感じがする雰囲気でした。まるでコロッセオが中心にあるようで、そこで言葉で人々が戦うんです。面白いと思いました。

 

 

私は、この舞台、凄くお薦めしたいと思います。長台詞が続き、動きは少なく、会話劇なのですが、そのお話が、何か、現代に繋がるような気がして、とても考えさせられる内容でした。年寄りばかりが口を出し、若者の意見を全く聞いていない、それって、現代の政治と一緒ですよね。確かに年寄りの方が経験が多いけど、若い人の言葉に耳を傾ける事も年寄りの仕事じゃないのかな。年寄りは未来には居ないんです。未来は若者たちのものなんです。だから、彼らにアドバイスをする必要はあるけど、自分たちの意見を押し付けるのは間違っているよね。何事も、会議室では無く、現場で起こっているんです。現場の声を聞かなければ、何も始まりません。考えを改めなくてはと思う今日この頃です。

この舞台、本当にお薦めなので、ぜひ、機会があったら観に行ってみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「トロイ戦争は起こらない」http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/16_009658.html