「ユリゴコロ」を観てきました。
ストーリーは、
亮介は余命わずかな父の書斎で1冊のノートを見つける。「ユリゴコロ」と書かれたそのノートには、ある殺人者の記憶が綴られていた。その内容が事実か創作か、そして自分の家族とどんな関係があるのか、亮介は様々な疑念を抱きながらも強烈にそのノートに惹きつけられていく。
というお話です。
自然豊かな林間にレストランを開いた亮介は、その近くに住む父親の面倒を見る為に、頻繁に実家に帰っていました。既に母親は死に、父親はガンで余命宣告を受けています。父親を心配して、時間が出来ると、レストランを従業員に任せて訪ねていました。ある日、実家に行くと、父親が病院に行き留守にしていたため、ウロウロしていると、父親の部屋の段ボールの中に、何か書類が大切にしまってあるのを目にします。気になった亮介は開いてみると、そこには大学ノートが入っており、中にはびっしりと、文章が書きこまれていました。
その内容は、自分が子供の頃から感情が乏しく、小学校の時に弾みで目の前で友達のミチルちゃんが亡くなった時から、死というものが、自分のユリゴコロになった事を知ったというものでした。それからは、死に取りつかれたように、生き物を穴に落として殺したりしていたと書かれていました。小説にしてはリアルだと思いながらも、恐怖を感じた亮介は、父親が帰って来たので、そこでノートを閉じて元に戻しました。
亮介は、従業員として働いてくれていた女性と結婚する約束をし、父親にも紹介していたのですが、ある日、突然、彼女が目の前から消えてしまい、彼女を探そうとするのですが、彼女の事を全く知らない事を知り、少し不安定になってしまいます。そんな亮介は、あのノートの事が気になり始め、父親の居ない時間に実家に帰り、また、ノートを読み進めます。
ノートには、彼女がどんな人と出会い、どんな殺人を犯し、どう生きてきたのかという事が書かれており、その恐ろしさと、もしかしたら、このノートが、死んだ母親の物では無いのかと気になり始め、もし、小説では無く、本当の事ならば、自分は殺人者の息子となってしまうと思い、父親に聞かなければならないと決意をするのですが・・・。後は、映画を観て下さいね。
この原作は、まだ読んでいないのですが、衝撃的な内容でした。この美紗子という女性の感じ、凄く解るんです。私も感情表現が少ない子供で、興味がある事以外は手を出さない、無駄な事は一切しないような可愛くないガキだったようなので、この美紗子さん、解るわぁ。でも、動物は好きだったし、殺すという行為は嫌だったけどね。
でもね、この一瞬、殺したらどうなるんだろうという気持ちになる事は、実は、今でもあります。ここで突き落としたらとか、火を点けたらとか、時々、自分が飛び降りたらとか、そんな事も思ったりすることもあります。でも別に、それが死を望んでいるとか見たいとかじゃないんですよね。純粋な興味だけなんです。もちろん、理性があるから、やりませんよ。でも、そういう事をやってしまう人がいるから、殺人って起きるんだろうなぁ。
美紗子は、最初は興味で殺して気持ちが良くなっているようでしたが、大人になってからは、興味だけでは無く、憎しみが入り始めたような気がしました。憎しみが混じると、結構、ガッツリ殺しますよね。もう、自分の邪魔になるから殺すみたいな、そんな感じで、段々と美紗子の中でも、殺すという事が、自分のマスターベーション的なものでは無く、自分の生きる為の必要な行為のようになって来ていて、それはマズいよなぁと思いました。
ここで究極の質問ですが、何故、人を殺してはいけないのか。法律で決まっているとか、人の命は重いからとか、そんなんじゃ納得出来ないですよね。答えは無いのですが、でも、殺されたい人は居ないから、人の嫌がる事は止めましょうって事かしら。それくらいしか返せないですよ。難しいです。
映画の内容ですが、この美紗子さん、殺し屋の訓練とかしたんですかね。実は、凄い数の人を一気に殺したらしい場面があって、それ、女一人じゃ出来ないよねぇ、って思ったんです。凄く違和感がありました。
あと、人物たちの関係が、それ、どう考えても偶然で繋がったとは思えないような部分があり、ええ~って思ってしまいました。ちょっと、無理な繋がり方だったんじゃないですかねぇ。原作でもそうなのかしら。
吉高さんと松山さんの時代の部分は、昭和の暗い時代っぽくて、凄く良かったです。2人も上手いので、惹き込まれました。現代部分は、ちょっと違和感がある部分があったかな。松坂さん、どーもこの役、無理矢理狂ってる感を出しているように思えて違和感がありました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。衝撃作で、何だか、おおっ!って観ていて惹き込まれましたが、やっぱり原作を読んでから観に行けば良かったかなと思いました。人の関係性に違和感があり、既に知っていれば、それほど感じなかったかもと思ったんです。でも、恐怖と魅力を両方感じる不思議な感覚を味わったので、ぜひ、観に行ってみて下さい。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
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