【演劇】「ワーニャ伯父さん」何とも切なくて、納得出来ない結末でした。幸せになって欲しかった。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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舞台「ワーニャ伯父さん」を観てきました。

 

ストーリーは、

 

大学教授を引退したセレブリャーコフは都会暮らしに別れを告げ、若い後妻のエレーナを伴って、亡き先妻の実家である田舎屋敷に戻ってきた。先妻の兄ワーニャは、学者のセレブリャーコフを崇拝し、四半世紀にわたって、領地を切り盛りしながら、彼に仕送りを続けている。屋敷では、先妻の娘・ソーニャ、ワーニャの母・ヴォイニーツカヤ夫人、隣人だった没落貴族のテレーギンが、ワーニャと共につましく暮らしていた。

 

だが、平穏な田舎屋敷の暮らしは、教授夫妻の帰還によって一変してしまう。つねに尊大で機嫌の悪い元教授は、老いの恐怖に怯えながら、身体の不調を訴えては周囲を困らせ、ことあるごとに医師のアーストロフを呼びつける。

 

ソーニャは、長年、アーストロフに恋心を抱いているが、アーストロフはエレーナの美しさに心を奪われているようだ。ワーニャも以前から焦がれるエレーナに思いの丈をぶつけて言い寄るが、相手にもされず、あしらわれてしまう。

 

日々の暮らしに退屈しきっているエレーナは、環境問題を熱く語るアーストロフの横顔をうっとりと眺めていた。そんなある日、セレブリャーコフが一同を集め、とある考えを告げる。その言葉に激昂したワーニャは、・・・。

 

というお話です。

 

 

舞台「ワーニャ叔父さん」を観てきました。

アントン・チェーホフの小説で、何とも言えない苦しみを描いた作品です。うーん、どうしても納得の行かない内容なのですが、この時代のロシアでは、こんなことがたくさんあったのでしょうね。

 

ワーニャ叔父さんというのは、ソーニャからの目線なので叔父さんなんですね。この叔父さんが、ソーニャの父親の身勝手さで、今まで必死で働いてきたものを否定され、どうしても耐え切れずにキレてしまう姿が描かれているのですが、人って、自分が基準だから、人の痛みや苦しみって、理解しているようで、やっぱり出来居ないんですよね。

 

ソーニャの父親である元大学教授のセレブリャーコフは、学もあって、大学教授という名声を手に入れているので、それこそ順風満帆という感じで生きてきた人物なのですが、お金は無いんですよ。で、元妻の実家の財産で生きているような、情けない男性なのですが、それを悪いとは一切思っていないんです。不思議でしょ。でも、この時代のロシアでは、これがそれほど悪い事では無かったのかも知れません。だって、それに関して、文句を言う人が誰も居ないんですから。

 

で、ワーニャ叔父さんは、自分は苦しい生活を送りながらも、セレブリャーコフには不自由はさせないように、ずーっと仕送りをしていたんです。だけど、突然、田舎に来たと思ったら、土地を売るとかって言いだして、そりゃ、キレますよねぇ。普通なら、そんな事を言うようなら縁を切ると言うはずなのに、我慢するんですよ。

 

 

自分の姉妹の夫だからなのか、姪っ子の父親だからなのか、彼の名声に妄信しているからなのか、それは分かりませんが、全く納得が行かないような決断にたどり着くんです。あり得ないよなぁ。

 

チェーホフは、自分の思い通りに生きられず、誰かに自分の思いを託して生き続けるしかない、悲しい人々を描いているのかも知れませんが、私には、全く、納得の行くものではありませんでした。

 

チェーホフの作品は、こういうモヤモヤ~としたものが多数ありますが、これが、一番、スッキリしなかったな。「かもめ」は、主人公が自分で決着をつけたけど、今回は、ワーニャ叔父さんが、あまりにも良い人過ぎて、オイオイって言ってしまいたくなりました。

 

美しいエレーナを宮沢さんが演じていて、本当に美しかったです。彼女の為に、お金を工面するとかなら、何となく納得が出来たんだけどなぁ。ソーニャは、黒木さんで、大人しくてガマン強い女性を演じていました。ワーニャ叔父さんは段田さんでしたが、マジでロシアの我慢強い田舎の叔父さんっぽく見えて、良かったです。

 

この作品は、虐げられていた人々は、何処までも我慢しなければならないのかって思ってしまうようなお話で、何とも切なくて、辛いお話でした。幸せになって欲しかったけど、現実はこんなもんなんでしょうね。

 

 

私は、この舞台、お薦めしたいと思いますが、気持ちが沈んでいる時に見ると、何とも言えずに、どんどん沈んで行ってしまいそうな気がして、心配になるような作品でした。演技も良いし、素晴らしい文学作品なんですけどね。もし、時間があったら、ぜひ、観てみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

ワーニャ叔父さん  http://www.siscompany.com/ojisan/gai.htm